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第二の患者【ワタシと夫と膵がんと12】

さて、今日は夫の近況ではないお話。

「第二の患者」という言葉はご存じでしょうか。

この言葉はおそらく、私たち医療者間で良く使われる言葉なのかもしれませんが

患者を取り巻く方の事をさします。

患者を取り巻くご家族、親しいご友人、恋人などなど

患者さんを支えるご家族も、患者さんと同じくらい

迷い、悩み、苦しみ、悲しみ、、、

そして患者さんを亡くされた場合は

いつまでも後悔や悲しみを心に深い傷として残してしまう事がある

その様な状況を、見過ごさないためにあえて

”医療者の支援を必要とする対象である”と表す言葉と私は理解しています。


私は「第二の患者」だった。

正確にいえば、おそらく今でも。


夫の病気が分かった時、実は先ず最初に心配したのは

”死亡時の保険金がいくら支払われるか”だ。

「そういえば、たしか更新の時期に差し掛かっていたけれど、病気が分かったら更新できないんだっけ? あれ? 補償額ってどうなるんだ? 例えば手術不可能だとして・・・一年したら 更新過ぎるし、え~っと」

これ、冷静に見えて笑える話なんででしょうけど、私的にはかなり病的。

そして、ふと気が付くと

頬に涙がつたっている事が度々あった

感情も涙腺も崩壊。

更に、何を食べても味がしなかったし、何かを食べたいという気もしなかった。

とりあえず食べないと死ぬから、私倒れたら一家総倒れになっちゃうから

口の中に食べ物を入れて、噛んで、飲み込む

それを繰り返す。

強制的に3キロ体重が減った記憶がある(今はしっかり戻った、戻ってしまったけど)

夜も眠れなくて、一旦ウトウトとして眠るのだけれど、気が付くと夜中の1時ごろ目が覚める。そこから朝までもう眠れない。

翌日はもちろん怠くて傾眠がちになる。

仕事中もびっくりするようなミスを連発し、冷静な判断ができない。

ある日、ドラックストアの睡眠導入剤売り場でどの薬にしようか必死に悩んでじっと薬とにらめっこをしたことを覚えてる。

買ったら買ってしまったら、際限なく飲んでしまうかもしれないという一筋の糸に引き戻されて私は睡眠薬のお世話にならない方法を必死で模索した。

眠くなるまで眠らない!という方法は

結果、眠くならない

という落ちに終わって、諦めたっけ。


どうでしょうか、ちょっと病的じゃない?苦笑

身体はヘトヘトなのに、どうにもこうにも休めなくて

一日中仕事や育児と家事と病院通いして、お腹が空かなくて

気が付けば涙流してて


辛かった

地獄かと思った

子どもたちがいなかったら死んでたかも


私が弱かったからではないと思う

きっと、多かれ少なかれ

患者を支える家族は心に重い荷物を持つことになる


看護師である私が、患者の家族になって

第二の患者になった


そして今思う

はたして私は今まで、看護師として患者さんのご家族を思い支援できていたのか

・・・・・・・・。


もし今回がそのことを知るための私への試練だったのだとしたら

謹んで受け取ろうと思う。


けど、ただ受け取るだけでは私らしくない

それを糧に必ず立ち上がる

必ず。

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