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アスレチックス、ラスベガス移転へ

1,白いゾウの旅はまた続く。

アスレチックスがラスベガスの用地買収 27年本拠地移転に向け2000億円超の新球場建設予定(日刊スポーツ)

MLBファンとの会話の中でオークランドとアスレチックスの関係があまり良好ではないというのは聞いていた。21年にはすでに出ていた事から秒読みとまでは言わずとも決して遠い話ではないと思っていたところだ。
元々アスレチックスはMLBでもかなり移転の多いチームだ。元々フィラデルフィアで生まれたアスレチックスはコニー・マックの手を離れた後、カンザスシティ、そして現在のオークランドに移住してきた。1968年の事だ。

それこそ現在ではアスレチックスといえばオークランドの印象を持っていると言っても差し支えない。ロリー・フィンガースやレジー・ジャクソン、リッキー・ヘンダーソンにマーク・マグワイアやホセ・カンセコのバッシュブラザーズといった日本にもなじみの深い選手が多い。現在では藤波晋太郎が悪戦苦闘している。
そしてなにより2000年代、現在の野球に強い影響を残した「マネー・ボール」が生まれた地でもある。弱いチームがどういった着眼点で選手を取っていくか。これに対して新たな軸を生んだ球団でもあった。(言い換えたらあまりにこれをどこの野球界も重視しすぎてぱっと見の分かりやすさを失い、新規のファン層を生みにくくなった根本的原因と言われたらそうなるが)

いかにしても近年の低迷により集客数が悪化気味である事、リベラル思考の強いオークランドと古きアメリカの象徴的な要素を持つ野球との市民バランス、また人種混成率の高さから治安が安定しない問題もあったと見える。いかにせよ客がこないしオークランドもチームの存続を求めていない事の二点から移転になったようだ。

2,ラスベガスという土地

2027年を一つの目標にラスベガスに移転するという事だがどうなるのだろうか。今更言うほどの事ではないがカジノで有名な場所くらいは記憶にあるだろう。

しかし記録をたどれば意外と面白い。ゴールドラッシュ時の中継地点であった事、高山地帯の砂漠地帯で、比較的水を得る事が可能だった場所である事や世界恐慌からカジノやフーバーダムなどの政策が絡んだ土地である事など、面白い記録が残る。砂漠地帯だからこその水に所縁を持つ土地であった。

高山地帯かつ乾燥地域、からも察する事が出来るようにパークファクター(PF)はかなり打撃よりの傾向が出来る。現在オークランド傘下のラスベガス・アビエイターズのいる球場であるラスベガス・ボールパークは去年の段階で脅威の122を計測。(https://www.baseballamerica.com/stories/minor-league-baseball-park-factors-2021/)
アビエイターズの属するパシフィックコースト・リーグは元来打高の性質を持つと言われているがこういったPFの高いチームが多く属している事も大きく関わっている。

このラスベガス・アビエイターズは意外な事に日本とのかかわりが深い。
例えば木田優夫や中村紀洋が所属していた時期があったり、D.J.ホールトン、ブライアン・ファルケンボーグも活躍していた。
これだけでなくアビエイターズがメッツ傘下だった時代にノア・シンダーガードやジェイコム・デグロムがいた時代もあり、多くのエースクラスと呼ばれた投手が生まれたチームでもある。日本でも話題になった選手がいるのだ。
ちなみに去年のチーム本塁打王はマット・デビットソンの24本(.298)。現在広島カープに所属しており、これもまたかかわりが強いチームとなった。(https://www.baseball-reference.com/register/player.fcgi?id=davids002mat
現在アビエイターズの今後は話として挙がっていないがどうなるのだろうか。アビエイターズの使っているラスベガス・ボールパークは2018年に完成したことも踏まえて、2027年にアスレチックスは新球場を建てる事を合意しているので今後どうなるのかを見守りたい。

近年はラスベガスも四大スポーツ勧誘に力を入れているようで2017年のNHF、アイスホッケーチームのベガス・ゴールデンナイツを皮切りに20年にNFLのアメリカンフットボールチーム、オークランド・レイダースがラスベガスに移籍。アスレチックスもこれに倣ったところがあるのだろう。
さらにWWE悪のオーナー、ヴィんス・マクマホン・Jrが協賛したアメリカンフットボールリーグ、XFLを20年ザ・ロックことどぅえイン・ジョンソンが買収、タンパベイにいたバイパースをラスベガスに移転させるなど力の入れ具合がすさまじい。
そうでなくともボクシングを中心に格闘技や、ショー文化からパフォーマンスなどが栄えたラスベガスである事を考えると最後の砦として四大スポーツを得たいという気持ちも分かる。それに白羽の矢がたったのかもしれない。

3,ラスベガスとアスレチックス

実はアスレチックスとラスベガスは全く無関係というわけでもない。
勿論3A傘下のチームがあるのだが、アビエイターズはその前身である51ズの時代から元々多くのチームと契約を結んできた。実際シンダーガードやデグロムがいた時はメッツ傘下である。アスレチックスと長い付き合いがあるというわけではない。
それでもアスレチックスはわずかの期間ではあるがアビエイターズが以前本拠地として扱っていたキャッシュマン・フィールドを仮の拠点とした時がある。
1996年、アスレチックスの本拠地であるオークランド・アラメダ・カウンティ・コロシアムがロサンゼルスから再移転してきたレイダースのために球場の改修工事が行われ、そのためにほんの一瞬ではあるがラスベガスを拠点にしていた。
わずか6試合ではあるものの、こういったところでアスレチックスとラスベガスの不思議は縁があったのだ。

僅か六試合の間で対戦したチームはトロント・ブルージェイス、デトロイト・タイガースの2チームのみ。
4/1~4/6までの間試合を行っている。
この時主砲であったマーク・マグワイアが欠場。その際に後々MLBを沸かせる事になったジェイソン・ジアンビーがファーストに入っていた。しかしまだ若手のジアンビーではチームを引っ張る事が出来ておらずチームは2勝4敗という成績でア・リーグ西地区では最下位に落ちる事になった。
最終戦の6日はマグワイアの代わりに主砲としていたジェロニモ・ベローアが左翼にサヨナラ2ランホームランを打ってなんとか気持ちよく締めた。
この後マグワイアが四月下旬に復帰したり、ソフトバンクにも一年在籍したトニー・バティスタが出てきたりしてシーズンを終えたら最下位を免れて四位中の三位。阪神などにいたジョージ・アリアスや元横浜のマイク・ホルツ、ジャック・ハウエルなどの日本を経験した選手が多くいたカリフォルニア・エンゼルスが最下位であった。

そのチームがラスベガスにやってくるのだからどうなるのだろうか。
現在パークファクターはコロラド・ロッキーズ、クアーズフィールドの112を中心にシンシナティ・レッズ、グレートアメリカン・ボールパークの111、ボストン・レッドソックス、フェンウェイパークの109であるから(https://baseballsavant.mlb.com/leaderboard/statcast-park-factors?
ここのあたりに絡んでくる可能性は非常に高い。昔からホームランこそが最高の観客動員という傾向のあるMLBであるからラスベガスの新球場もまたそうなるだろう。

それはベローアのサヨナラホームランのような錦を担げるようなチームになるのか。
やはり2勝4敗のなんか寒いチームになってしまうのか。今後が楽しみになっていくのか。
話題は尽きそうにない。

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