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理科系作文の作り方④

※上記の本より抜粋
※前回の続き


■事実と意見


■事実と意見を混ぜない

例えば、スミスという人物の飼っている犬が羊を噛み殺したのを見た場合『スミスの犬は羊を殺す』というと、意見となる。
事実を書くならば『スミスの犬が羊を殺したのを見た』と書くのが正しい。

『私たちは殺人犯人スニド・ハートが水筒係を射殺したのを見た』の文であれば、殺す前は殺人犯の枠組みにはまらない為、アタマに『殺人犯』とつけるのは誤りになる。

細かいところだが理科系の文書を書く上では
事実と意見を書き分け、事実の裏打ちのない記述は避ける必要がある。


意見扱いされるものは以下のとおり

推論 例:彼は汗をかいているから暑いに違いない。
判断 例:彼女は優れた研究家であった。
意見 例:リンを含む洗剤の使用は禁止すべきである。
確信 自分では疑問の余地がないと思っている意見。
仮説 真偽を確認する前、証明や試験の前に仮に打ち出した考え。
理論 証明になりそうな事実が相当にあるが、まだ万人には受け入れられていない仮説のこと。(ダーウィンの進化論など)

事実を書いているのか、意見を書いているのか理解して書くことで文そのものへの記述内容の過不足がわかってくる。


■事実の持つ説得力


世間一般的な人の大部分は
「夜桜は格別に美しい」や
「あの人は今駆けつけてきたに違いない」など
主観的・直感的判断を口にしたり文にも採用しやすい。

だが、理科系の文章(仕事で使う文でも言える)は誰の目から見ても同じ意味として受け取れるような、客観的で具体的な事実に基づいた意見でなければいけない。



■分かりやすく簡潔な表現

仕事で使う文はなるべく短く簡潔な文が良い。


言いたいことが頭の中にびっしり詰まっている場合、支離滅裂な文ができあがることがある。それでは読者に伝わらない。(以下参考例文)

いくら理想の道路を造ろうと,起終点は人々の居住生活圏の中にある以上は,そして現実に日本の道路は幹線道路といえども居住地域のコミュニティ内を通らざるを得ない以上,自動車の走行速度は,スピードに適応能力のない人々の住む地域なるがゆえに,それが危険感を与えずにはいられない.
進行方向はいくら見通しがよく,道路幅員がいくら広く,設計速度がいかに高くとも,横断の交差交通を排除できず,交差点間隔が短く,歩行者・自転車利用者がいる以上は,皮肉にもこれが,立派な道路ほど死亡重大事故の潜在危険性の高い道路となる.
……自動車の走行速度は,スピードに適応能力のない人々の住む地域なるがゆえに,それが危険感を与えずにはいられない.
進行方向はいくら見通しがよく,道路幅員がいくら広く,設計速度がいかに高くとも,横断の交差交通を排除できず,交差点間隔が短く,歩行者・自転車利用者がいる以上は,皮肉にもこれが,立派な道路ほど死亡重大事故の潜在危険性の高い道路となる.……

読めなくはないが、段落の中にて終着点がなく漂っている言葉が多すぎる。これではわかりにくい。


こういった文になってしまいがちな場合には、言いたいことを一つ一つ短文でまとめる。その際、必ず主語を意識して作る。
一つ一つ書き出した短文を論理的につなげていく必要がある。

著者が伝わりやすいように手を加えたものが以下の通り。

道路の起点・終点は原則として人々の居住・生活圏の中にある.
国土のせまい日本では,そういう場所を幹線道路が貫通することは避けがたい.
居住・生活圏で車が高速で走れば,それに適応して立ちふるまう能力のない人たちが危険を感じるのは当然である.
居住・生活圏の中では,当然,道路を横断する交通があり,必然的に交差点の間隔が短くなる.
また,そこには歩行者や自転車通行者がいる.
そういう場所に立派な幹線道路――道幅が広く,前方の見通しがよく,高速走行用に設計された道――をつくれば,道が立派であればあるほどかえって重大な人身事故の危険が増す.……


本日はここまで

◎今日の呟き
自分が読解できたところだけ載せてます。細かいところですがあげたトピックの終着点をつくるのは大事なことですね。


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