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俺と格闘ゲームの話 16 ~格ゲーニューウェーブ時代突入 そしてスト4~

1、美少女限定の2D対戦型アクションゲーム!?~アルカナハート~

 俺と格闘ゲームの話も終わりに近付きつつある。
 というのもここから先はほとんど格ゲーをしなくなったからだ。

 その終盤期に入ってくる。
 ウメハラの「背水の逆転劇」やメルブラの登場によってにわかにゲーセンに格ゲープレイヤーが増えてきていた。あの格ゲー冬の時代といわれた00年前半も終わり、もう一度みんながゲーセンで格ゲーを!という時代になりつつあった。

 そのために一部格ゲーが息を吹き返していた時期でもあった。
 カプコンとSNKのオールスターバトルであった「カプコンVSSNK2
 韓国企業から買われたSNKが出した隠れた名作にして残虐表現が激しすぎてコンシューマ化は無理と言われた「サムライスピリッツ零スペシャル
 この時期には一番強かった3D格闘ゲーム「鉄拳5

 多くのプレイヤーが舞い戻ってきていた。

 一方昔に比べて戦う相手も増えていたのは事実だった。
 「ポップンミュージック」「太鼓の達人」といった新世代の音ゲーたちは勿論の事、大型筐体の「機動戦士ガンダム戦場の絆」や「ボーダーブレイク」。「三国志大戦」「WINNING ELEVEN ARCADE」「BASEBALL COLLECTION」といったカードを使うコレクション要素を持つタイプのもの。「麻雀格闘倶楽部」「MJ4」といった全国オンライン麻雀ゲーム。陰にひっそりと「アイドルマスター」「クイズマジックアカデミー」や昔ながらの「バーチャロン」。
 まだまだゲーセンはゲーセンなりに生き残りをかけて戦っている頃であった。

 アーケードゲームはなんだかんだ筐体を食うのでやはり生き残れなかったゲーム機はそのままほかの筐体に消えていった。
 特に強かったのが2007年からゲーセンで猛威を振るった「機動戦士ガンダムvsガンダム」。これの登場によって消えた格ゲーはかなり多い。現在でもプレイヤーは多いが、この時はすさまじかった。どのゲーセンでも夜7時には四人座ってずっと誰かが戦ってる。そんな状態だった。

 復活の目はあるとはいえ、やっぱりしんどい格ゲー。
 その中、メルブラと共に彗星のように現れた格ゲーがあった。

 それは今までありそうでなかった「全員女の子キャラクターの対戦格闘アクションゲーム
 製作は「サムライスピリッツ零」を作った結城エンタープライズ。
 そして誰もが驚く、ほかのゲームやアニメといった、どこからの派生でもない「完全新規タイトル」。

 それが「アルカナハート」だった。

 当時はお茶の間にも「萌え」という言葉が席捲し、涼宮ハルヒの憂鬱、らき☆すたからけいおん!に至るまで、今までオタクコンテンツに触れもしなかった世代の人が触れるようになり始めた世代。
 その中で今更古めかしい「格ゲー」に「萌え」全振りで割り込んでくる、とんでもないことをやらかすメーカーがあるらしい。

 それはもうちょっとした騒ぎだった。
 色々あって復活したものの、ストリートファイター、KOFですらほかのゲームに食われかねない時期に完全新規タイトルで殴り込みなのだから。メルブラだって月姫と色々あった基盤がなければ割と無謀と言われていた頃。そこにこれはかなりの冒険だった。

 そして別府でもゲーセンがそこそこ減った頃、セガにアルカナハートは稼働をする。
 今でも記憶に深いのが当時セガは3rdが2クレ100円とかで格ゲーで金をとる事がほとんどなかった頃に1クレ100円という強気の設定で入ってきたのだ。
 しかもえっれーピンクにおしゃれな筐体になってる。
 まだまだデコレーション筐体のなかった頃。そらもうなんかえれーおしゃれ筐体で驚いた覚えがある。

 初めて座るのが恥ずかしいと思った筐体だった。なんか
おれっち~美少女好き好き萌え侍でござるぅ~☆キャー♡
って言ってる気分で。オタクではあったがそのあたりの羞恥心はあったのだ。

 でもアルカナハートにはいい思い出が多い。
 キャラクター選択画面が珍しくキャラ一人立ちだったり。当時ではもうキャラクターは四角か丸に描かれたキャラの顔で選ぶのがほとんどだったから、今時昔の餓狼伝説のような。
 個人的には嬉しかったなー。

