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2020年・K-POPガールズグループソングベスト10

新型コロナウイルスが世界中を覆った2020年でしたが、K-POPにおいて今年は特に華やかな話題の多い1年でした。
BTS「Dynamite」の世界的大ヒットが最大のトピックであるのは言うまでもありませんが、ガールズグループにおいてもBLACKPINKが、1stアルバムでビルボード全米アルバムチャートで2位という快挙を成し遂げました。

またJYPエンターテイメントとソニーミュージックがタッグを組み、オーディションバラエティとして放映されたNizi Project大きな反響を呼びました。そこから誕生したNiziUが社会現象ともいえるようなグループになり、長くK-POPファンの間で親しまれてきたプロデューサーのJ.Y. Parkが、一般層にまでその存在が知られるようになったことも大きなサプライズでした。


その他ガールズグループのクイーンともいうべきTWICEがコロナ渦にも関わらず、韓国だけでなく日本でも精力的な活動を行い、相変わらずの貫禄を見せました。またデビュー6年目を迎えたOH MY GIRLが大ブレイクを果たしたことも見逃せないトピックでしょう。

しかし個人的にはなんといっても、昨年末に投票操作疑惑で解散の危機に追い込まれたIZ*ONEが活動再開し、その後破竹の勢いで活動を続けたことが最大の出来事でした。
今年のK-POPに関しては、IZ*ONEの活動をフォローすることに多くの時間を費やした1年でした。

そんな2020年の個人的なK-POPガールズグループソングベスト10を発表させていただきます。基本的にはミーハーなK-POPファンで、ディープな知識を持っているわけでもなく音楽の専門家でもないのでご了承ください。
1アーティスト1曲で選んでおります。


第10位:NATURE「Girls」

2018年に日本と中国の出身者を含む9人組でデビューしたグループです。
今年は日本でもデビューを果たしました。
正直このグループについてはそれほど詳しくはないのですが、Apple Musicでたまたまこの曲を聴きかなり惹かれました。
清涼感の中に漂う官能性とでもいいましょうか。自分がK-POPに求める音楽性が、この楽曲に凝縮されているように感じました。
カムバックのたびにメンバーの人数が変わっているようで、この曲の時には6人で活動していました。
コロナ渦で活動も停滞しており、2020年の下半期はほとんどグループとしては休止状態になってしまっているようです。
K-POPのB級以下のグループの悲哀を感じさせます。

NATUREの所属レーベルはIZ*ONEと同じStone Music Entertainmentですが、2019年にこのレーベルからデビューしたARIAZというグループの「Moonlight Aria」という曲も今年発見してかなり好きになりました。
独特な浮遊感のある楽曲です。私はこのレーベルの楽曲が好きなようです。
ARIAZも結果が振るわず、この1曲のみで活動が止まっているようです。


第9位:EVERGLOW「DUN DUN」


PRODUCE48でも存在感を示したシヒョンやイロンを擁する、今K-POPで隆盛を極めるガールクラッシュな雰囲気を持ちながらも、正統派アイドルとしても勝負できるような美貌を持つメンバーを揃えているハイレベルなグループです。
2020年は欧米諸国でも人気を伸ばし、この楽曲のMV再生回数は1億8000万回に迫る勢いです。
この曲はK-POPの伝統ともいえるようになってきたフックソングの要素と、欧米の先鋭的なサウンドがうまくミックスされており非常に耳に馴染みやすい楽曲です。色んな国で受け入れられるのがよく分かる曲だと思います。
このグループもレーベルはStone Music Entertainmentです。
事務所はウィエファ・エンターテインメントで、IZ*ONEのイェナと同じ事務所のためIZ*ONEの活動終了後にイェナの加入も噂されております。


第8位:ITZY「WANNABE」


2019年のデビューからあっという間に人気グループに駆け上がったITZYが、今年もさらに人気を拡大していきました。
BLACKPINK以降、可愛い系のガールクラッシュグループがK-POPの一大潮流になっていますが、その中では完全に抜きん出た存在になっています。
「WANNABE」はスターの風格すら感じさせる堂々としたクオリティの楽曲です。
最近英語版アルバムのリリースが予告されましたが、2021年は本格的にアメリカ進出を行っていく年になりそうです。
ここでもBLACKPINKに続き成功を収められるでしょうか。


