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2017.09.19 岩手開発鉄道

仙台から北に180キロ。県境を越えて岩手県に入ってすぐの場所に位置するのが大船渡市である。太平洋に面した街で、当然津波による甚大な被害を受けた。ここに走るのが、石灰石輸送を使命とした10kmあまりの路線・岩手開発鉄道である。山で採れた石灰石を太平洋セメントの工場に運ぶ貨物列車が、1日10〜18往復程度というそこそこの高頻度で運転されているが、場所が場所だけに訪れる人は多くない。せっかく仙台にいることだし、行ってみることにした。

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2017.09.19 長安寺〜日頃市
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

例のごとく夜に仙台を出発し、高速と下道でおよそ4時間半。明け方には大船渡に着いた。短い路線ゆえロケハンも時間はかかるまい。朝から線路に沿った道路を走り、まずは陸橋を越えるゆるいカーブから1日を始めることに。とはいえ、時刻表がないので基本的には列車が来るのを牧歌的に待つしかできない。幸い十数分で、好天のもと石灰石を満載した無蓋貨物が走り抜けていった。


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2017.09.19 長安寺〜日頃市
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
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2017.09.19 長安寺〜日頃市
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

日中はだいたい30〜40分おきに列車はやってくる。とはいえ手元に時刻表がないので、何時までに移動するといった目処が立てにくい。小さな踏切で「ここは撮れるかな?」とチェックしていると、突如踏切が鳴った。編成写真のセッティング時間はないも同然。ええいならば踏切ごと撮ってしまえ。レトロなフォントと、使い込まれた無蓋車のコントラストがいい塩梅の1枚になった。
そのまま今度こそ、線路脇からストレートの編成写真を狙う。今度は20分ほど待ったところで期待通り、貨物列車がファインダーに飛び込んできた。


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2017.09.19 長安寺駅
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

沿線には何個か俯瞰スポットがあると聞くが、唯一場所がわかったのがこの長安寺駅俯瞰だった。タイミングが合えば離合シーンを撮れると思い、順光となる午前11時ごろから崖をよじ登ったものの、2時間待っても列車は来ない。しびれを切らして一度盛駅前まで戻って水分補給をしていると、トラブルで運転を見合わせていて、午後2時くらいには再開の見通しとの情報が。仕方がないので俯瞰に再アタックしていると、立ち場までの道のり半分のところで踏切の音が聞こえた。なんで今度はこんなに早いんだ!ダッシュで登りきり、手持ちで貨物を撮影。息も絶え絶え、その場にうずくまった。
長安寺駅の離合シーンもさることながら、冬の開発鉄道も見てみたい。本当にアプローチが悪い三陸沿岸だが、なんとか時間を見つけてまた行きたいところである。