あなたになれない わたしと、わたしになれない あなたのこと #11
#11 もういない人のこと
その日、友だちが死んだことを知らせるメールは、朝早く、わたしが眠っているあいだに届いた。大学の夏季休暇中で、予定が午後からだったので昼まで寝ていた。まだラインが普及しきる前だった。
目がさめたとき、メールの内容を確認して跳ね起きたのち、なぜか間もなくふたたび眠った。二度寝を終えると、衝動的に美容院を予約して髪を切り、そのあとは予定通り卒業アルバムを受け取るために母校へ行って帰ってきた。
記憶にあるかぎり、わたしはその日一度も泣いていない。