老年看護学実習看護計画その1(老年看護実習アセスメント ~認知症中心で~に対応)

看護の焦点

#1A さんなりの方法で食事、排泄、入浴、更衣を退院に向けて行うことができる。


看護目標(評価日)

1、A さんが一緒にトイレに行くことやトイレの入り口を目立つような援助を受けて排泄を行うことができる(7月3日)

2、A さんが食堂まで一緒に行くことや食堂の入り口がわかりやすいような援助を受けて食事を行うことができる。 (6月29日)

3、A さんが一緒に浴室まで行くことや洗髪を忘れないように促す援助を受けて入浴・更衣を行うことができる。(7月1日)


援助の内容

看護目標1
OP
①一日の排泄(排尿・排便)回数、 性状、排泄パターン)
②尿意・便意
③トイレの使用状況
④排泄場所まで移動できる(病室からトイレに行くまで)歩行動作、腰痛の状態
⑤着脱動作
⑥残尿感・残便感の有無
⑦排水レバーを押し、紙で陰部を拭き、手を洗い、ドアを閉める
⑧ナースコールの使用状況
⑨排泄回数を記入しているか確認
⑩夜間センサーマットの確認

7/9追加
OP⑪腹部膨満感の有無
OP⑫腸蠕動音の確認

TP
①排泄の有無の確認をする。
②キョロキョロしていて、一緒にトイレに行った際は入る前にズボ
ンのしっかりと下げるように促す。
③拭き残しがあった目に拭き残しがないかを確認するように促す。
④看護者は排泄中は外で待っている。
⑤排泄終了後は排泄記入を行う。
⑥下着やズボンが汚れなかったことを褒める。
⑦A さんがトイレだとわかりやすい目印を一緒に 作成する。
⑧A さんの排泄間隔を把握して時間ごとに声をかける。
⑨尿漏れがあった場合入浴後、排泄後、尿取りパッドの交換を促す。個
室で行うように促す。否定があった場合は時間を空けてから促す。
⑲トイレに入り口が目立つように色を変える。
⑪活動前や食事前と決まった時間にトイレに行くように促す。
7/9
追加⑫急いでトイレに向かう様子が見られた際はズボン、下着を下げる援助を行う。

E P
①尿意・便意があるときはナースコールを押してもらうように説明する。わかりやすいように床頭台などの近くにナースコールを押すタイミングを記載して貼っておく。
②転倒防止のため、歩行時は手すりを使うように説明する。
③トイレの場所がわからなかったときは看護師に伝えてくださいと説明する。
④排泄に関することで疑問や希望などがあれば遠慮なく知らせるように伝える。
⑤水分摂取量が1L以上になるように説明する。コップ何杯分であるかを説明する。

看護目標2
0P
①一日の食事量・水分量(毎食後、10時、 15時)
②病室から食事場所までの歩行状態
③食事摂取動作(食事中)
④咀嚼・嚥下機能(食事中)
⑤食事環境(Aさんが食事を中断する要因はないか)(食事中)
⑥口腔内の食物残渣(歯磨き後)
⑦体重
TP
①事前に排泄の有無の確認を行う。(食事前) 
②食堂の入り口を目立つように他の環境とは違うようにする。席をわかりやすいように具体的にする。
③声をかけて食堂まで一緒に行く。(毎食事前)
④水分を摂取するように促す。 (毎食時、 10時、 15時)
⑤口腔ケアをするように促し、一緒に洗面所まで案内する(朝食後、夕食後)
7/9追加
TP⑥温かいお茶を飲めるように Aさんと一緒に準備する。
TP⑦みかんやプリンといった無理なく水分摂取できるように促す。


EP
①何かわからないことがあれば相談してもらうように説明する。
②水分を1日1L摂取するようにすることを説明する。
③食堂まで一緒に行くことを説明する。
7/9追加
EP④便秘の予防や脱水の予防になると説明する。


看護目標3
0P

①表情
②言動
③入浴動作(移動、更衣、洗体)
④浴室の温度(22~24℃)
⑤浴槽の温度(38~40℃)
⑥浴室の床の状態(転倒につながる要因はないか)
⑦シャワーチェアの確認
⑧尿漏れの確認
⑨衣服の汚染状態
TP
①浴室の温度、浴槽の温度を調節する。

