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書評つぶやき(写真付き)

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筆者による書評つぶやきをマガジンにまとめました。
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記事一覧

最近書評を書けていないのは読んでいないからではなく、むしろ以前より読書スピードが増したためである。本日読み終えた本をタイトルだけ記す。吉野裕子『蛇-日本の蛇信仰』(講談社学術文庫)、アルノ・グリューン著 村椿嘉信訳『従順さという心の病』(Yobel,Inc.)。

悟塔雛樹
2か月前
5

ジャンヌ・シオー=ファクシャン著『大人のギフテッド』(筑摩書房)を読了。いわゆるカサンドラ症候群とは、ギフテッドのことだろうかと思わされる。予言(先取り)の力を持つのに、誰にも理解されない絶望を味わうとのことだから。フランス語から訳した業績は素晴らしいが、日本語が若干読みにくい。

悟塔雛樹
5か月前
8

書評が書けていませんが、ここ最近読了した本とマンガをまとめて写真に収めました。9冊ぶんあります。自分の興味が、じわじわと広がっているのだけは分かります。また次の本から、少しずつ載せる予定。記録代わりに。

悟塔雛樹
5か月前
4

朝日新聞大阪本社編『丁丁発止 梅棹忠夫・鶴見俊輔・河合隼雄』。民族学博物館を訪れる直前に読了した一冊。三者による鼎談を収めたもので、読みやすくも奥深い。1998年刊行という時代は感じるものの、本書での提言を我々は未だ活かせていないと思う。日本と世界とを考える上で、読んでおきたい。

悟塔雛樹
5か月前
4

岡南『天才と発達障害』(講談社)を読了。この天才とはサグラダファミリア建設のガウディと、『不思議の国のアリス』作者キャロルを指す。著者が室内設計家というのがユニークで、主に「視覚優位」「聴覚優位」の分類と解説が軸。私自身の話が人に通じにくいのも、「映像思考」の傾向があるせいかも。

悟塔雛樹
5か月前
10

最相葉月『中井久夫 人と仕事』(みすず書房)を読了。精神科医・中井久夫の生涯や業績をまとめたもの。中井が、晩年カトリックに入信したとは知らなかった。今も彼の『治療文化論』を読んでいるが、先日は民族学博物館に行ったばかり。私のような人間に向いているものが、少し見えてきた。

悟塔雛樹
5か月前
8

パオロ・マッツァリーノ『サラリーマン生態100年史』(角川選書)を読了。昭和のサラリーマンの実態を知りたくて読んだが、産業スパイ育成学校の話など傑作。皮肉は辛辣だがユーモラスで、ちょくちょく大笑い。だが文献などを綿密に調べて書かれており舌を巻く。著者は偽名らしいが、凄い人では。

中根千枝『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)を読了。本書の議論は有名なので、半ば常識とされてきているかもしれないが、精緻で的を射た記述には脱帽。さすが「名著」。日本社会を仔細に論じるためには、やはり外国との比較が必要なのだと感じる。多様な考え方が磨きあってこその知性だとも。

悟塔雛樹
6か月前
3

ある方のおすすめで、梅棹忠夫『文明の生態史観』(中公文庫)を読了。実に面白かった。いわば生態学と人類学の架け橋だが、さらに神話学などを挟むことで心理学にも繋げられないものだろうか。中沢新一の『アースダイバー』シリーズにも通底する何かを感じる。やはり地理学も、かじった方が良さそう。

悟塔雛樹
6か月前
8

柴山哲也『新京都学派』(平凡社新書)読了。文系の錚々たる学者たちが名を連ねる学派。最近の読書は大半がこの辺りだが、だいぶ回り道をした。高校時代、筆者に謎の抵抗をした当時の親教師どもは機会があれば、全員逆さ吊りにして辛子マヨネーズ漬けの刑である。私は文系志望だと言っとるだろうが。

悟塔雛樹
6か月前
5

河内厚郎・編著『阪神学事始』(神戸新聞総合出版センター)を読了。大阪と兵庫は昔はひとつだったが、国策により分断されたそうだ。筆者としては日本における人形劇の発祥が興味深かった。30年前にまとめられた本なので時代を考慮して読む必要はあるが、自分も阪神間文化に携われたら楽しいと思う。

悟塔雛樹
6か月前
2

中沢新一の叔父、網野善彦の『日本の歴史を読みなおす』(筑摩書房)を読了。いつかは読まねばと思っていた本だが、文庫版とは違って前編部分にあたる。大学での講義を収めたものなので、書き言葉でないぶん読みやすい。むかし学校で関心を持てなかった領域を埋めていく楽しみがある。続編も読みたい。

悟塔雛樹
6か月前
4

深尾葉子『日本の社会を埋め尽くすカエル男の末路』(講談社プラスアルファ新書)読了。日本人の不幸の構造的な原因に、男女相互の固定観念があることを暴く第二弾。あの「半沢直樹」が男性の不幸の裏返しであるという指摘は卓見。強すぎる思い込みは自縄自縛だと、自覚だけでもするべきなのだろう。

悟塔雛樹
7か月前
5

井沢元彦・島田裕巳『天皇とは何か』(宝島社新書)読了。心理的一様性を担保するために、日本人はむしろ「天皇制を利用してきた」のかもしれないと感じた。世界が「多様性」へとシフトするなか、ある意味で日本の独自性を代表する天皇制について作家と宗教学者が対談する。