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「優秀だね」って言われたくなかった。
「きみは優秀だね」と言われたら、あなたはどう感じますか?嬉しいとか、もっとがんばろうとか、気が引き締まるとか、謙遜する気持ちになるとかでしょうか。
わたしは、つい最近まで「優秀だね」と言われることに「気持ち悪いな…」と違和感をもっていました。
一般的にもらって嬉しい言葉であるはずなのに、どうにも生きづらさを感じる。わたしにとって「優秀」は自分と相手を分断する言葉でしかありませんでした。上下が決まってしまう、相手と線が引かれる、そこに格差が出来てしまうどこか冷たい言葉でした。
優秀な人は、頭が良くて動じずに物事を進められ、成果が出せる人なイメージがありました。わたしは、怠惰だしすぐ感情に揺さぶられるし優柔不断だし…優秀な人には該当しない。自分を「上」みたいに思うのも、そう見られるのも嫌でした。
大学時代、尊敬する方に「優秀だね」と言われたときは、絶望する気持ちのほうが強かった気がします。就職活動で「優秀だね」と言われた際も、「優秀って、言われたくないです」と苦しい声を出した記憶があります。
わたしはまったく優秀なんかじゃない。周りはわたしのことを何も分かってくれていない。そう感じていました。
転機となったのは、会社の入社式。ちょうどその言葉について触れる時間がありました。
「優秀とは、人を憂うことに秀でている、ということです」
その時はじめて、わたしは何か思い違いをしていたのではないかと気が付きました。人を憂う、気遣うことに秀でているからこそ、たくさんのことに気が付き、先回りして行動できる。その行動が周りを助ける。
優秀は上下を決める言葉なのではなく、ただその人の気配りに敬意を示す言葉なんだ。
そのとき感じた感情をうまく表現できないのですが、ぶくぶくと小さな泡が胸の奥ではじけるような感覚でした。とても嬉しいような、救われるような、心が澄み渡るような、そんな感覚。
今までもらってきた「優秀だね」の呪いが少し軽くなった気がしました。もし今までもらってきた「優秀」が会社で聞いたような意味だったら。上下を感じていたのは、自分自身が心の奥で人をそう判断する癖があったからだとしたら。
今までもらっては撥ねつけてきた言葉たちを、まっすぐ受けとれる気がしました。そして、今まで否定し続けていた自分を、肯定してあげられる予感がしました。
人を憂うことに秀でていること。それが優秀。
なんだかすごく、素敵じゃないですか?
もしも同じように苦しんでいる人がいたら、と思って書いてみました。言葉の意味を知りまっすぐ受け取れるようになったことで、わたしは世界が180度変わりました。
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