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腹腔鏡手術で子宮卵巣摘出した話-3(手術当日)

いよいよ手術当日

主に手術直前のことから術後すぐまでの出来事を細かに書いたら5千時越えちゃいましたので、とても長くなりますがよろしければお付き合いくださるとうれしいです。挿絵もざっくりですが描いてみました。
ほぼ時系列順です。

浣腸2回目(朝イチ)

前夜に浣腸したのでもう出るものがないけれど、2回目となると便座で2分はがまんできました!(何の自慢にもならない)

手術の時間まで朝食も昼食も抜き。術後も食事できないので夕食も抜き。
明日の朝食も抜きなので、昼まで4食抜きでしたがほぼ動いていないので空腹感は感じませんでした。

手術担当の医師

執刀医の先生が午前中に病室に来て挨拶してくださいました。ハキハキして感じのいい先生で、またしてもハロー効果で勝手に信頼。

この先生とはこの日にはじめてお会いしました。
手術あるあるですね。

腹腔鏡の手術件数が圧倒的で、腕がいいことで地域では有名な先生なので、芸能人をはじめてみた時のように「この御方が!」って心拍上がりました。

婦人科の回診

執刀医とはまた別の医師がやってきて「手術できますよ」という最終確認なのでほんとに顔を見て、体温と血圧の数字を見て、問題ない事だけ確認しておしまいでした。嵐の前の静けさ?

水責め

水は前夜から水以外飲んじゃダメ。
でも手術当日の午前中には1リットル以上飲め、との指示が。
心の中で何度も言うけれど、せめてお湯ください…!(1月)

カモン家族

付き添いでくる家族は手術予定時刻の1時間前に病院へきてもらい、手術中はずっと病室で待機してもらい、術後は1時間で退散してもらいます。

コロナ以前だったら面会終了時刻までは病室にいてよかったのですけれど、この2023年1月末段階ではまだまだコロナ対策は緩和されてはいません。

個人的には健康第一の考えをもっているので病院側の安全対策を100%支持しますけど、コロナに関しては政府と医療の現場での意識の落差を感じてしまいます。大丈夫か政府? もっと慎重でもいいのよ?

そして来院する直前の夫氏からLINEが

伊達巻入ってるの珍しい件

やめろ! 妻、朝から何も食べてないんだってば!


マンゴーパフェ食べてた前回の緊急入院の時からなんも成長しとらん。


こういう生きざまが「夫」ではなく「夫氏」と呼ばれる所以なんだぞ。

はげましてくれる夫氏と妻の図。

有休を消費して来てくれたことにはたいへん感謝していますし、留守中に私担当の家事をやってくれたことにも感謝をしているのですが、なにぶんサイコみのある人なのでたぶんウ〇娘とかプリ〇ネで遊んでとくになにも考えずに手術が終わるのを待っていたと思われるので「申し訳ない」と土下座するほどには私に負い目がないので、そういうところはありがたいです。

二次元美少女キャラのイマジナリー彼女的存在がたくさんいるので、妻一人が子宮とるくらいじゃとくに動揺してないと推測。

術前30分にソックス着用

血栓予防の専用ソックスを履きました。よくぞ私のぶっとい足が入った。
思ったよりはきつくなかったけれど、血栓予防としてはこんなもんで大丈夫なのかな?

予定時刻の30分前に履いて待っていたら、前の患者さんの手術が30分押したので合計1時間前から履いていたことに。

その30分の間、夫氏にむかって「手術はよ! 手術はよ!」ってビッグサンダーマウンテンの行列で待つ子供と化していました。
ここまでくると腹くくり過ぎてワクワクが止まらない。

チャーシューの紐みたいに食い込んでるけど痛くないです

ノーメイク

メイクはしちゃダメなのでノー眉毛でシミも隠せず手術室へいきます。
眉尻がないけどアートメイクはしていない者の一人として若い人にこれだけは言い残したい。

精密検査にリスクがあるからタトゥーはやめなされ」と。

想像つかないですけど金属が少しでも入ってる食器をレンチンすると火花が散って、場合によっては大惨事になるように、MRI検査でもタトゥーのインクがそんなかんじなのでやけどを負う可能性があるとか。

交通事故などの緊急時の検査や将来重大な病気になる可能性は誰しもゼロではないので、先を見越してやらないほうが安全なのではないでしょうか。

悲壮感なし!

女性の子宮摘出というと悲壮感や同情が飛び交うこともあるけれど、私に限っては何の悲しみもなし!

痛いの取ってもらえればハッピー!

