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不定期投稿です。 たまにストーリ性が重厚なやつがあります。 テーマはわりと自由です。
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#ペンタブ

【詩】間に入る

あなたと私の間にはキューピットがいて 愛が生まれた あの人と恋人の間には天邪鬼がいて 泥沼が生まれた そんなことを駅前のカフェでのんびり コーヒーにミルクを垂らしながら考える 「人は1人じゃ生きられない」と言うけれど 誰かといることは既にファンタジーであって 手を繋ぐと異世界に片足が踏み出す 『人』が『人』に良いことをするのも 悪いことをすることも『間』に何かがあって だから『人間』なんて自称するのかな? 混じり具合がファジーな飲み物に口を付け 私は揺らいだ意識の狭間

【詩】私の魔女が言うには

私の心の魔女が言う 「モヤモヤ、ムシャクシャしているねえ」 炎の魔術を準備をしながら 「いっそ全部燃やし尽くしてみるかえ?」 私の中の私が言う 「きっと大丈夫」 「時間が経てば、良くなるから」 私の心の魔女が言う 「メソメソ、クシャクシャしているねえ」 泉の魔術を準備しながら 「いっそ全て流してみるかえ?」 私の中の私が言う 「たぶん大丈夫」 「時間が経てば、良くなるから」 私の心の魔女が言う 「なよなよ、ひょろひょろしているねえ」 芽の魔術を準備しながら 「いっそ覆

【詩】2022年11月18日のどこか

今日は11月18日だなと思って 11時18分に時計を確認する そんなささやかな偶然にニヤリとする人 自分は5月18日生まれだからと 午後5時18分にテレビの時刻表示を見て なんとなく満足している私 11月18日と5月18日って ちょうど半年の距離感だなと 計算してみたり そうしているうちに 良い報せに気づいちゃったりして 他の誰にも琴線を鳴らせなくても 自分だけ拍手喝采のことってあるよね 「自分」というワンダーランドの中で ファンタジーなハプニングに驚き笑い 少しだけ

【詩】ねんどろーん

舞い上がった気持ちは 吹き飛び去るほどもでもなく こねこねと 私の手中に収まっている 手放せてしまえたら楽なのに ずっと嚙み砕くように揉んでいる 誰かに飲み込んでもらえるように でも引っ込み思案だから ぶち込めないんだ うねうねと ねぇ どう行けば飛ぶ? 奥手な私の放筆力は だんだん狭くなっている気がする 活力を注いで活路を開けろ! まるで血潮を巡らせるように 途切れる前に届けたいんだ もにょもにょ ごにょごにょ…… とか思う間に暗闇が 容赦のない獲り合い合戦が

【詩】鉄の鎖

悪魔が囁いたのです 独りでは幸せになれない そして浮かんだのは君の笑顔 天使も告げました 愛とは相手を想うこと 君への気持ちの名を知った瞬間 大きな 炎と波 何かが白く飛んで彼方へ散った 君を腕の中に閉じ込めてみた   可憐であたたかい唯一の花が咲いた 君を強く揺らして繋いでみた   まるで判決を叫ぶように鳴いた 君を小さな箱に閉じ込めてみた   千切れそうなほど綺麗に泣いた 鎖を舐めてみた今となっては これでもかと迫る味に 人間らしさを噛みしめるしかない 鎖を手放