説明書と貧乏性
プラモデルの組み立て方法はそれぞれで大きく異なる。
だからプラモデルには組み立て説明書が入っていて、それは2020年になっても印刷された紙だ。ゲームソフトの説明書は分厚い紙の冊子だったが、最新機種のソフトには説明書が入っておらずネットに接続して参照される。もしかしたら紙の説明書であることはプラモデルであることの大きな要素のひとつかもしれない。
プラモデルに同封される紙として、説明書は組み立て方法の記載以外にも用途がある。モチーフの設定資料や塗装色の指定だけでなく、素材としての紙を利用する。
そう、説明書を切って組み立て、プラモデルの一部とするのだ。
私が初めてこの方法に触れたのは、BB戦士のナイトガンダムだったと思う。"ナイト"の名前よろしく、マントを羽織るキャラであり、そのマントが説明書に印刷されていた。
△「マントを作っちゃお!」じゃあないんだよ
衝撃を受けたと同時に、とても困惑した。
昔から本や紙にハサミを入れることに抵抗があった。雑誌についた応募券、これを切り取りハガキに貼って応募する。するとページが欠けてしまう。応募券の裏に当たる箇所はもう読めなくなる。切り取られて残ったページは欠けた箇所を発端にボロボロになっていく。本が完璧なものでなくなる。それが嫌だった(本の帯も綺麗にとっておくタイプ)。
幸い、プラモデルの説明書はそこを配慮し、裏側に何もなかったり上述のマントでは裏も赤色一色だった。しかし、それでも説明書がボロボロになるのがイヤでマント無しで飾っておくことが多かったと記憶している。
そんな感覚と再開したのが、ミニアートのプラモデル「MODERN STREET CAFE」。戦車プラモのメジャーな縮尺である35分の1の大きさで、遊園地や路上で見たことのある樹脂製のテーブルとイス。脇を彩るパラソルや冷蔵ケース。そして大量のビール瓶や缶、ジョッキにコーヒーカップ。これがこのキットのアピールポイントだと思う。テーブルとイスを今つくっているものに使いたくて購入。
そして話は冒頭に戻る。キットの中のパラソルとビールのダンボール箱が、プラスチックではなく説明書を切って組み立てるペーパークラフトになっているのだ。
裏はちゃんと白紙。
パラソルの骨はプラスチックなのもわかる。プラと紙の組み合わせ。うまく作れるのかという不安はより大きくなる。失敗してもまた買えばいいのかもしれない。でも人間、なるべく失敗はしたくない。失敗してもダメージは最小限に抑えたい。やっぱり。
そこで。
秘伝忍法、カラーコピー!!
いやだってこんな小さいペーパークラフト、単純な箱組みでも綺麗に仕上げられないでしょ。絶対に接着剤がハミ出して汚くなるでしょ。それぐらい予想できる。俺は失敗が嫌いなんだ。これが何枚でも50円で錬成できる。ありがとうファミリーマート。パラソルはまだ作らないけど。
コピーなので気楽に作れる。ハサミで大まかにザクッと切って、ナイフで綺麗にしていく。手早く作りたかったので慣れている瞬間接着剤を使う。瞬間接着剤は接着した周囲が白くなる「白化現象」があるのだが、なんたってカラーコピーなので余裕である。いかに要らないストレスを排除するか、ホビーには大事なのだ。原本の説明書も綺麗なまま。大事に箱にしまって作業をはじめよう。
青い箱の右下のカドが少し気になるが、十分な出来。コピーによる劣化が風合いになるかもしれない。ジオラマにいいアクセントをくれそうな色。
プラモデルはプラスチックの造形と組み立てを楽しむものだけれど、異素材が混ざってくることはよくある。強度を保つための金属パーツだったり、ケーブルだったり。その中でも紙は、見慣れたマテリアルなのにプラスチック組立とは大きく異なり困惑が発生する。そんな時はなるべく戦いやすいフィールドを用意して突撃してみると新しい世界が開ける。紙でしか出来ない表現や質感(もしかしたらコスト面だけで紙にしているのかもしれないが)。プラモデルと同様、プロセスを楽しめる。
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