第7位:TWICE「MORE & MORE」


そのITZYと同じ事務所のJYPエンターテインメントの先輩であるTWICEの勢いは今年も止まることはありませんでした。
2015年のデビュー以来、ずっとトップを走り続けているK-POPクイーンというべきグループですが、コロナ渦にも関わらず韓国だけでなく日本でも精力的に活動を続けました。
活動休止をするメンバーが出ることはあっても、グループとしては決して立ち止まらず精力的に活動を続けることができるのは、トップの地位にいるグループとしてはやはりすごいことだと思います。
昨年に続きメンバーの熱愛報道が相次ぎましたが、人気に陰りが出ることはありませんでした。
この「MORE & MORE」はIZ*ONEに抜かれた自身の売上記録をさらに抜き返すという人気ぶりでした。


TWICEというプロジェクトが凄いのはトップに立ちながらも攻めの姿勢を失わない点です。
「MORE & MORE」も絶対的なトップグループがリリースする曲とは思えないほど異端な雰囲気を持つ楽曲だと思いますし、下手をするとチープに聴こえかねない曲ですが、これを堂々と王道のアイドルソングとして成立させてしまうのはまさに女王の風格だと感じます。
これに続きリリースされた80年代レトロといった趣の「I CAN'T STOP ME」も最初はあまり好きになれない楽曲でしたが、聴いていくうちにだんだんハマってしまい、改めてこのグループの力にねじ伏せられた気持ちになりました。


第6位:GFRIEND「Apple」


GFRIENDは2015年のデビュー以来すでに確固たる地位を確立しているグループですが、この曲ではこれまでよりグッと大人っぽい雰囲気になり、イメージチェンジを図ってきたように感じました。
幻想的な楽曲の世界観を司る浮遊感のあるギターの音が心地良く耳に残ります。K-POPの今のトレンドをしっかり捉えながらも新しいイメージを打ち出しているところが凄いです。
元々ヨチンはあらゆる点でクオリティの高いグループですが、ベテランともいえるようなキャリアを持つグループになってきて今後どのような展開があるのか期待したいところです。


第5位:Red Velvet - IRENE & SEULGI「Naughty」

Red Velvetは昨年末にリリースした「Psycho」がかなりのヒットを記録しましたが、リリース直後にウェンディがSBS歌謡大祭典のリハーサル中の事故で重症を負いグループとしての活動が難しい状況になりました。
そういう状況もあり、アイリーンとスルギがユニットというかたちで活動することになりましたが、作品のクオリティはさすがにSMエンターテインメントだけあって素晴らしいものでした。


活動曲の「Monster」は高い評判を呼んだ楽曲で私も好きですが、後続曲としてリリースされた「Naughty」にハマりました。
個人的に好きな90年代あたりのアメリカR&Bの雰囲気を思い出させてくれる楽曲で、こういう曲を作らせたらSMエンターテインメントの右に出るものはいないと感じさせられました。


しかしこの活動後に発覚したアイリーンのスタイリストに対するパワハラ騒動により、彼女は芸能生命の危機ともいうべき状況に追い込まれました。
その後Red Velvetの活動再開の声も上がっているようですが、これまで通りの活動ができるかどうかは現時点では不透明と言わざるを得ません。
個人的には少女時代以降のガールズグループの中で、最も質の高い楽曲をリリースし続けてきたのはRed Velvetだと思っているので、何とかいい形で戻ってきてくれることを期待しています。


第4位:BLACKPINK「How You Like That」

BTSと並んで今年のKーPOPの話題の中心にいたBLACKPINK。
これまで着々と手を打ってきたアメリカ制覇に向けての戦略が、今年は一気に実を結んだ1年になりました。
この「How You Like That」はまさに海外進出に向けて、本格的に狼煙を上げるような圧倒的な勢いを感じさせる楽曲です。
アメリカでの成功により、これまで長くTWICEがいたK-POPガールズグループのトップのポジション、相撲で言うところの東の正横綱の地位は今年BLACKPINKが奪ったと言ってもいいでしょう。
全米アルバムチャート2位という記録はまさに快挙ですが、今後この記録を塗り替えることができるのも今は彼女達しかいないでしょう。2021年は全米ビルボードのシングルチャートでの躍進も期待できるはずです。


