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vol.2 公演中止に至るまでの備忘録集〈ヌトミックのメルマガ〉

*この記事は5月15日(金)に「ヌトミックのメルマガ」で配信された内容を抜粋してお届けします。


|過去から考える(額田大志)


▷ イベントと公演中止の経緯

公開されているだけでも、ヌトミックで4つのイベント・公演が中止になりました。中止までのプロセスを備忘録としてまとめておこうと思います。


① 2020年3月26日〜27日
「未来の上演に向けたリハーサル」@東京都・みんなのひろば

3月上旬、開催を決断。
国から大規模イベントの中止が叫ばれていたので、極小規模なイベントとして何かできないかと考えた末にメンバーへ提案した。上演の中止が相次ぐ状況でもあり、未来のクリエイションのために時間を使いたいという思いもあった。イベントの内容も、いわゆる公開リハーサルで、観客は3名。ワークショップに近い、参加型のイベントだった。

3月12日、告知解禁。イベントの日程は3月23日〜27日の内の4日間。各回定員3名なこともあり、3月19日に予約は埋まった。

3月20日前後、いわゆる「三密」的な概念が浸透してきたと思う。
調べたところ3月18日に、総理大臣官邸公式Twitterで注意喚起が始まる。まだ三密とは呼ばれていないが、クラスター発生の共通点として認識が広まる。

3月23日、イベント初日。
東京でのイベントの中止も以前より相次ぎ、ヌトミックでも感染対策を準備。消毒液、マスク、換気などを徹底した。外出の自粛が徐々に浸透し始める。

3月24日、イベント2日目。休憩中に、週末の外出自粛要請が東京都より発表される。「三密」の文言が正式に(?)都知事会見で告知。
自粛要請に伴い、帰宅後にメンバーとチャット。イベントの後半日程となる、26日、27日の中止を決める。

3月25日、イベントの中止を発表。

② 2020年4月14日
「3 CASTS Vol.20」@京都・UrBANGUILD

3組の出演者によるショーケースイベント。短いパフォーマンスではあるが、カンパニーにとっては初めてとなる京都での上演だった。

3月5日、イベントへの出演が告知解禁。東京でのイベントは難しいが、京都なら大丈夫だろうという予感が、この頃はあった。

3月25日、「未来の上演に向けたリハーサル」開催中止を発表。

4月初旬、イベントの主催者と相談。中止(延期)が決まる。

4月6日、「3 CASTS Vol.20」開催中止を発表。


③ 2020年4月15日
「ヌトミックのワークショップ in 京都」@京都・studio seedbox

2月18日、京都のTHEATRE E9 KYOTOへ訪問。そのまま4月15日のワークショップ開催を決定。まだコロナの影響は目に見える限りは薄く、劇場も稼働していた。京都駅の回転寿司に寄った記憶がある。

2月28日、ワークショップの開催を告知。すぐに予約が埋まり、昼の回を設けることになった。イベントの自粛が始まってきた時期だが、4月には収束しているだろうという思いが強かった。

3月2日、ワークショップ昼の回の追加開催を告知。

3月25日、「未来の上演に向けたリハーサル」中止を発表。

4月初旬、京都の会場と中止についての相談を行う。

4月6日、「ヌトミックのワークショップ in 京都」の開催中止を発表。
参加予定者にキャンセルの連絡を入れる。「そうなるだろうと思っていました。」という返信が印象的だった。
同日、「3 CASTS Vol.20」の開催中止を発表

4月7日、東京都を含む7都府県に緊急事態宣言が発令。

④ 2020年9月
『JR常磐線上り列車(仮)』@東京・こまばアゴラ劇場

この演目は東京公演だけでなく、3都市ツアーとして計画していた。東京は2都市目に当たる。初演から大千秋楽まで、8月上旬〜9月下旬にかけて行う予定だった。具体的な情報は公開されてはいないが、全ての会場で中止が決定している。

3月8日、初演会場の制作さんとカフェで打ち合わせ。新宿で会った。公演の内容を詰めていく。中止になるかも、という空気はあったが、恐らく夏にはコロナも収束しているだろいうという見込みで、まだまだ開催の方向で進んでいた。
同日の夜、ヌトミックのメンバーと新宿のスペインバルで同公演に向けた打ち合わせ。閉店後も、そのままバーへ流れて話す。

3月25日、「未来の上演に向けたリハーサル」中止を発表。

4月4日、初演会場での上演中止が決まる。
一ヶ月の間で、オリンピックの延期も発表され、夏には収束しないだろうという見方が強まる。個人的な気持ちとしては五分五分くらいだった記憶がある。五分五分というのは、夏ならなんとか出来ないか、という気持ちと、中止もしょうがないな、という思い。