③A さんを浴室まで
案内する。
④浴室でシャワーチェアに座ってもらい体を自身で洗ってもらう。
⑤腰痛により、ひねる動作が難しいので背部は看護者が洗う。
⑥洗髪を行っていない場合は行うように促す。事前に促しておく。
⑦入浴後、ヒルドイドローション、レスタミン軟膏を塗るように促す。
⑧排泄時にズボンや下着が汚れてしまった場合は個室での更衣をすすめる。更衣を拒否する場合は無理強いせず、個別に時間を変えてすすめる。
⑨尿取りパッドの交換は入浴後、排泄後に個室での行うようにすすめてみる。
⑩入浴や更衣に関して傾聴する。

7/9追加
TP⑪更衣を促す際はA さんの関心のある靴下やカーディガンの交換と一緒に促す。

EP
①何かわからないことがあれば相談するように説明する。
②塗布薬を説明する。
③脱衣所まで一緒にくこと、自身でできることは自身で行ってもらうことを説明する。

評価

看護目標1
 スタッフが声をかけると「トイレどこなの。」と口調が強いことがあった。尿意より便意でトイレに行き、 急いで着脱するためズボンに排尿がかかることがあった。7/3起床後尿取りパッドに尿汚染が少量あったが、それ以降は尿取りパッドに汚染することはなかった。急いでトイレに向かって行く様子があり、ズボン、下着を下げる動作を介助した。食事やリハビリ前にスタッフがトイレ誘導した。看護師から「下着も着替えるので、一緒にパッドも交換しましょうね。」声をかけると、「それもそうね。」と返答した。看護師が15時のリハビリ前に、「この後リハビリがあるので、トイレに行きませんか。」と声を掛けると、「そうね。」と返答し、慌てる様子はなく排尿していた。

 認知症患者さんに身体的不調が出現した際に認知症の悪化からBPSDの出現が考えられる。 「汚れているのでズボンを変えませんか?」と促すとAさんからは強い口調でトイレはどこなどの発言がみられていたことや更衣を促すと
「私朝ちゃんと着替えています。汚れてなんていません。 」と述べている。失敗していることをAさんに伝えることは自尊心を傷つけることに繋がり、拒否されることにつながると考えられる。また、イライラしているような様子が見られていたことから、後頭部の髪の毛が乱れており、整容を促すが「今日はいいの。」と発言していたことから周辺症状の攻撃的行動として
出現していたと考えられる。看護師が食事前や活動前に排泄を促すことやAさんが急いでいるときにズボン、下着を下げる動作を介助した。
 身体的不調で急いでトイレに向かう際はズボンを汚すことが多かった。身体的不調がない日は急いで向かうことはあるが、尿取りパッドやズボン、下着の汚染はなかった。看護師から「下着も替えるので、一緒にパッドも交換しましょうね。 」と何かと一緒に交換することを促すことで拒否なく交換することができていた。このことからA さんにとって適切な援助は身体的不調が出現した日は積極的にトイレに行くことを確認することや急いでトイレに向かう様子が見られた際にはズボンや下着を下げる援助が必要であると考えられる。便秘の日はお腹に手を当てて何度も廊下に出てきてキョロキョロし
ていた。スタッフが声をかけると「トイレどこなの。 」と口調が強いことがあった。
 アルツハイマー型認知症の見当識障害によってトイレの場所がわからないと考えられる。そのため、看護師が15時のリハビリ前に、 「このあとリハビリがあるので、トイレに行きませんか。 」と声を掛けると、「そうね。」と返答し、慌てる様子はなく排尿していた。便秘症状のある日は何度もトイレに行く様子があるため、活動前に声をかけて排泄を促す援助が必要であると考えられる。適切に排泄を行うことができていない日もあったが、できる日もあったことから目標は達成されていると考える。 Aさんは身体的不調が出現ある日ない日に関わらず、急いでトイレに向かう様子が見られることから実施の継続・追加が必要であると考える。追加TP⑫に「急いでトイレに向かう様子が見られた際はズボン、下着を下げる援助を行う」を追加する。OP⑪に「腹部膨満感の有無」OP⑱ 「腸蠣動音の確認」を追加する。

