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TSP 10th 映画講座

DJユニットTop Secret Philia'sスピンオフ企画映画講座の第10弾

今回の映画は
監督 シドニー・ルメット
『十二人の怒れる男』

これまで同様DJ智智(C)によるDJ智智(T)への映画講座です。
今回の映画はCは二回目の視聴、Tは初めて。
以下、視聴後のC(🦓)とT(🐘)によるやり取り。
※ネタバレあり 注意※

🐘:タイトルは知っていたけど内容は全く知らない古典的名作が来ましたね。
🦓:わたしも父親に勧められて観てみたんです。最初に観た時のおもしろさが他の映画とは一味違う趣があったので、今回チョイスしました。
🐘:勝手にヒッチコック的映画だと思い込んでいたのですが、まさか舞台転換のほぼ無い会話劇だとは。
🦓:もともとはアメリカのテレビドラマだったらしいです。
🐘:最初に11対1になった時点で、これは、逆転させていくドラマなんだろうなという予想は付きましたが、まさかあの部屋から出ずに進行するとは思いもよらず。
🦓:わたしは父親に勧められたときに、既に「11対1から逆転する話なんだ」と壮大なネタバレをされてしまっていたので、一つの部屋での会話劇も予想できてました(笑)
🐘:そのネタバレは残念だね(笑)
12人全員をちゃんと把握するのはさすがにできなかったけど、全員の個性をしっかり描き分けてるなあとは思いました。有罪か無罪かの2択を人物の個性によって面白く見せなきゃいけないわけだから、描き分けが一番のポイントになるのは当然でしょうが。
有罪の11人がそれぞれどのように無罪に転じていくか、というのが面白かったですね。
まあ今現在の視点で見ると、あれを有罪と断定するのはかなり無理があって穴だらけだなあと思ったので、その点は時代を感じちゃいましたね。
🦓:たしかに。1人1人がどう変わるかはこの映画の醍醐味ですね。
あとこの映画を面白くしていたのは、肝心の裁判の様子を視聴者にはまったくわからない状態で物語をスタートさせている演出だと思いますね。
🐘:あーなるほど。
🦓:話が進むにつれ、登場人物たちの会話によって裁判で提示されたことが徐々にわかってくる。さらに、裁判での議論とは別に、陪審員それぞれが裁判で見たもの聞いたもの、加えて自分たちの経験に基づく事柄までも審議の重要な材料になっていくっていうのが面白かったですね。12人の会話劇に自然に引き込まれていく作りになっていたと思います。
🐘:そうそう。
じゃあちょっとwikipediaを参照にしながら、12人の陪審員の動きを具体的に追ってみましょうか。
🦓:いいですね。
🐘:まともに裁判に取り組んでいるのは、最初から無罪を主張していた8番だけなんじゃないか、という感じがしましたね。そしてまず初めに9番の老人が無罪に傾く。この老人の存在も大きいですね。決定打も老人の証言だったし、ラストのシーンも印象的に描かれてました。
🦓:そうでしたね。
🐘:そのほか印象に残っている人物は、ナイフの使い方を語るスラム育ちの5番、野球の話ばかりでやる気の無い7番、そしてまじめなユダヤ移民11番。
あと有罪側の最後の二人、冷静そうな4番と荒っぽい3番も。
🦓:スラム育ち5番のナイフの使い方いいですよね笑
🐘:有罪側の4番は、しゃべり方は真っ当そうなんですが、有罪の根拠が目撃者の証言のみに立脚していて、よくそれだけでそんなに自信ありげに話せるな、と思いましたね。今までの話ちゃんと聞いてんのかよ、って笑
まあ最後9番の眼鏡話であっさり認めてましたが。
🦓:笑
🐘:3番は途中子どもの話がさりげなく登場したところで、こいつがきっと最後まで粘るな、と予想できて、案の定って感じでしたね。
この3番が典型的だと思うんですが、皆それぞれが、暗に個人的な立場に立脚して有罪か無罪かを考えている感じで、事実を冷静に分析しようとしていないのが、陪審員にはふさわしくないんじゃないかと思わされました。
🦓:たしかにそうですよね~。これが人間の性なのか。裁きを下すには、先入観や感情を排さなければいけない。けど陪審員は所詮一市民でフツーの人間。個人的感情入りまくりですよね。タイトルの「怒れる」っていうのはそういうことかも。映画を観たあと『Q.E.D』の裁判員制度の話を読んで、アメリカと日本の制度の違いが紹介されていて勉強になりました。
とーまくんの言う「検察側に立証責任」があって、裁判で提示された証言以外を論拠にしてはいけないとしたらこの映画は成立しないでしょうね~
🐘:そうですね。
ちなみに私の個人的ベストシーンは、目撃者のお爺さんが何秒で扉までたどり着けるかを、みんなで実験するシーンですね。迫真の脚引きずりでちょっと笑いました笑
🦓:笑、「あなたのさじ加減でどうにでもなるよね?」と突っ込みたくなりますね。真面目に再現していたので許します笑
わたしのベストシーンは、凶器のナイフと同一のナイフをポケットから取り出しテーブルに突き刺すヘンリーフォンダのドヤ顔です。
🐘:いいですね笑
🦓:そういえば、この映画と同様、舞台転換がほぼ無く、キャラクターの台詞だけで物語が進むサスペンスがタラムービーにもありました。タイトルといい少なからず影響を受けているのでは、と、いまさら気づきました。まあ、万人に勧められる映画ではないですが、いつか映画講座で笑
🐘:あの『古畑任三郎』の三谷幸喜にも『12人の優しい日本人』というのがあります。これはタイトルからしてそのまんま笑
オマージュされる古典的名作鑑賞もいいですね。
🦓:パチパチパチ

おわり

今回の映画
『十二人の怒れる男』
監督 シドニー・ルメット
脚本 レジナルド・ローズ
製作 レジナルド・ローズ
ヘンリー・フォンダ
出演者 ヘンリー・フォンダ
リー・J・コッブ
エド・ベグリー
E・G・マーシャル
ジャック・ウォーデン
音楽 ケニヨン・ホプキンス
撮影 ボリス・カウフマン
編集 カール・ラーナー
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 アメリカ合衆国 1957年4月13日
日本 1959年8月1日
上映時間 96分
製作国 アメリカ合衆国

#映画 #十二人の怒れる男 #tsp

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