それどころか2つ前のこの入院の初日の記事で明かした通り、毒親と距離をとっていたことで無知からの決めつけや迷信・根性論を押し付けられなかったことでノーストレスの平常心で手術まで臨めました。

こんな考え方の人だとは思わなかったよ失望したという方、いたらごめんなさい。

でもこの手の話をするコミュニティーに身を置くと意外と同じような毒親サバイバーが少なくなかったり、同じような考えを語られている方を見かけるのですよ。おかげで毒親を認知しない人たちの無理解の中での孤独感が癒されてもいます。

子宮はもともと子供を産みたい人以外には、なくてもいい臓器。
もう産まないと決めている場合は、むしろない方が子宮がんなどの病気のリスクとおさらばできるそうです。

私の担当医もおっしゃってましたが、卵巣は1個残っていれば更年期障害のような症状も顕著に出ないみたいです(出る人は2個でも出るし、出ない人は1個でも出ない、という意味で個人差はあります)。

痛いことや通院と検査の苦痛や怖さはあっても、子宮摘出だけにフォーカスすると1ミリも悲しみはないです。

私の心の中はこのようなかんじです


病室から歩いて手術室へ

病室にいても恐怖心も不安もなく、手術室入る前まで付き添ってくれる看護師さんとも
「いや〜、世界一心が弱いので絶対震えて大泣きすると思ってたのに、いま超落ち着いていて、自分でもびっくりですわ〜」
「mjsk」
みたいにキャッキャウフフ談笑しながら歩いてました。

看護師さんが落ち着かせようとして明るく話しかけて下さっていることもわかりました。マイナスなことは言ってこない。

サンクス、プロフェッショナル看護師さん!

しかし何だったんでしょうね、2年間も手術にビビって逃げ回ってた私の最弱ハート。

2年前は「みんな手術してるのに私はなんて惰弱なんだ、最弱にもほどがあるよ! でも摘出手術こわいよ~、ワーンワーン!」ってめそめそしてたのに。

ぜんぜんこわくない。

不思議な感覚。

卵巣破裂の痛さの前にもうなにも怖くなくなっていたのが一番の理由ですが、「次回また破裂したらどうしよう」の心配から解放されると思うと、青き衣をまとい金色の野に降り立ったあの人のような心持ちでした。

中年にしか伝わらないイメージ

王蟲? 王蟲と通じ合えたように病巣と通じ合えたのか?!

いよいよ手術室へ入る

手術室へ入り名前と生年月日など本人確認したあと、手術台に上がって座り、まずメガネを看護師さんが預かってくださるので20cm以上離れたものは何も見えなくなり、状況を観察できないのが残念でした。

視界に写る物はすべてPhotoshopやCLIP Studio Paintで「ガウスぼかし」をかけた画像のごとし。何も見えません。

ただ実は、超若かりし頃の業務で、私…

手術室に出入りしてたことがあるのですよ。

300回以上。

なので特に緊張もせず、昔の古巣へもどってきた感がありましたが、そんな過去の話をして「こいつは慣れてるだろうし雑に扱ってもいいな」と思われたら心の中の幼女が怖がって震え泣くので、病院務めの経験は黙ってました。狡猾ですいません。

ここでも安心させるためか、手術室担当の看護師さんからパジャマのズボンつんつるてんだったのを見て「足長いわ~」と社交辞令&スマイルセットを頂きましたが、私がフフフッってなった理由はバナナマン・日村勇紀さんの足長い説を思い出したからです。

手術台の上に腰を掛けて上半身だけ脱いだらささっとタオルで隠してくださり(脱いでる間もタオルでスタッフから見えないよう配慮してくださってた!)、下半身の下着とパジャマズボンは寝落ちしてから脱がしてくださったのだと思います。術後にちゃんと病室へ返却されました。

ここまできたら震えだしちゃうかなと予想していたのに、自分でも驚くほど落ち着いていて不安がない。入滅?
いやいやいや、生きるために手術受けるんでしょーが!

