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35歳で死ぬだろうと思っていた

幼少の頃から身体が弱く、喘息、発熱、原因不明の体調不良、小児科や耳鼻科通いが絶えることはありませんでした。

中学生になっても、食は細く、登下校だけで疲れ果て、学校帰りにかかりつけ医で点滴を打ってもらう、そんな日常を過ごしていました。

自然、身体を動かすことは得意ではなく、本を友とすることとなります。

最も読んだのは司馬遼太郎「坂の上の雲」でしょうか。
ハードカバー全6巻を10周以上はしたことでしょう。


主人公の一人、正岡子規は結核により34歳で亡くなります。

また、国語で文学に触れるにつれ、中島敦33歳、芥川龍之介35歳、宮沢賢治37歳、太宰治38歳など、多くの作家が早逝されたことを知ります。


あぁ、きっと自分も35歳くらいで死ぬのだろう。

ごく当たり前に、そう感じていました。

親しい友人にふと漏らしても、一笑に付されることはありませんでした。


おおよそ1年365日のうち、「体調がいい」と感じるのは30日もあれば良い方、半分は体調が悪く、残りも「しんどいが一応動ける」くらい。

働き始めた1年目には夏バテで5kg体重が落ちるなど、不調は続きます。

うどんを半分も食べることができず、身体を起こしておくのがやっと。生命の危険を感じるほどでした。


死なないためにはどうすれば良いか。

人生の節目節目でそうした選択を続けた結果、35歳を過ぎ幾年か経ることができました。


35歳で死ぬだろう。

そう考えていた頃を想うと、いまは余生のようなものです。

せっかくの生きているのです。
好きなことを楽しみたいと思います。

それこそ露の散らぬ間に。――



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