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子どもが物騒な絵を描いて心配になった時

こんにちは。
ナースの独り言です。

私は看護師として26年間勤めてきましたが、並行して「色彩心理学」の勉強をしていたことがあります。

子どもが描いた絵から、心理を読み解くこともやっていたことがあります。
今日は、その経験をもとにしたお話です。


子どもの絵の読み解きをするカウンセラーの研修の時に2016年7月に起きた「相模原殺傷事件」について話題になりました。

知的障害者福祉施設で19人の入所者を殺害、26人の入所者、職員に重軽傷を負わせた事件です。

あの事件は、私も障害のある子どもがいますから、決して他人事ではなく
感情がかなり揺さぶられる出来事でした。

ネットで繰り広げられる様々な意見も、色々な不安や感情が出てきましたが、それぞれがそれぞれの立場で正しい(と思っている)ことを言っているんだろうな・・・と思って読んでいました。

人は『自分のところは違う。自分の子どもはそんなことはしない。大丈夫』と、犯人とは線を引いて、安心したい心理が働きます。

犯人の背景の考察に躍起になったりするのは、「ああいう家族構成だったから」
「ああいう生い立ちがあったから」と、自分と犯人とは違うということを、確認して安心したいからなのです。

当時お手伝いしていた絵画教室では
子どもが殺人の絵を描きます。大丈夫ですか?
子どもが包丁の絵を描きます。大丈夫ですか?
という質問が、ニュースを見て不安になったお母さんから
ちらほら出ていました。

殺人の絵を描いたり、包丁で刺している絵を描いたりする・・・
果たしてこれは放っておいて大丈夫なのでしょうか??


結論を言うと
子どもはわりとそういう絵を描きます。

絵だけでなく、創作活動でも、
粘土に針や釘でメッタ刺しにした作品も作ったりします。

阪神淡路大震災や東日本大震災の直後の子どもの絵を一度調べてみるとわかります。

ちょっとびっくりする内容の絵だったりしますよ。
(心の回復とともに絵も変化していきますので安心してください)

2015年京都福知山線脱線事故10年目のニュースを私が見ていた時、横で息子が作っていたもの。

喜び、不安、悲しみ、怒り・・・・絵はその人の心理状態がよく現れます。

特に子どもは大人より心の制限がないので、よりわかりやすく絵に出ます。

自分の心の中に攻撃性が生じた場合、その感情を自分でも人でもなく、作品に向けられるのはむしろ健康的なのかもしれません。

誰でも日々の人間関係などで、イライラするし、むかつくし、不安や恐怖を感じたりしますが、その感情を感じるな!!ということは誰にもできません。

湧き上がってくる感情を無理やり押し込めることも、感じないようにするのも、なかなか難しいです。(むしろ感情を押し込めたり、感じないようにしている人がいたら、そっちの方が心配です)

そんな湧き出てきた自分の、行き場をなくした感情を創作にぶつけてくる子どもも少なくないのです。

そんな時に、
そんな絵を描いちゃいけません!!
って言ったら、その子の感情は一体どうなってしまうんでしょう??

子どもは本当にこころの中をそのまま作品に表してきます。
もし、身近な子どもがびっくりする表現をしたら、作品の見た目を見るのではなく、その子の心の中を一緒にみて感じて行きたいですね。

こころが傷ついて刺されたように血が流れているのかもしれない。
誰か、何かとても許せない気持ちがあって刃物を向けたい気持ちなのかもしれない。

気がすむまで、思う存分表現させてあげて下さい。
とことん表現して、出し切って、スッキリしたら自然にやめますから。

大人がするべきことは、その子たちが安心して心の中を思うがままに表現できる環境を作ってあげることだけなのです。


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