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140文字の感想文

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ツイッターに書き散らした、小説や映画なんかの感想。
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記事一覧

映画『落下の解剖学』(2024)

映画『落下の解剖学』を観た。タイトルとキャッチコピーを見て、てっきり事件の真相に迫ってい…

ナナバン
1か月前
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『極北』 マーセル・セロー/村上春樹 訳

小説をひとつ読み終えたとき、「こんなにもおもしろいものがあったのか」と驚嘆し、感動し、そ…

ナナバン
10か月前
5

『悲しみ』 レベッカ・ブラウン/柴田元幸 訳

どことなくシチュエーションが不鮮明で、けっきょく最後までぼやけていた。いや、わかるといえ…

ナナバン
10か月前
1

『野火』 大岡昇平

大岡昇平『野火』を読んだ。丸谷才一によると、現代口語文を生み出したのは明治以降の小説家た…

ナナバン
11か月前
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『結婚式のメンバー』 カーソン・マッカラーズ 村上春樹訳

僕は一度読んだ本をあまり読み返さないのだけど、この本に関しては読み終える前から、きっとこ…

ナナバン
1年前
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『笹まくら』 丸谷才一

徴兵忌避者の物語。意識は戦後と戦前をシームレスに行き来し、その流れるように滑らかな描写は…

ナナバン
1年前
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『ノガレス』 ティム・オブライエン

ティム・オブライエンといえば戦争小説を想起しがちだけれど、この『ノガレス』は愉快にぶっ飛んだコメディーを観ているようで、とてもおもしろかった。老人達の惚けた会話や主人公の恋心(それは間抜けなほどピュアで愛おしい)が、状況の深刻さと相まってニヒルな笑いを誘う。映画化してほしい。

『本当の翻訳の話をしよう』 村上春樹/柴田元幸

(この本を取り巻く個人的な話) その本は確か、当時付き合っていた女性を関空まで迎えに行く…

ナナバン
1年前
8

映画『プラットフォーム』(2019年)

“穴”で目覚めた主人公。そこは下へと続く階層構造になっており、巨大なテーブル状のエレベー…

ナナバン
1年前

『呪われた腕 ハーディ傑作選』 トマス・ハーディ 河野一郎訳

(読み始めたころに書いた感想) 作家の名前は耳にするけれど、作品はひとつも読んだことがな…

ナナバン
1年前
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映画『レリック』(1997年)

B級未満モンスターパニック映画。題材や設定は魅力的だと思う。ゆえに序盤はけっこう惹かれる…

ナナバン
1年前

『卵を産めない郭公』 ジョン・ニコルズ 村上春樹 訳

一つとして同じ青春はないだろう。時代が変われば空気も変わるだろう。それなのに青春小説には…

ナナバン
1年前
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映画『ヒトラー ~最期の12日間~』(2004年)

『ヒトラー ~最期の12日間~』を観た。ヒトラーの秘書となった女性の視点から描かれる、史実…

ナナバン
1年前
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映画『顔のないヒトラーたち』(2014年)

アウシュビッツ裁判に至るまでの、検事たちの奮闘を描いた物語。題材の重大さゆえ、観る側にも覚悟が求められそうだが、映画的なフィクションも織り交ぜられておりテンポよく観られた。劇中、収容所の跡地を訪れる検事と新聞記者の会話が印象深い。「何が見える」「アウシュビッツ」「ただの牧草地さ」 ドイツ人自らの手で、かの地の真実を明かさなければ、そこがいまも牧草地であったかもしれない未来を想像し、僕は言葉を失った。正義とはなにか。歴史とはなにか。ひとを裁くとはなにか。私たちは罪人ではないと