麻酔の前に入れる点滴の針がめちゃくちゃ痛い左手の親指の付け根辺りで、これは手の甲での採血とおなじくらいドぎつかったです。

病室の寒さですでに体の冷えMAXだったので血管がなかなか出ず、看護師さんが「緊張で冷えちゃったのかしら」ってカイロのようなものを当ててやさしく揉んでくださり(実母にさえそんな事してもらったことない)血管がようやくでたのですが、心の中では「緊張じゃなくて、病室に断熱材が皆無なんです」と思念を送っていました。

残念ながらお互いエスパーではありませんでした。

噂通りの全身麻酔

全身麻酔は「数字を数えてるうちに寝ていて目が覚めるとベッドの上だ」と経験者から何度も聞いてたけど、本当にその通りでした。

ドラマやマンガのあのシーン、大正解。

台の上で麻酔のマスクをゆっくりつけてもらって超優しいベテラン看護師さんが「これからゆっくり麻酔入れていきますね〜」「はい」


3秒ともたず寝落ち。


いつも寝つきが激悪で夜中に1~4回は覚醒するわ、人の気配でも覚醒するわ、就寝という行為にまるっきり向いていない私のような者でさえ野比のび太クラスの爆速で眠れました。

誰もが手術中に麻酔が切れたらどうしようという不安が少しはあると思うのですが、幸いそのようなことはなく、あのハロー効果で最高に信頼してしまった麻酔医の先生に感謝です。

(ゴッ輝のあの話、今後もずっと忘れない)


そして術後

看護師さんの声で目が覚める

何か夢をみていた気がするけど1ミリもおぼえてはいない。

真っ暗な空間に5分くらいいたような、夢見ていたような、しかし全く覚えてない謎時間が経過して聞こえてきたのがやっぱり天使の声でした。
(超優しいあの看護師さんのことです)

「ヌヌさーん、手術終わりましたよ〜」
「ひゃい(声出ない)」

この声に起こされるのって最高に贅沢じゃない?
異世界に村人1として転生することがあったらこの声に呼び起こされたい。

実母と縁がなさすぎたせいか、やさしい年長の女性に極端に弱いな、私氏。
そういう詐欺師が現れでもしたら全財産さしだしちゃうよ。
危ない危ない。

視力のいい人が知らない視界

で、ベッドごと運ばれ病室へ。

カーブを曲がる時に車酔いのようなあの感覚を思い出しましたが、今思い出してみると、この時はずっと痛みの感覚がなかったです。

病室で夫氏が私の名前を呼んでいたけれど不安気ではなかったので「あ、こりゃ手術成功で私氏になにも問題なかったんだな」というようなことを言語化されない状態で確信したことは覚えてます。

それ以外は朦朧としてました。
事前に術後のせん妄について説明を受けていましたが、かわいがっているぬいぐるみの名前や推しの名前を呟いたりしていなかったようで良かったです。

自分が起きてるのか寝てるのかよくわからないし、5分ごとに意識が途切れてたような感じがもや~っと小一時間くらい続いていました。

「術後の写真撮っといてー」と映えもしないのに頼んだこと。
「もう帰るね~」と言われ「またラーメン食べて帰るんだろうな」と100%はずれない予測をしたこと。
この2つしかまともにしゃべった記憶がないです。

術後はメガネをかけてもらっていたのに、視覚にある記憶もあの輪郭のないガウスぼかしの掛かったシルエットだけ。
視神経も寝ぼけてた???

癒着で延長戦

これは回復したあとにLINEで夫から聞いたことですが、子宮(漿膜下筋腫も外側にあり)と卵巣が腸など周辺の臓器と癒着していたため、それらをはがすために予定より一時間ほど長引いたそうです。

夫氏は待機していて「長いな、なんかてこずってるのかな」とか思っていたそうです。
でも執刀の先生が術後に夫氏に説明してくれたときに「ちゃんと剥がせたので問題なく、手術は成功です」とのこと。ほっとしました。

運が悪いと癒着を剥がす際に膀胱が損傷したり腸閉塞などを患うケースもあるそうで、それを気にして手術をためらう方もおられるようです。

私の場合は無事でしたが、ここ数年以内に知っている人たちの中で術後に腸閉塞になったという話はうかがったことがありません。
医師の技術向上にともない、リスクの割合は下がっているのかも?

それより術前検査などのときに主治医(執刀医ではない)に「癒着とかはない感じでしょうか?」と聞いた時に、MRI画像を前に子宮や膀胱や腸の間を指さして「ここに隙間があるから癒着はしてないと思う」と丁寧に説明してくれてたので、実際におなかを切り開いてみないとMRIでもわかりにくいことなのかもしれません。

ひどい癒着など何か想定外の問題があった場合には腹腔鏡から開腹に切り替える場合もあるときいていたので、開腹にならずにすんだのは執刀医のおかげだとおもっています。

よかったよかった!


続きは「術後すぐの夜中の激戦や、翌朝の歩行」など書きたいと思います。
また読んで下さるとうれしいです。

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