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【全文公開】本の仕入れ方大全

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本を卸値で仕入れたい。けれど仕入れ方がわからない。それが、本屋をはじめようというひとにとって最大のハードルだとずっと感じていました。そのハードルを下げるために、日本国内における本…
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2018年11月の記事一覧

本を仕入れる前に

別冊 本の仕入れ方大全 1 この別冊について 本を売りたい。少しの利益を得るために、定価ではなく、卸値で仕入れて売りたい。とてもシンプルなことなのだけれど、実はこれが、特に新品の本においては、一筋縄ではいかない。  多くの人は、まず「本 仕入」などのワードで、インターネットで検索するだろう。すると、確かに大手の出版取次のサイトも出てくるが、その他一ページ目に出てくる情報のほとんどは「Yahoo! 知恵袋」などのQ&Aサイトで「本の仕入れ方がわからない」などと質問されたもの

大取次の口座を開く――新品の本を仕入れる5つの方法(1)

別冊 本の仕入れ方大全 2(1) 大取次とは 新品の本を仕入れるにあたり、もっとも一般的なのは、大取次(*5)と呼ばれる取次会社の口座を開き、そこから仕入れる方法だ。  日本出版販売(日販)、トーハン、大阪屋栗田。この三社を指すことが多い。四社目として中央社が加わる。中でも日販とトーハンの大手二社で、業界のシェアの約八割を占める。大取次であれば、出版流通に乗っているほぼすべての本を確実に、可能な限り迅速に仕入れることができる。  大取次の口座をひとつ持つことで、出版流通

小さな取次の口座を持つ――新品の本を仕入れる5つの方法(2)

別冊 本の仕入れ方大全 2(2) 中小取次の多様性と仲間卸 大取次の口座を持つためには、それなりの売上を見込むと同時に、保証のハードルを越えなければならない。とはいえ、大きな取次と契約ができなければ、出版流通に乗っている新品の本を扱えないかといえば、必ずしもそうではない。中小取次という選択肢がある。  大取次と中小取次の違いは、もちろん会社としての規模の違いでもある。だがそれ以前に、そもそも役割が違う。そのため、契約している出版社の数も違う。  大取次は、その一社で、あ

書店から仕入れる――新品の本を仕入れる5つの方法(3)

別冊 本の仕入れ方大全 2(3) 書店も二次卸ができる 大取次の口座を開かず、中小取次の口座を持たなくとも、新品の本を仕入れる第三の方法がある。それは、書店から卸してもらうことだ。  たとえば店の一角で少しだけ本を売りたいなど、本をメインに商売をするわけではない場合や、継続的に扱うかどうかはわからないが、とりあえず試しに売ってみたいというような場合。あるいは、そもそも本で儲けを出そうと考えていない場合。そうしたことを正直に伝えると、大取次はもちろん、中小取次でも、なかなか

出版社から直接仕入れる――新品の本を仕入れる5つの方法(4)

別冊 本の仕入れ方大全 2(4) 直取引とは 新品の本を仕入れる第四の方法は、取次や書店などを介さず、出版社から直接仕入れる、すなわち直取引を行うことだ。  方法は簡単で、ただ出版社の代表電話に電話をかけて、直取引をしたい旨を伝えればよい。その出版社が全く応じていない場合は別だが、柔軟に対応してくれる出版社も増えてきているので、大抵の場合は担当者につないでもらえる。もちろん、条件はケースバイケースだ。少額の取引であれば、条件は出版社の側で決められていることも多く、たとえば

バーゲンブックを仕入れる――新品の本を仕入れる5つの方法(5)

別冊 本の仕入れ方大全 2(5) バーゲンブックとは 最後に、バーゲンブックやB本と呼ばれる、新品にもかかわらず、自由に値段が付けられる本について説明しよう。  先に述べた通り、日本の出版業界には再販制があるため、新品の本の多くは定価で売らなければならない。特に、取次を介して全国に流通している出版社の本については、出版社と書店との間の再販契約を取次が代行し、口座開設時に一括して契約を交わすため、出版社側が非再販商品であると明示している場合を除き、値引きすることができない。

古書組合に入る——古本を仕入れる4つの方法(1)

別冊 本の仕入れ方大全 3(1) 古書組合とは 新品の本と比べると、古本はまだ仕入れ方がイメージしやすいのではないだろうか。古本屋を開業するための手引書もいくつか出版されているので、より具体的に知りたい方はそれらを参照していただきたい。本書ではあくまで全体像をつかむための概説にとどめる。  古本を仕入れる第一の方法は、古書組合に入り、その古書交換会(市場)に参加することだ。ビジネスとして本格的に古本を扱う場合は、最初に検討すべき方法と言えるだろう。  古書組合は、基本的

他人から買い取る——古本を仕入れる4つの方法(2)

別冊 本の仕入れ方大全 3(2) 買取と古物商 古本を仕入れる第二の方法は、人から買取をすることである。自分の蔵書や、勤め先などで不要になった本を、古本屋に売ったことのある読者も多いだろう。いわばその逆の立場として、個人や法人から古本を買い取るということだ。  買取をするには、古物営業法に基づき、それを扱う「古物商」(一号営業)の許可が必要になる。なお、古書組合に入る加入基準には、この古物商を持っていることが含まれている。  古物商の許可を取るには、買取を行う場所を管轄

セドリをする——古本を仕入れる4つの方法(3)

別冊 本の仕入れ方大全 3(3) セドリとは 古本を仕入れる方法の三つ目は「セドリ」である。「競取り」とも「背取り」とも書くようだが、後者の字義通り「本の背を見て取る」ことだ。自分でそれ以上の値段をつけられそうな本を、古本屋で買うだけだ。  自店向きでなかったり、専門外であったりするものについては、値段を安くして外のワゴンで販売している古本屋が多い。また、ブックオフなど大量の古本を扱う新古書店にも、掘り出し物が隠れていることがある。そういうものから、価値を認めたものを買っ

古本卸を使う——古本を仕入れる4つの方法(4)

別冊 本の仕入れ方大全 3(4) 古本卸 最後の四つ目は、古本卸を利用することだ。いわゆる昔ながらの出版業界、古書業界ではそれほど広く知られてはいないかもしれないが、そうしたビジネスに取り組んでいる会社がいくつか存在する。 「古本 卸」などと検索すれば、すぐにいくつかのウェブサイトが見つかる。多くは、新たに古本の売り場を作りたい小売店や、閲覧用の本を置きたい飲食店やマンガ喫茶などに向けて、セットで販売している。主に、古本の買取を大量に行っている会社が運営しているか、そうし

出版取次一覧

※クリックして拡大してご覧ください。 ※『これからの本屋読本』P158-159より転載 ※(2018年11月追記)三和図書さんは、2018年10月末をもって取次部門の業務を終了されました。