看護目標2

 声かけし食堂まで誘導した。身体的不調が出現した日は朝7割摂取・昼5割摂取・夕3割摂取であり、毎食後飲水を促すが、「苦しいから飲めない。 」と話し、毎回湯飲み1/2程度の摂取だった。不調が出現しなかった日は朝8割摂取・昼7割摂取・夕 6割摂取であり、朝食時、 10時は湯飲み2/3程度水分摂取していた。 15時、夕食時は湯飲み2/3程度お茶を摂取していた。看護師から勧められると、 「トイレが近くなるからね。 」と答えていたが、便秘に効果があると伝えられると「わかりました。 」と残りのお茶を飲んでくれ
た。
 A さんは便秘の出現がある日とない日には食事摂取量に明確に差があらわ
れると考えられる。また、Aさんは一日1L摂取を目標としている。便秘が出現した目には毎回湯飲み1/2程度の摂取であることから1日約500ml程度摂取だったと考えられる。便秘がない日は湯飲み2/3一全量水分摂取であり、1日約800ml程度摂取していると考えられる。プリンやみかんも摂取していることを考えると目標の1L前後は摂取できていると考えられる。水分の摂取量にも差が現れていると考えられる。
 A さんに水分の摂取を促すときは便秘の予防、脱水の予防になることを伝えると飲んでもらえると考えられる。また、入院前は温かいお茶を飲むのが習慣であったことから飲み物をお茶にすることで摂取してもらえると考えられる。目標は食堂まで誘導することで食事を行うことができていることから達成できていると考えられる。しかし、アルツハイマー型認知症は非可逆的
な疾患であり、日常生活動作が徐々にできなくなる疾患であることから今後も実施を継続する必要があると考えられる。追加としてTP⑥に「温かいお茶を飲めるようにAさんと一緒に準備する。 」TP⑦に「みかんやプリンといった無理なく水分摂取できるように促す。」
 EP④に便秘の予防や脱水の予防になると説明することを追加する。
 目標をAさんが食堂まで一緒に行くことや食堂の入り口がわかりやすい
ような援助を受けて食事を行うことができるからAさんが食堂まで一緒に行くことや食事、水分を摂取することができるに変更する。

看護目標3

 便秘が出現した日にはズボンが汚れていたため、 「汚れているのでズボンを変えませんか?」と更衣を促すと「私朝ちゃんと着替えています。汚れてなんていません。」と強めの口調であった。また、床頭台の中にある脱いだ下着を入れている紙袋の中から、汚れた尿取りパッドが1枚見つかった。「誰のかしら。私のじゃないわ。 」と話していた。整容では後頭部の髪
の毛が乱れており、「今日はいいの。」と返答された。身体的不調が出現ない日は本日シャワー浴の日であったのでシャワー時間を早め、ついでに着替えもできるようにした。 「シャワーの時間ですよ。 」と伝えるとスムーズに移動した。シャワー中は自分で体を洗うが、髪を洗わず湯船に入ろうとしていたため、看護師が洗髪を促した。 「そうね。」と自力で洗髪を行うことができる。
 便秘が出現した日は更衣のことを促しても拒否されることがあるため無理強いはせずに関わることが必要であると考えられる。また、 「汚れているのでズボンを変えませんか?」といった失敗していることをAさんに伝えるような声掛けは自尊心を傷つけることになり、拒否にもつながっていると考えら
れる。そのため、時間を空けてから促す必要があることやAさんのおしゃれと一緒に更衣を促す援助が必要であると考えられる。シャワー浴では自分で体を洗うが、髪を洗わず湯船に入ろうとしていたため、看護師が洗髪を促す必要があると考えられる。更衣は声掛けを行うことで目標は達成されてい
ると考えられる。そのため、実施を追加・継続する必要があると考えられる。追加TP⑪に「更衣を促す際はAさんの関心のある靴下やカーディガンの交換と一緒に促す。 」を追加する。


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