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vol.4 楽曲リリース〈ヌトミックのメルマガ〉

*この記事は6月26日(金)に「ヌトミックのメルマガ」で配信された内容を抜粋してお届けします。


|ふかさわのまとめ。(深澤しほ)


▷ 2020年6月18日

みなさんこんばんは。お元気でしょうか。
6月12日にヌトミックの音楽作品『Our play from our home』が公開されました。

※現在、お試しで最初の5曲(計83分48秒)をお聴きいただけます。

約20時間という気の狂った作品ですので、「誰が聴いてくれるんだろう」と疑問と不安を抱えたままリリース日を迎えました。

しかし!ご購入くださり、聴いてくださった方がいらっしゃいました!!!!!!
ありがとうございます!!!!!
購入してくれた方が、どんな風に聴き、どんな風に過ごしているのかなあと考えることがこんなに嬉しいことだとは知りませんでした。

演劇をやっている身としては、人生において楽曲配信するなんて想像もしなかったので(というか今後もあるのかいささか疑問なので)個人的には最初で最後の楽曲配信かもしれません。というかこれが楽曲なのかもわかりません。

もともと使おうとしていた楽曲配信サービスでは「無音が多い」との理由で申請は通りませんでした。ヌトミックにいると「聞こえてくる音なんでも音楽!」マインドになっているので申請が通らなかった時は「世間って厳しいな」と思いました。

まだ『Our play from our home』についてご存知ない方もいらっしゃると思うので簡単に説明しますと、緊急事態宣言が発令されていた5月の某日にメンバー(河野・長沼・原田・深澤)の自宅の生活音と19個の「play」で構成された、それぞれの起床時間から就寝時間までをほぼノーカットで収録した作品です。編集を額田が担当しています。

せっかくなので、収録裏話、と言いますか、私の当日の状況について書いてみたいと思います。
収録に際して録音アプリの誤作動が無いか、当日の過ごし方の留意点などを前日の夕方まで話し合っており、私は謎の興奮状態のまま一睡もできませんでした。
「あーいまビリーが起きたなー」(※ビリー=新メンバー長沼の愛称)とかタイムスケジュールを確認しながら朝を迎え、誰も見ていないのに誰かを意識している緊張感を自宅で味わうという、なんとも奇妙な心持ちでのスタートでした。

19個のPlayのうち、私は美容系YouTuberのごとく自己流メイクで遊ぶという回があります。本当に楽しくなってしまったのと、昨夜からのテンションの持続のせいでナチュラルハイのままメイクは進み、終盤になってかなりテンションが上がっている自分に気づいて軽く冷や汗をかきました。

(これ・・・作品になるんだ・・・)

その後の部屋での挙動不審ぶりも併せてお楽しみいただきたかったです。今となってはいい思い出です。人のテンションがどんどん上がっていく様子を集約したPlayになっていると思います。

「話す」という機会が極端に減ったあの期間の中で、好きなことを自由に喋っている時間は素直に楽しくて、きっと聞いてくれているであろう誰かとこの時間を共有したいな、という純粋な気持ちも多分ありました。ただ、本当に純粋がゆえにおかしなテンションになってるし、おかしなことを喋ってます。
当の本人は全く記憶にございません。


ちなみに、深澤のメイクパートは、次の楽曲にてお聴きいただけます。
「12:35 - Yabaina」
「12:59 - Hu Pa!」
「13:25 - Kimochi Wo Ageru」


もし気になってくださった方は、よかったら20時間のラジオだと思ってぜひお楽しみください。ラジオが好きな方はすんなり受け入れてくれる気がします。
いつかラジオパーソナリティになりたい。この間、はじめてラジオにメールを送りました。読まれるといいな。深澤でした。



|過去から考える(額田大志)


▷ 集まるためのリハビリ

今年の夏、「吉祥寺からっぽの劇場祭」に参加することになり、先日、吉祥寺シアターに参加アーティストとスタッフで集まりました。感動とまではいかなくとも、やはり何か感慨深いものがありました。劇場祭に向けて、屋上でトマトを植えたり、改めて劇場を隅々まで歩いたりしました。打ち合わせでは「劇場が劇場としての機能を取り戻すためのリハビリ」という言葉が印象的でした。私にとっての劇場は、不特定多数の人々が集まれる場所です。打ち合わせをしている瞬間「今、劇場の機能を取り戻しているじゃん!」と一人で興奮しました。その興奮は帰り道でも残っていました。自粛を経て、劇場の不在にも慣れてきていましたが、集まりたいという欲求は消えていませんでした。それがなぜ、現実の劇場でないといけないのかは引き続き考えたいですが、集まれる場所の必要性を再認識したことは大きいです。コロナウイルスに限らず、これからの人生において集まることを続けたい(集まることを辞めない)が、私にとっては大きな指針になりそうです。



|ひととヒトと他人と(長沼航)


