助っ人外国人のアメリカ時代を調べるのが楽しい

最近はずっとbaseball referenceばかり見ている。
オフシーズンで興味を引く情報が少ない事と本業が忙しすぎるためではあるのだが、これが意外と面白い。
どうしても我々は新聞やネットニュースの記事、そして現役であればyoutubeなどの動画から選手を確認する事が主流になり、こういった数字なども統計学的な要素を求める傾向にあるから今の選手はそうされる傾向にあるが、案外外国人選手が「助っ人外国人」と言われていた選手の成績を見てみると面白かったりする。

例えばカルロス・ポンセなどはMILに一年だけ在籍しているのだが大洋ホエールズに来て以降の活躍など考えられないほどひどい成績をしている。どうしてNPBで活躍できたのか、と問いたくなるくらいひどい。
一方でAAAでの成績を見てみると20本塁打は基本で三振が多く、代わりに打つときは打つので打率も揺れがひどい、という大洋時代のままの印象でプレーしていたりする。
(https://www.baseball-reference.com/register/player.fcgi?id=ponce-002car)

一方ネタ外国人として人気を持つケビン・メンチを調べてみると後一年活躍すれば契約する際にかなり難しい選手であったのではないかと想像できるほどメジャーデビュー時の活躍がすさまじい。
人生はどういう転び方をすればこうなるのか想像につかないという典型例といっても差し支えない。
https://www.baseball-reference.com/register/player.fcgi?id=mench-001kev

特に80~90年代初頭における外国人選手のメジャーデビュー後の成績は目を見張るものが多く、FAと球団の関係が揺れた時代であったとはいえよくもまああんな選手たちがやってきたものだ、と思わせるほどの入り乱れようで、まさに日本という大地を使ったメジャー、マイナー選手のMLB実績を取り外した殴り合いの様相を呈していたりする。
「メジャーでこれほど活躍した選手」が「メジャーで箸にも棒にもかからない選手」に負ける事も少なくない、ロイヤルランブルになっており、今のMLBがすごくMiLBやNPBはその下、みたいな印象が一気に変わる。むしろこの時期程MLBという世界に一番近付いたのではないかと思わせるほどだ。

こういう姿が見えてくると、現在のMLB礼賛主義とはなんなのか、という事を考えてしまう。
私は中学、高校と古いジャズに触れてきたアメリカ好きっ子であるのがたたって現在もこのようなアメリカ野球の歴史を発掘して興奮する人間になってしまったのだが、改めてアメリカという世界を掘り起こすと自分の住んでいる世界の同じジャンルを比較するきっかけになり
「アメリカと考え方は違うが日本のやり方もなかなか」
となる事が多い。

野球などはアメリカのやり方が全て正しいとも思わないし、なんなら過去日本の先人がすでにやった事でもあると感じる場面も少なくない。
かといって日本の先人が全て優れていたかというと、やはり時代に合わせておおざっぱなところがあり、そこを機能化させたアメリカというのも評価したい。
そんな考え方になるのだ。

以前ツイッターでも吐いたのだがどうも日本は未だに力道山的な
「強い日本人が(悪い)アメリカ人を倒す」
「アメリカ人を倒して日本人も仲間入り」
みたいな風潮があるように思える。そういった対立構造で物を見るのはエンターテイメントとしては正解ではあるのだが丁寧な見方であるとは到底思えない。
それはメジャーに弾かれた旬の若者が日本を舞台に変えて過去メジャーで活躍した選手をねじ伏せるような光景を見ると改めて思うのだ。必ず実力は同じ舞台で出てくるわけではない。アメリカという土台で咲く花もあれば日本で咲く花もある。どちらが素晴らしいというものではなく、どちらもいいところがあり、悪いところがあるのだ。

一方でアメリカで活躍できなかった若者が環境を変える事で活躍する可能性も見受けられる。MLBという環境だけが正解ではなく、NPBやKBO、CPBL、ABLや欧州野球に答えがある可能性もある。だからこそ日本以外の選手もNPBや他のプロリーグを選択に入れていいと思うし、今日本で苦しむ選手もNPBやMLB以外に答えを求めに行ってみてもいい。遠くはアフリカ、タンザニアで野球を教える事に意味を持つ若者もいる
自分の人生をMLB、NPBに埋める必要もないだろう。新たな世界だからこそ新たな答えも出てくる。ここにおいてWBCのもつ本来の意義が隠れていると思う。
世界一の山を登り切る事が全てではない。最早エベレストはルートが開発された。だが登り方は多くある。登られていない山も多くある。その道を探すのも野球における一つの答えでもあると思うのだ。

そういうのを改めて日々の学びから覚えている。

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