センチメンタルな話はしたくない


こんな感情、知りたくなかったし認めたくなかったわたしは、それに蓋をしてよそに追いやった。

でも離れたくなくて、見えない鎖をつけた。こっそり。

そうして数年経ってしまった。8年くらい。

わたしたちをとりまく環境は変わったし、わたしも変わったと思う。

だからこそ、もう離れなくちゃいけないと思って、鎖を解いた。


ひさびさにあった彼は相変わらずだった、ずるいくらい見た目がタイプなんだ、と思う。わたしの細胞が彼を欲しがる。

それを抑え込んで、溢れないように笑ってごまかして、じゃあねーって言う。

こんな陳腐な感情、知りたくなかったし、いつだってわたしたちはタイミングが合わないのに、どうして離れようとしても離れられないのかっておもう。本心をちゃんと話したことなんてないのに、なにかが漏れ出てるのかな。彼の気持ちも知りたくないし、わたしの気持ちを言いたくもない。

もう、遅い。だってわたしたちは、とっくの昔にタイミングを逃してしまっているんだから。

言ってしまったら本当に終わりだと思うから、言えないのかもしれない。だからもう、離れてほしいんだ、なにも言わずにいなくなってほしい。

見えなければ、欲しくならないから。

さようなら、古い感情、さようなら、センチメンタルなわたし。

わたしはだれも好きになんてならない、なりたくない。弱いから。

21.07.29

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