★★

こないだ人と久々に待ち合わせをした。約束をしてだれかと会うのは2ヶ月半ぶりのことだ。もちろん、ZOOMなどでもミーティングをしてはいるから、だれかと時間を決めて顔を突き合わせたり声を聞いたりすることはしている。でも、そのとき待ち合わせにあるようなドキドキはない。相手は瞬時に目の前に現れる。家のなかの自分の部屋の机の上のパソコンのディスプレイに一瞬にして姿を見せる。別にそれが悪いと思ってるわけじゃない。起きてすぐにだれかと会える、遠く離れたところにいる人の顔が見れ声が聞けるのは十分いいことだ。けど、やっぱり久々に待ち合わせてみると、それには特有のドキドキがあって、いいもんだ、と思う。

初めて行く土地、降りたことのない駅で降りる。待ち合わせ時間のちょっと前に着いた。改札を出たらきっと目に入るだろうところに立って、音楽を聞いたりスマホを見たりしてみる、けど、心のどこかでそろそろ現れるであろうその人のことをおもう時間がある。深いことを考えるわけじゃないけど、ちょっと気になる、意識にのぼる。時計を見て、まだかと思いながら、ふわふわした時を過ごす。電車の往来に応じて、行き交う人々の疎密が変動していく。急に激しくなった人の流れのそのなかにいるだろうか、と遠慮がちに周りを見渡してみる。が、来ない。そして人はまた少なくなっていく。落ち着かない時間、相手が来たときにどういう顔をしたらいいのか、を考えてしまう。うれしがりすぎるのもひとりで舞い上がっている人みたいになってなんだかバカみたいだし、かといってそっけなさすぎてはせっかく会うのに申し訳ない。迎える側としてちょうどいい塩梅の顔、適切な好意の配分を考えているうちに、相手はやってきて、自分の顔のことは忘れる。


前会ったときより格段に髪が伸びていた。
久しぶりですね、みたいな話をして、ご飯を食べたり散歩したりした。
また会いましょう、と言って別れた。



|原田の、すぐには使わないものコレクション(原田つむぎ)


この数か月でやっと家計簿をつけるようになりました。家計簿といっても、何にいくら使ったのか毎日メモして、月の終わりに項目ごとにまとめるくらいの簡易的なものですが、金額が目に見えるだけで節約したい欲が強くなって驚いています。

今まで先のことは正直ほとんど考えていなかったのに、貯金も始めてみました。インスタグラムに同い年くらいの人の貯金アカウントがたくさんあって、それをチェックするのがちょっとした習慣になっています。皆さんやりくりが本当に上手です。お給料や年間の貯金額を公開している方も多く、自分と比べて若干落ち込みながらも純粋にすげー!と思って楽しんでいます。


家計簿をつけると自分が何にお金を多く使ってしまっているかがよくわかります。なるべく無駄遣いとされることはしないように気を付けると、欲しいものに優先順位を付けないといけないので、なかなか今すぐ使う予定のないどうでもいいようなものが買えません。

節約も貯金も今のところ楽しくやっていますが、どうでもいいもの大好き人間の私にとってはそこだけが少しストレスです。

その反動なのか、誰かへのプレゼントになるべく大きくて邪魔になるものを贈ろうとか、何に使うかわからなくて扱いに困るものを贈ろうとか、そういう迷惑なことばかり考えるようになってしまいました。(人に押し付けようとするなんてひどいですね。)


それから最近の変化といえば、少しずつ、明確に上演の予定が決まっているわけではないいつかのための稽古や準備などをすることが増えてきました。

そこでできたものが誰かの目に入ることがあるのかはわかりません。でも、今は私自身がすぐには使わないものコレクションの一員になったような気がして、でもカツカツに節約生活しているすぐには使わないものコレクションなので矛盾だらけです。


そんな感じで、今回はこれです!

