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「特撮」堂々巡りその4

ところで、深夜特撮を外したと言ったが、実際には先ほどのドラマのなかにも深夜枠のものもあり、含むという意見もあるが、深夜特撮の多くがアニメや全日帯の特撮番組のように30分或いはそれ未満の番組が多い。
とはいえ、1973年ぐらいまでは20時以後にも30分のドラマは放送されていた。
例えば「マコ!愛してるゥ」がそうだし、他には「サザエさん」(1965)は30分枠だが21時スタートである。
1980年代終半から深夜番組が盛り上がり、30分ドラマもこの時間帯に特撮もの以外で久々に制作されることになった。
割とホラーSFに偏りがちだが、加藤夏希主演の「GO!GO!HEAVEN!」(2005)のようなSFでもなんでもない深夜ドラマも放送されている。
まず、深夜特撮の始まりは「奇妙な出来事」(1989)で「NIGHTHEAD」(1992)のヒットで軌道に乗り、同作の共同テレビは「BLACKOUT」(1995)も制作している。
実のところ、奇妙な出来事とNIGHTHEADの間に「世にも奇妙な物語」(1990)が入る。
「世にも奇妙な本」(ぴあ株式会社)によると、ゴールデンタイムに放送予定のドラマ企画が頓挫し、急遽奇妙な出来事をやることにしたのが世にも奇妙な物語のスタートである。
司会のタモリの存在は、普通にヒッチコックの役なのだろうが。
思えば、恐怖劇場アンバランス、日曜恐怖シリーズ、現代怪奇サスペンス、そして世にも奇妙な物語と全てフジテレビ系列なのだが。
兎に角、本作のヒットがゴールデンタイムにSF的な企画が台頭する後押しをしたことは間違いない。
そして世にも奇妙な物語は92年まで三期シリーズが放送され、三期目に放送された話がNIGHTHEADのパイロットになった。
全てが繋がったが、これこそ世にも奇妙な物語である。

ただ、深夜特撮のスタートはあまり特撮らしくないようにも思えるが、NIGHTHEADを闇の少年ドラマシリーズと語る論者もいるし、BLACKOUTはサイバー時代の「怪奇大作戦」(1968)であり、過去と糸は繋がっている。
だが、大手はそこに上手く乗れたのだろうかと、円谷プロの「ムーンスパイラル」(1996)や東映の「Sh15uya シブヤフィフティーン」(2005)を見て思う。
むしろ東宝の「ヴァンパイアホスト ~夜型愛人専門店~」(2004)の方が成功していたような。
「WARASHI! ワラシ!」(1991)や「エコエコアザラク」(1997)を送り出した円谷プロから分派した円谷映像が気を吐いていたのではあるが。

以後は「時空警察ヴェッカー D-02」(2001)、「我狼〈GARO〉」(2005)などのシリーズや、「怪奇大家族」(2004)、「宇宙犬作戦」(2010)やスーパー戦隊シリーズのパロディとして製作ガイナックスの「エアーズロック」(2012)や「乾杯戦士アフターV」(2014)、本家東映の「非公認戦隊アキバレンジャー」(2012)などが製作され、2020年代現在はやや下火のようである。

ところで、必殺シリーズを特撮に入れてしまったが、実のところ特撮ファンにもファンは多く、休刊した特撮ファンにも人気があった雑誌「ファンロード」では特集が組まれたこともある。
松竹は1960年代に特撮を使った時代劇を製作しており、「ルパン三世」を意識した「時代活劇シリーズ 風」や児童向けにも色々製作しており「はやと」(1969)など、劇画的表現に特撮を使っていたようだ、ちなみにはやとの必殺技「はやと三段斬り」は技のあとスローモーションになりナレーションでは敵の頭蓋を割るという、こんなエグい必殺技が他にあっただろうか。
兎に角、1960年代の松竹の試みは必殺シリーズに結実したとみてもいいと思う。


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