4月6日、「ヌトミックのワークショップ in 京都」、「3 CASTS Vol.20」開催中止を発表。

4月7日、東京都を含む7都府県に緊急事態宣言が発令。

4月10日、初演会場の中止を受けて、ヌトミックのメンバーでWebミーティング。初演は中止になったが、他の二都市では上演したいというメンバーの思いもあり、東京公演の実現方法を探る。個人的には、初演がなくなったことにより制作費を回収できない可能性も高く、実現については若干否定的。加えて、夏はもちろん、秋や冬の上演も難しいのではないか、という思いが強まる。
あくまで個人的な感覚だが、収束には数年掛かるだろう、という情報がすんなりと理解できるようになる。

4月15日、再びヌトミックのメンバーでWebミーティング。二都市で上演できそうなプランを検討する。いくつかのアイデアが出る。ただし、前述の金銭的なリスクもあり、ツアー全体を中止とする雰囲気が高まる。とはいえ、自分たちだけで決められる問題ではないため、一旦劇場に連絡を取ることにする。

4月16日、緊急事態宣言が全都道府県に拡大。

4月18日、メンバーの中では、東京公演中止の方向で意見がまとまる。劇場側の意見も聞きつつ、調整に入ることになる。

5月初旬、劇場との調整が終わり、中止が確定。関係者への中止を報告。

5月7日、『JR常磐線上り列車(仮)』東京公演の中止を発表。


なお中止となった各会場では、以下の試みを実施中です。

・UrBANGUILD
支援物販
https://urbanguild.stores.jp

UrBANGUILDゆかりのアーティストの作品を購入することで、支援できるプロジェクト
https://keepurbanguild.bandcamp.com

・THEATRE E9 KYOTO
仮想の劇場「THEAER E9 Air」
https://askyoto.or.jp/info/5103

・こまばアゴラ劇場
劇場支援会員の期限が延長されたようです。今からの入会も可能です。
http://www.komaba-agora.com/2020/05/10776



|原田の、すぐには使わないものコレクション(原田つむぎ)


このコーナーでは、ものすごくざっくりまとめると、不要不急という言葉に飲み込まれないぞ!という意思のもと淡々と「すぐには使わないものコレクション」を紹介する予定でしたが、2回目にして、早速行き詰まっています。「すぐには使わないものコレクション」は選ぶのがとても難しいということに気が付きました。

最初から気づけよという声が聞こえてきますが、1回目の時は、家の中にあるものの中でこれかな?と割とすぐに思いついたのです。でもいざ、2回目に向けてさあ選ぶぞ、となった時になかなか決められませんでした。

例えばこちら。

箱根のお土産の小さいガラスの動物たち

箱根のお土産の小さいガラスの動物たち

これは、台所の窓際に飾っているもので、第2回目の「すぐには使わないものコレクション」にノミネートされました。しかしこれは「すぐには」どころか、この先「使う」ということがあるのか?そもそも置いてあるだけで役割を果たしているのではないか?と思い、コレクション入りはいったん保留としました。

また、こちらはどうでしょう。

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肩書などが変わったのでもう使わなくなった名刺

これは、タイトル通り「もう使わなくなった」ので、「すぐには使わないものコレクション」とは言えない気がします。でも万が一、今使っている名刺を使い切ってしまったときに急遽間に合わせとして出番があるかもしれないので、コレクションにとても近いようにも思います。


こんな感じで、「すぐには使わないものコレクション」というのは、かなり曖昧に決めることになります。そして私がいかにものを捨てられないかが皆さんに伝わったのではないでしょうか。

第一回目で選んだものをもとに考えてみると、

・本当は何か役割があるのに(何かを入れる、重しになる、など)
・その役割を忘れ去られていて
・正直捨てても生活には影響はほとんどないのだけれど
・でもいつか出番が来るかもしれなくて
・なんとなく自分のために取っておきたいもの

ということになるのでしょうか。

(第一回目をまだ読んでいない方は、vol.1をご覧ください。写真の画質の悪さの謎も解けるかと思います。)

だいたい、「なんとなく」取っておきたいという時点で曖昧です。でも色々なお掃除動画を見ると、その「なんとなく」は割とキーで、そこで引っかからなかったものは全部捨てましょう、という考えが一般的なようです。

次回のこのコーナーでは、「すぐには使わないものコレクション」にも、「すぐに使うものコレクション」にもノミネートされなかった、しかし「絶対使わないものコレクション」にも入らない宙に浮かんだ持ちものを、私がどのように扱うことに決めるのか。そんなお話になる予感がしていますが、コーナーの2回目で早速行き詰まるような私なので、まったく違うお話をしているかもしれません。

