怪文書「ジェット気流に乗って」
えー8番の方~
「はい」
ジェット気流です。
「わぁ!本当ですか!?」
はい。
「楽しみだなぁ~」
チケットを受け取ってください。
「嫌です」
なんでぇ~……
「死ぬじゃん」
そうです。あなたは選ばれました。死へと。進むときです。
「あなたは人が自ら死を望むことが多いと思っていますか?」
はい。そのための「NPO法人ジェット気流に乗って」でございます。
「馬鹿らしい。貴様はジェット気流に乗ったことがあるのか?」
ありません。あと、急に強気になってきましたね。こわいですねぇ。
「質問に答えてくれないか?貴様はジェット気流に乗ったことがあるのか?」
ないです。
「ないの」
ないですね。
「なんで?」
死ぬので。
「死んじゃうもんね。」
そうなんすよwww
2分後のあなたみたいに床に叩きつけられたくないので。
「っておいこらバカ野郎w死ぬんだぞ馬鹿野郎w」
まぁ、望んだことでしょう。死の間際には4通りのステップを踏むといいますから。それで一旦は怒りが出てしまったのでしょう。
「たしかにね。もう受け入れたよ。」
んなわけねーだろ。死にたくねーよ普通は。
「たしかにね。うわあああああああああああああああああ死にたくないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
はい。行きますよ。そこの床から上に向かって気流が発生してるので、上へ吹き飛んでください。
「その後は……」
自由落下した後に床に落ちます。
「つまりそれって……」
死ぬってこと!?
「ワ……!」
ドン
「うひょ~wwwwwww飛んでるwwwwwwww」
んじゃ気流止めますね~
「うひょ~wwwwwww落ちてるwwwwwwww」
スッ
「立ちました」
なんで?
「なんとなくですね」
あ~生存するタイプのマニュアルは用意されてないですね。
「どうしましょ?死んでおきます?」
いや、流石に私も人間なので……死んでくださいとも言えませんし。
業務外で死んで頂くことは申し訳がありません。
「いやぁそういわれましても、私も死にたくて抽選に応募したので」
皆さん暴言を吐きながら死んでいくんですよ。いろいろな方法で。死んでいくんですよ。皆さん自分から望んだのに。
「う~ん。どうしたものか。生への執着が生まれてしまった。」
まぁ、例外処理をしておきましょう。出口はジェット気流に乗っていけばすぐです。
「お~助かります。」
んじゃ飛ばしますね~。右側のプールの飛び込み台みたいなところに非常口あるのでこっそり帰っちゃってください。
「わぁい」
それじゃぁ飛ばしますね~
「うひょ~wwwwwww飛んでるwwwwwwww」
んじゃ気流止めますね~
「うひょ~wwwwwww落ちてるwwwwwwww」
「え?」
ベチャ
やっちったw
もとから死にたい族だったからなぁ。まぁ例外処理もしなくていいし良かったか。
人々は恐怖に怯えていた。ただただ物を飲み食いして生き続けていることが苦痛で仕方がなかった。
だから死を選ぶ人もいるのだ。
それでも死を目の当たりにすると恐ろしいのだ。だから死にたくないのだ。
死んでしまうかもしれないという体験がしたいだけなのかもしれない。
だから、
死んでみませんか?
気持ちとしてのお金は時に人の気持ちをより良くします