プリンの空き瓶いっぱいに入ったボタン

プリンの空き瓶いっぱいに入ったボタン

服を大量に持っていて、いくら何でもいくつか手放さないといけないとなった時に、それでもやっぱり思い切れなくてボタンだけ外して取っておきました。本当にたくさんあるのでお気に入りの服のボタンが行方不明になったりしたら、声をかけてください。おすそ分けします。


次は他のメンバーの考えるすぐには使わないものコレクションを聞いてみたり、不要コレクション(ごみ?)や不急コレクション(すぐ思いつかない)などもいつかやってみようと思います。

※みなさんの「すぐには使わないものコレクション」がもしありましたらぜひ教えてください。メルマガご登録者の方からいただいた内容はここで紹介させていただくかもしれません。と同時に、私が「すぐには使わないものコレクション」を決める際の参考とさせていただきます。



|イチオシ・アルバム・レビュー(額田大志)


このコーナーでは、家でじっくり聴きたい音楽アルバムを1枚紹介します。


▷ The Real McKenzies “Off the Leash” (2008)
label:Fat Wreck Chords

新しい音楽に接する方法は人それぞれだと思うが、私はストリーミングが普及する2014年くらいまで、ネットはAmazonとWikipedia、リアル店舗はTSUTAYA新宿店と神保町ジャニスを使って音楽を探していた。
とにかくあらゆる音楽を聴きたいという思いがあったので、知らない音楽にアクセスするために下記のような手順を踏んでいた。

①Wikipediaで自分のよく知らない音楽ジャンルを探す
②見つけたジャンルの代表的なアーティストをAmazonで検索する
③そのまま関連商品(似たアーティスト)を飛び続け、解説やジャケット、レビューを参考に良さそうなアルバムを探す
④見つけたアルバムを複数枚メモして、新宿TSUTAYAでレンタルする
⑤新宿TSUTAYAになければ、神保町ジャニスでレンタルする
(あくまでも体感だが、新宿TSUTAYAは5割、ジャニスは8割くらいの確率で置いてあった)
⑥CDを全てiTunesに読み込む

こうして見返すと、デジタルとアナログの両方を使って音楽にアクセスしていたことがわかった。音楽ビジネスが大きく変化する直前だった。ストリーミングに移行した現在では淡い思い出でのようだが、目当てのCDを聴くだけでなく、リアルな店舗で発掘する面白さがそこにはあったと思う。実際、レンタルしてiTunesに読み込んだけど、聴いていないCDも正直沢山ある。何万枚のCDの中から、自分の求めた1枚を探すことが楽しかったのかもしれない。
(ちなみに新宿TSUTAYAは店舗が大幅に縮小し、神保町ジャニスのレンタル店舗は閉店してしまった。)

今回は、そんな当時の探し方で見つけたアイリッシュ・パンクバンドThe Real McKenziesを紹介したい。アイリッシュ音楽をパンクロックに乗せて演奏するスタイルで結成28年を迎え、現在も活動中(来月新作リリース)。あまり耳馴染みのないジャンルかもしれないが、アイリッシュ音楽特有の陽気な雰囲気に惹かれ、思い出したように年に1回は聴いてしまう。恐らく、あの時のような音楽の探し方でなければ、辿りつかなかった音楽だと思う。11曲目の"Drink Some More"は、コロナが落ち着いたら皆でお酒を飲みながら聴きたい名曲。



|編集後記 (河野遥)


少しずつ劇場公演の再開の兆しが見えてきたようです。
私も、7月に予定している劇場公演に向けて準備を進めています。最も以前と違うのは、感染症の予防と対策を考えなくてはならないことです。劇場(施設や職員)と団体、団体とお客様、俳優と俳優などなど… 今までは接触が不可欠であった、当たり前にやり過ごしてきた作業のひとつひとつを見つめ直し、最善策を取捨選択する日々を過ごしています。

久しぶりに劇場に来てくださるお客様には、少し困惑させてしまうかもしれませんが、ウイルス共生時代に適した新たな観劇の習慣を提案できたらと思います。

ともあれ、劇場でお会いできる日が近づいてまいりました。どうぞより一層体調に気を配り、劇場でお会いできたら嬉しいです。


さて、ヌトミックのメルマガ vol.4、お楽しみいただけましたでしょうか。
次回配信は7月17日(金)です。

最後までお読みいただきありがとうございました。



編集:河野遥
発行:ヌトミック

2020年6月26日発行



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