第3位:(G)I-DLE「Oh my god」

TWICE・BLACKPINK以降のガールズグループで今年大きく躍進したのが(G)I-DLEです。一見すると現在K-POPで流行っているガールクラッシュなグループの内の1組と思われがちですが、(G)I-DLEはもっとスケールの大きなグループだと思います。
特にリーダーでメインラッパーのソヨンは、(G)I-DLEの多くの楽曲のプロデュースや作詞作曲を手掛けています。パフォーマンスのクオリティも高く、ついにBIGBANGのG-DRAGONのようなカリスマがガールズグループからも現れたかと感慨深くなります。


3rdミニアルバム「I trust」は活動曲の「Oh my god」も素晴らしいですが、他の収録曲もそれぞれ違う方向性で質の高い楽曲になっておりその全てにソヨンが関わっていることからその才能の高さをはっきり証明した作品です。
これが10万枚以上のセールスを記録しているのは凄いことです。
この後にデジタルシングルとしてリリースされた「i'M THE TREND」も現在のグループの勢いを感じさせる楽曲で、この曲はメンバーのミンニとウギが制作に加わっており改めてこのグループの懐の深さを感じました。
4minuteや2NE1、そしてBLACKPINKにもたどり着けない独自なポジションに彼女達は到達してしまうのではないでしょうか。そんな期待を抱かせてくれるグループなのです。


第2位:OH MY GIRL「Dolphin」

2015年のデビュー以降堅調に活動を続けてきたOH MY GIRLですが、デビュー6年目を迎えた2020年は大ブレイクの1年になりました。
まず活動曲の「NONSTOP」を4月にリリースすると全音楽番組で1位を獲得し、各種音源サイトでも軒並み1位を獲得。


その後アルバムのサブ曲の「Dolphin」も、IUなど様々なアーティストからのレコメンドを受け、チャートの逆走行を記録しタイトル曲ではない収録曲が大ヒットするという異例の状況が生まれました。
KBSのK-POP Top 10では9月まで2曲ともTOP10に留まり、「Dolphin」は11月までチャートインし続けるロングセラーとなりました。
特に音源チャートで高い人気を博したことから、韓国国内でこの2曲は、BTS「Dynamite」に匹敵するくらい大衆に愛された楽曲と言ってもいいのではないでしょうか。「Dolphin」は日本でもTikTokを通じて若い世代を中心に広まっていきました。


「Dolphin」はこれまでK-POPで親しまれてきたフックソングの系譜を踏まえつつ、その一歩先をいった楽曲になっているという印象を受けました。親しみやすさと新鮮さが同居した中毒性の高い楽曲だったからこそ、これほどのヒットを記録したのではないでしょうか。


OH MY GIRLのデビュー以来のコンセプトはフェアリーテイルですが、その中にファンキーなヒップホップ感覚が備わっているのがこのグループの独自性です。華やかさとワイルドな雰囲気が同居しているこのグループの特質を、理想的なかたちで表現できたのが「Dolphin」だと思います。
また今年はメンバーのアリンが主演したWEBドラマの「少女の世界」も話題を呼び、アリンはK-POPガールズグループ個人ブランド1位になるなど人気が急上昇しました。

K-POPのガールズグループの歴史の中で、デビュー6年目のグループがこれほど台頭することは初めてのことではないでしょうか。
来年以降の活動も非常に楽しみです。


第1位:IZ*ONE「FIESTA」

そして1位は問答無用にIZ*ONEです。


この「FIESTA」が収録されている1stアルバム『BLOOM*IZ』は本来2019年11月11日にリリースされる予定でした。しかしその直前にIZ*ONEが誕生するきっかけとなった『PRODUCE 48』の投票操作疑惑報道により発売延期となってしまいました。すでにティーザーも上がっている状況での出来事だったため、ファンが受けたショックは大変なものでした。

