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不定期投稿です。 たまにストーリ性が重厚なやつがあります。 テーマはわりと自由です。
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#ファンタジー

【詩】マルを描こう

「先生、できました!」 瞳をキラキラさせながら弟子が報告する ハイハイと弟子に歩み寄るその視界には なんということでしょう 確かに美しい丸印 精密に計算された筆致と筆色には 弟子の純粋で誠実な人柄が滲み出ている そして そこから紡がれるファンタジア 音色を聴き取った魔法使いの先生 こくりと頷き返す「よくできました」 実はここからが始まりなのだ 「これを人々に広めてくるのです」 魔法使いの弟子は口元をキュッと引き締める 「はい、先生!」 弟子はチョロキューと街へ繰り出す

【詩】ムチュウの脱出ゲーム

これは質の悪い現実なんだ 神の創りし舞台で僕らは 命がけのプレイをしているよ 僕はずっと始まりの街に滞在している だから少しだけ話をしようか どこで生まれて何をするかどう死ぬか 誰に出会って別れて悟りを得るのか ヒントもなければ攻略も解説もないゲームさ まるで丸裸の人間が五里霧中で手を伸ばす あなたの役職とかクエストの正体なんて 誰にも聞かないでよね答えられないんだから 自由と不自由のゲル状態で沼から手が語る ねぇあの子は幼いまま死んで あの少年は罰せられなくて あ

【詩】リクリタ

ほら、ごらん きみにツバサが生えた 天使になる? 悪魔になる? ほら、ごらん 耳がとんがった 小人になる? ネコになる? ほら、ごらん 光に包まれていく 扉の向こうから あの子たちは見ているよ きみが変身するところ ほら、ごらん 光が消えていく きみはどうなっているの 妖精になっている? 妖怪になっている? それとも 人間に戻っている?