恐らく今後見ないだろうキャラ総立ちキャラセレ。好きだったなあ。

 ゲーム内容はというと、意外と飛び跳ねたり飛び道具飛ばしたり、というのが多いんだけど、基本のダメージソースは接近しての殴り合い。通常攻撃を適当に押せばコンボが繋がるチェーンコンボも搭載しており結構とっつきやすく、見た目より手堅く格闘ゲームを作ってるなーと感じた経験。案外格ゲーをやり込んでいる層から好まれているタイトルだった。
 でも萌え全盛の当時を差し引いてもキャラデザは癖があるっていうか。当時でも受けるデザインではなかったけど。
 それでもデザイン、使いやすさ、キャラの性格含めて愛乃はぁとは今でも好きで、登場しているとつかってしまう。なんだかんだ好きなゲームだなあ今でも。

2,ついにストリートファイター復活。まさかの4登場。

 大学も4年生になり、友人たちとも会う事が大分減ってきた頃だった。
 とんでもない情報が(また)やってきた。

 本当にとんでもない情報だった。

ストリートファイター4稼働

 これはあまりにも人を驚かせた。

 ウメハラの「背水の逆転劇」などがあって帰ってきたとはいうものの、それは過去の格ゲーブームを思い出すまでのものではなかった。それこそ連日ニコニコ動画では3rdの動画がアップロードされていたり、2ちゃんねるの格ゲー板では3rdの話が飛び交っていた。そこでこっそりと「ショーン(´・ω・`)スレ」(3rdの弱キャラショーンと(´・ω・`)ショボーンを掛け合わせたもの。ちょっとした癒しスレ)というスレを立ち上げていたりしたが。

 だが、カプコンファイティングジャムを最後にもうカプコンは格ゲーから撤退するものと思われていた。カプコンファイティングジャムも製作陣はほとんどおらず、そんな状態で販売したのでカプコン的には売れないものと見込んだのだろう。それを最後に噂一つ立たなかった。
 そういう流れがあったから「アルカナハート」の登場は大冒険の印象を持たれていたのだ。「メルブラ」は顧客がいるにしたって冒険扱いであったし、そこまで固定がいないとアーケードは無理か、という諦観が混じってもいた。

 そんな中でカプコンが「ストリートファイター4」を作るというのだ。
 もうカプコンはロックマンとストリートファイターのメーカーとは誰も思っておらず、もう「バイオハザード」と「モンスターハンター」のメーカー扱いだったのだ。それに続いてガンダムか。
 だからストリートファイターはロックマンと共に過去の作品扱いされるもの、と誰もが思っていたところに、だったのだ。

 そりゃもう待った。俺達は待った。
 ゲーセンに置かれるのを。
 当時は大学近くのゲーセンもとっくに廃業してしまい、とり天の店になっていた。そのため自転車で15分くらいかかるセガまで毎日通って置かれるのを待った。そして3rdとアルカナをして帰った。

 そんな日に、遂にスト4が稼働した。
 その日はそんなにアーケードゲームに人がべたついていない、いたとして鉄拳やってるやつぐらいの場所にスト4の台を中心に人だかりができていたのを覚えている。
 待ちに待ったスト4が稼働したのだ。

 その日は俺はやらなかった。とてもじゃないが熱気がすごすぎて出来なかった。
 いつも通り3rdとアルカナをやって帰った。

 数日後、いつも格ゲー大会をやっていた友人を呼んで早速対戦に入った。もう一人対戦してる暇じゃない。ってか人がそこそこいるからすぐ乱闘されてしまう。
 そこで対戦開始した。
 俺はリュウ。相手はケン。
 3rdと全く同じ使用キャラだった。

 まだ稼働初期だったのでダイヤグラムなんかほとんどわかっていない。そもそもこの時に搭載されたセービングすらよく分かっていない状態。そこでやると友人のケンにあっさり勝利。
 友人が立って小銭を作りに行くと乱入。エドモンドだったか。そいつもかるくいなして二勝。ガイル、ダルシム、友人のケンと立て続けに乱入されたが無傷で六連勝をした。
「やっぱお前うまいな」
と友人に言われて喜んだ思い出がある。(そんな彼も下手ではなく、俺と違ってちゃんと調べたのちに練習してくるタイプだったので後々あっさり負けるようになる。所詮はクソガキのままやっている俺の強さはそこまでなのだ)

 そうやってダイヤグラムなどの整備が始まったころには俺達も就活に、卒論に追われる事になり、会う事もほとんどなくなる。
 そして気付けば卒業し、俺はゲーセンに行かなくなった。完全に行かなくなったのは嘘だが、月に一回行けばいい、くらいになり、最終的には格ゲーをしなくなった。

 だが、俺達がクソガキの延長でいられた最後のタイミングにカプコンがスト4を出してくれたこと。一瞬ではあるがその火蓋が切られたタイミングに俺達大学生はまたクソガキに戻って格ゲーを楽しんだことは恐らく一生忘れないのだろう。

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