カムバックショーケースも放送中止となり、その後もドキュメンタリー映画の公開中止や発売記念イベントの開催延期、ファンサイトの更新と新規入会の受付停止などが次々に決定し、グループ存続は絶望的と思われる状況に思われました。


しかしこの間にファンによる活動再開を願う動きが活発になりました。SNSでも連日のようにハッシュタグイベントが行われ、これまで見たことのないようなファンの組織力を見せつけられた思いでした。
ファンの活動により絶望的な状況から少しずつ光明が見えてくる雰囲気を体感しました。
水面下では色んな動きがあったのでしょうが、2019年の年末に活動の再開が発表されることとなりました。

2月17日に『BLOOM*IZ』が発売されると、初週売上は35万枚を突破しK-POP歴代ガールズグループの初週売上の最多記録を更新するという鮮やかなカムバックを果たしました。
「FIESTA」でのIZ*ONEのパフォーマンスはこれまでより一段とスケールアップしており、音楽番組での彼女達の姿には鬼気迫るような気合いを感じました。
困難な状況から立ち上がる彼女達の姿が、この曲と非常にフィットしていたと思います。

IZ*ONEはその後も3rdミニアルバムの『Oneiric Diary (幻想日記)』がK-POP歴代ガールズグループの初週売上の記録を再び更新し、4thミニアルバム『One-reeler / Act Ⅳ』も高いセールスを記録しました。


IZ*ONEはもともと日本の運営のプロデュース能力にファンからも疑問の声が上がっていたこともあり、コロナ渦で韓国での活動に専念せざるをえなくなって、かえってこれがグループとしてのスケールアップにつながったと思います。
活動休止とコロナという非常に大きなマイナス状況をプラスに変えてみせたのは、スタッフの高いクリエイティブ能力も重要な要素ですが、何よりメンバー達の結束と強い精神力で過酷な状況の中でも、グループとして決して気持ちを切らさなかったことが大きいでしょう。

2020年のIZ*ONEの活動は、2010年から2011年までの少女時代や2016年のTWICEなど、伝説的なK-POPガールズグループの絶頂期にも引けを取らないもので、後世から振り返っても凄い1年だったと語られることになるでしょう。
BTSやBLACKPINKの活躍も素晴らしかったですが、今年のK-POP界のMVPはIZ*ONEだったと言い切ってしまいます。

IZ*ONEは2年6か月の期間限定グループなので、このままいけば2021年4月いっぱいで解散ということになってしまいますが、このグループが無くなってしまうことはK-POPのみならず現在のカルチャーシーンにおいても大きな損失になると強く訴えておきたいと思います。


コロナ渦においてアイドルという存在が放つ力の大きさ

2020年は新型コロナによって、エンターテイメントの存在意義そのものが問い直された1年でした。しかしこういう時代になると、エンターテイメントはより人々に必要とされるということが分かったのではないでしょうか。


アイドルという活動は多くの人々が一つの場所に集まって盛り上がるということが欠かせません。本来ならアイドルにとっては致命的な状況で、実際多くのアイドルが大きな被害を被ったでしょうが、アイドルカルチャーそのものの盛り上がりはむしろ増したのではないかと思います。

アイドルファンはこれまでとは違う方法でこれまで以上にアイドルの応援に熱狂しました。
なぜなのか?

それはアイドル自体の魅力もさることながら、アイドルの向こう側に共通した思いを抱いているであろう多くの人々の存在を感じ取ることができるからだと思います。コロナ渦でそれぞれが隔絶されたような社会状況の中で、閉塞感を打ち破るのに最適な場所こそがアイドルという空間だったのだ、と感じずにいられない1年でした。


最後に今年最も印象的だったK-POPガールズグループソングの一節で締めさせていただきたいと思います。

“눈부시던 그날 우리가 만난 건 우연이 아냐
 우연이 아니야 꿈꿔온 우린 거야”
(眩しかったあの日 私達が出会えたのは偶然じゃないよ
 偶然じゃない 夢見てきた私達だよ)
 
IZ*ONE「우연이 아니야 (ウヨニ アニヤ)(DESTINY)」

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2020年、ありがとう!

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