そういえば先日テレビを見て知ったのですが、タピオカブームは終わり、バナナジュースブームが来ているのだそうです。それなりにタピオカが好きな私にとっては少し寂しくもありますが、早速Amazonでジューサーを注文したのでそのうちバナナジュースを作ってみようと思います。おいしいものができたらレシピとともにご報告します。


※原田が迷い始めましたが、みなさんの「すぐには使わないものコレクション」がもしありましたらぜひ教えてください。メルマガご登録者の方からいただいた内容はここで紹介させていただくかもしれません。と同時に、私が「すぐには使わないものコレクション」を決める際の参考とさせていただきます。



|ふかさわのまとめ。(深澤しほ)


▷ 2020年5月3日

やっぱりな、という感じですが、緊急事態宣言が延長されるようです。落胆しつつ、私の身体はというとやっと家での過ごし方に慣れはじめていて、その変化には楽しさを感じています。

私にとって家は寝る為の場所、という位置付けだったので、何か作業をしようとしてもどうにもダメなのです。だから「家で運動しよう!」なんていうのは難易度が高い。私にとって家は運動する場所じゃない。
でもやっぱり身体は動きたいようで、料理をしているときに爪先立ちをしてみたり、寝る前に脚を天井に向けて伸ばしてみたりして、今では狭い部屋でストレッチくらいは出来るほどに身体も心も器用になりました。

そして運動は週に1回、近所に住む友人と散歩をしています。山梨県出身の私たちは高校の時からの付き合いで、彼女の勤めるカフェも休業を余儀無くされています。そんな彼女との先日の会話です。

(以下、深澤=私、友人=友)
友 「ねえ、マスクしててさ、息が苦しくなったりする?」
私 「しない」
友 「だよね!カフェの人達がさ、マスクしてると苦しくない?って言っててさ、別に苦しくないなーって思って」
私 「うん」
友 「で、うちのカフェ、在庫の豆をカフェとは別の場所で管理してるのね、場所が遠いんだけど、歩いて取りに行かなきゃいけなくて」
私 「うん」
友 「5キロの豆を抱えて移動するわけよ、他の人たちはさ、豆重い上にマスクしてるからいつも以上にヘロヘロになるらしくて、でも私は全然余裕で」
私 「うん」
友 「みんながね、私に持久力ありすぎだよって言うんだけど、私、運動してないし」
私 「うん」
友 「それで、考えてみたんだけど、富士山の近くで育ったからだ!と思って!」
私 「ん?」
友 「富士吉田さ、標高高いから酸素薄いんだよ、だから勝手に肺鍛えられてたんだよ!」
私 「なるほど!」
友 「すごくない?!」
私 「じゃあ体育の授業とか競歩大会で富士山登ってたのはアスリート並みの運動量だった可能性あるね」
友 「そう!河口湖とかに大学のスポーツの寮あるし!」
私 「なんかすごい納得したわ」

その後はお互いに、マスクをしているときや走るときの独自の呼吸法について語り合い、とても楽しい散歩をして解散しました。

なんてことない会話だったのですが、生まれ育った土地の恩恵を受けた身体、というのを感じて、いろいろなことの点と点が繋がりました。
家から駅まで走っても意外と疲れなかったり、縄跳びしてても割と息が切れなかったり。

昔、環境に育ててもらったことが今も残っているのって、自分の身体の中にふるさとがある感じがしてなんかいいなあ、と思ったのでした(出身地と肺の強さの関連性については、もちろん、友人の勝手な考察です)。

一連の話を山梨に住む家族にもラインで送ったら「確かにそうかもね!」なんて盛り上がり、最後に「心肺は心配しないで!」と添えましたがそこは既読スルーをされました。
3日後にまた、彼女と散歩に行ってきます。



|イチオシ・アルバム・レビュー(額田大志)


このコーナーでは、家でじっくり聴きたい音楽アルバムを1枚紹介します。


▷ Chick Corea “Children's Songs”(1984)
label:ECM Records

ジャズピアニストのチック・コリアによる、ピアノ小品集。
ジャズ的な即興は影を潜め、シンプルなフレーズを中心とした楽曲が並ぶ。

曲名には番号が振られ、技巧的にもシンプル、かつピアノだけで構成されるなど、クラシックの「練習曲集」を想起させられる。一方、ハーモニーはジャズのスタイルで書かれているため、両者の混じり合いが面白い。楽譜も販売されている。



|編集後記 (河野遥)


日々、withコロナについて考えています。
今はさまざまなコミュニティで対話を重ね、言葉や方法を探しているところです。この先メルマガでも、少しずつ発信していけたらと思います。

さて、ヌトミックのメルマガ vol.2、お楽しみいただけましたでしょうか。
次回配信は6月5日(金)です。

最後までお読みいただきありがとうございました。



編集:河野遥
発行:ヌトミック

2020年5月15日発行



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