六番打者の面白さ

 プロ野球も開幕すると情報が濁流のように流れてくる。そのためスターティングメンバ―なんかはすぐに調べられるいい時代になった。
 その中で近年でも面白いポイントになりつつあるな、と感じたのは六番打者である。

1,プロ野球今シーズンの六番打者

 セ・リーグだと印象的なのは巨人か。以前まで力強い打撃が魅力だったがベテランなってきた丸佳浩を固定。かなり好調な滑り出しをみせ、それがチームの好調にも繋がっているようにも見える。
 一方中日は阿部寿樹を中心に鵜飼航丞、根尾昴と若手を置く傾向がある。阿部の代わりに鵜飼が三番に座る事もある事もあってか、固まらないながらも今後のチームを支える選手を使っていきたいという気概を感じる。

 阪神はベテランの糸井嘉男が。一方でヤクルトは若手の長岡秀樹が座る。
 DeNAにはノンテンダーFAで入ってきた大田泰示が入る。安定しないのは広島か。曾澤翼、中村健人、マクブルームの状態を見ながら起用しているという感じか。

 チーム事情が一気に出ている。

 パ・リーグに行くと鈴木大地、和田恋を併用する楽天。二年目に突入するラベロを基本として使うオリックス。
 西武は脂の乗ってきた外崎修汰を固定。ロッテの岡大海もそれに準ずるか。ロッテに関しては若き大砲候補の山口航輝を見ているところもあるからシーズン中にここの変化はあるかもしれない。

 ソフトバンクは固定定まらずといったところで日ハムは今のところ明確なデータはない。今日あたりから本格的な傾向の話が出来るようになっていくのではなかろうか。

 どちらかというとセ・リーグの方が六番に対するイメージが固定できており、一方でパ・リーグのチームは西武、ロッテ以外は定まっていない、というような感じか。

 外崎は爆発力が高い。クリーンアップに座らせるほど存在感があるわけではないが2019年のような暴れっぷりを見せてもらいたいという首脳陣の期待が見えている。
 またソフトバンクは松田宣浩が六番、七番にいる事もあるのでベテランの彼が生き残るのか、それとも若手が食い破っていくのか。そのあたりも見ものだ。

 日ハムに関してはほとんど選手の入れ替えが激しく、今のところ機能などを意識して動いているとは考えにくい。実績ある選手がほとんどいない現状を考えると、若手に一軍の光景を見させて学ばせる、という方針か。いかにせよ、この打順にこの選手を、というようなものは見受けられない。彼の采配がどのようになり、どのように球界に及ぼしていくのかは楽しみなところだ。

 そんな事情が見え隠れしている。

2,考察

 岡田彰布が球辞苑で六番打者の重要性を語っていたが、それが思い切り出るような形になった。打力の高い選手を上位に置くのは当然として、打力を取るのか守備を取るのかを迫られる下位打線において、チームの得点をどうとらえるか、が映っているように思える。

 この場合三つの構想があると考えられ、現有戦力で一番力のある選手を固定し、現在の段階で勝利を取っていく巨人、西武、DeNA、阪神のような形式。若手の四番候補やスタメン不慣れな選手の水慣れをさせるために起用して経験を積ませ、シーズン後半から数年後を見据えた考え方を持つ中日、ロッテ、オリックス、ヤクルトなどの形式。今のところ起用が定まっておらず、今シーズンの固定を悩んでいる広島、ソフトバンク、楽天、日ハム。といった三者三葉の形式が見て取れる。

 一つめの考え方ははまれば強いのだが打順の形が整っていないと勝敗がくっきりしてしまうパターンになる。打順が上手くはまっていない阪神が苦しむ要因は投手由来のところも強いが決してそこもないとは言えないだろう。

 二つ目の考え方は多少我慢を有するところだが、ヤクルト長岡のように活躍が顕著になるとチームも上向きになっているところがある。やはり若い選手や活躍したくてたまらない選手が活躍するとチームも活性化するところなのだろう。

 そういう意味では三点目というのは今シーズンをどう乗り切っていくのか、という事を長考するところがあるためにどちらかというと負けそうな気がするが、ソフトバンク、広島がこの位置にいるというのは面白い。
 とはいえこの辺りはいきなりどう変わるか分からないところでもあるので長期戦を見据えると固定したいところだ。

3,意見と展望、感想

 日米ともに統計学が発達したことによって、既存の一番は足が速くて四番がホームラン、がどんどん細分化されてきている。二番打者にどういった打者を置くのか、というのは未だに議論になるところでもあるし、その気になればどの打順でも語れる時代が来るのだろう。

 一方でこういう統計学的な図りのみならず、チームの考える意図みたいなところはチームの命脈が聞こえるようでこれもいい。緻密な算術を乗せていくと一つの物語における感情になる、というのは映画論を語っている富野由悠季が言ったところだが、それがチームの打順にも流れている。

 考えてみれば現在カブスに入った鈴木誠也も本格的台頭に至る時は六番打者からだった。広島でスタメンを狙う長野義久も六番を守る事が多かった。両者とも大打者に成長したが、大打者になるとっかかりの一つであったり、現在の丸や糸井と言ったように四番ほどの力は失われたが勝負強い打撃を欲しているチームが彼らの力を信じておくような、そんな打順なのかもしれない。

 ここを調べてみるのも面白そうだ。

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