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485系 最後の初夏

国鉄特急の代名詞485系。架線があれば全国津々浦々どこでも走った名車だ。その原型を留める最後の編成が仙台にいた。とはいえ老朽化は著しく、2016年6月いよいよ最後の時がやってきた。仙台に住んでいながらその勇姿を切り取らない選択肢はない。臨時列車を追いかけた数日間の記録である。

001 布藤ストレート
2016.05.03 磐越西線 翁島〜更科(信)
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G
002 滝ノ原カーブ
2016.05.03 磐越西線 更科(信)〜磐梯町
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G

この年の大型連休。磐越西線の特急「あいづ」に国鉄色485系が登板した。仙台から東北線で南下して郡山で友人と合流、磐越西線に乗り換えたどり着いたのは翁島駅。そこから徒歩で向かった布藤のストレートはすでに人だかりができていた。磐梯山をバックに1枚を抑えて振り向くと、後ろに立っていたのは母校の恩師。好意で駅まで送ってもらい、午後の撮影に向かうが、午前の青空はどこへやら期待していた田んぼの水入れも一歩早かった。


003 馬牛沼
2016.05.08 東北本線 越河〜白石
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G

連休の終盤、再び晴れ予報を見て進路を南に取った。まず向かったのは越河駅から徒歩20分ほどの馬牛沼。跨線橋上はもちろん、神社からの俯瞰も人だかりができていた。セッティングを終えてふと周りを見渡すと、5日前磐越西線で見た恩師の姿があった。撮影を終え、再び好意の便乗をさせていただき、車で磐越西線に向かわせてくれた。


007 中山宿
2016.05.08 磐越西線 磐梯熱海〜中山宿
Nikon D7200 AF-S Nikkor 50mm f/1.8G

恩師の案内のもと中山宿の鉄塔俯瞰にアタックすることになった。俯瞰への道は登山道かと思うほど三脚を担いだ男が続々と登っていた。20分ほど登るとお立ち台は強風。とはいえ景色は最高!緑の稜線の足元に国鉄色が光る構図を組み、初夏の日差しのもと列車を待った。


004 川桁
2016.05.08 磐越西線 川桁〜猪苗代
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G
005 川桁
2016.05.08 磐越西線 川桁〜猪苗代
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G

昼飯を食べ午後は川桁のカーブに落ち着いた。面に日は回らないものの、磐梯山をバックに国鉄色が拝めるのであれば文句は言うまい。この5日で水入りが進むわけもなく、水の入っていない田んぼを入れつつ折返しが来る時を待った。


009 岩切
2016.06.18 東北本線 東仙台〜岩切
Nikon D7200 AI Nikkor 300mm F4.5 S

迎えたこの土日、JR東日本仙台支社が企画した485系ラストランイベントの日。ひばり、あいづ、つばさといった485系のリバイバル臨時列車が南東北3県で走る、超大型イベントである。東京からの友人たちと一緒にまず狙ったのは営業前試運転のひばり幕。岩切のストレートはカメラを構えた男たちで溢れていた。新たに用意した300ミリレンズを据え、普通列車と被らないことを祈りながらシャッターを切る。え、これでこの土日もう良いのでは?と思うほどの1枚が撮れていた。


011 広田
2016.06.18 磐越西線 広田〜会津若松
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 55-200mm f/4-5.6G IF-ED
012 船岡
2016.06.18 東北本線 大河原〜船岡
Nikon D7200 AF-S DX Nikkor 35mm f/1.8G

そのまま東北本線沿いで撮影をしながら南下し、ことし3度目となる磐越西線へ。光線を鑑みて、広田駅近くのストレートであいづ幕の編成を撮影。幕が反対側が文字幕のため、時間はタイトだが会津若松発の列車を狙った。撮影後急いで船岡まで戻って、夕焼けの中光るあいづ幕を撮影。ちょっと暗かったかな………。


013 船岡
2016.06.19 東北本線 大河原〜船岡
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G
014 越河
2016.06.19 東北本線 越河駅
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G
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2016.06.19 東北本線 越河駅
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G

翌日の天気は薄曇り。でも一番カッコいい(と思う)つばさ幕。となればスナップ的にと朝から動き始めた。流し撮りをなんとか決めて向かったのは越河駅。ダイヤ上ここで運転停車することになっていた。駅には先客もちらほら。複線幹線によくある国鉄型配線の副本線に特急が止まっているのはありそうでなかったシチュエーション。さらには運転停車中に貨物列車に追い抜かされるという、営業列車だったらありえない画も見ることができるのは、臨時列車の面白さかもしれない。


016 陸前白沢
2016.06.19 仙山線 陸前白沢〜熊ヶ根
Nikon D7200 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 55-200mm f/4-5.6G IF-ED
017 奥新川
2016.06.19 仙山線 奥新川〜面白山高原
Nikon D7200 AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED

南への追撃はほどほどに、仙山線の仙台側をロケハンしながら場所を探す。山形行きは山間の踏切で手堅く抑え、返しの仙台行きの場所を考える。人だかりとなっていたのは奥新川の橋俯瞰。とはいえ、リバイバルはケツ撃ちでも幕撮ってナンボ。どうにかつばさ幕をと思い、奥新川のさらに奥をさまよい続けた。携帯は圏外、やけにヘリコプターの音が耳に入る。1時間近く経ってようやくトンネルの出口を見つけた。時間もないしここに決め、最後の485系の去り姿を写真に収めた。
下山後、ツイッターを開くと、例の橋俯瞰近くで崖から車が落ちて搬送されたことを知った。ヘリの音はそれだったのね……。

事故はともかく、この日をもって原型の485系の営業運転は終了した。世代ドンピシャというわけではないが、この一連の日に立ち会えたことはとても幸運だったと思うし、穏やかなイベントで終われたことが良い記憶として残っている。