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2023.03.17~18 さよなら、北の183

2023年3月17日、キハ183系の定期運行最終日。この日をもって石北特急としての運行は最後となる。もううんざりするほど撮ってきた特急だが、最終日はやはり特別。最終日らしさって何だ?写真の力点はどこにある?考えが尽きることはない。最後の1日は金曜日だが、何の迷いもなく有休申請。敬虔に石北沿線で過ごすことにした。

送り込みのキハ283系……どこですれ違う?

2023.03.17 伊香牛駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.17 桜岡〜当麻
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

最終日らしさとして、翌日から石北の顔となるキハ283系を網走まで送り込む回送列車の撮影を企てた。スジを読んだ結果、悩みながらもキハ183系大雪2号と送り込みキハ283系の交換は伊香牛駅と予測し、まずは新特急色充当のオホーツク1号でロケハン。オホーツク1号は当麻の目抜き通りをバックとする構図を撮ってみる。当たり前だが街並みにラストラン感はない。


2023.03.17 伊香牛駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED

さあ本命、伊香牛駅と読んだ離合は果たして……。
非常に残念ながら隣の当麻駅が離合場所だったようだ。予測が甘かった。減速することなく、大雪2号は伊香牛駅を通過していく。10分ほどすると、網走に向かう6連の送り込みキハ283系が通過していった。これが現実、そんなもんだ。


2023.03.17 金華(信)〜西留辺蘂
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

安国駅で大雪4号と離合することは予想できていたが、行程の都合上これはパス。留辺蘂駅で大雪1号に抜かされる可能性に賭けることにした。
キハ283系は翌日のオホーツク2号と大雪2号に充てられる計6両分をまとめて網走まで回送する行路となっていた。6両で石北を走るのは実はレアかもしれないと、一応西留辺蘂のカーブで抑えることにした。草が生えていて編成向きでもない気がしたが、記録は記録。急いで留辺蘂駅に走ったが、キハ283系の姿はなくまた予想は大はずし。結局この日のうちに離合を撮ることは叶わなかった。

最後の札幌行

2023.03.17 女満別〜呼人
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

網走までやってきた。大雪3号とオホーツク3号は網走駅で出迎えるつもりだったが、間のオホーツク4号=最終の札幌行のことを考えてなかった。最終日、札幌への最後の旅路はやはりテールランプが撮りたい。ケツ撃ちでちょうど良さそうな呼人の伐採地に目をつけて、残雪残る藪をかき分けた。網走湖バックで撮れる場所は案外少なく貴重な撮影地。最後に来ることができてよかった。

大雪3号、網走駅にて

2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

20時59分、定刻より10分遅れて大雪3号が網走駅に姿を現した。警備員や警官も見守る「お祭り対応」が敷かれていたものの、待ち構えたファンはおよそ15人。到着した車両にも空席が見えるほどで、大混雑とはならない平和な現場となった。人混みが苦手な身としてはありがたい。
ラストランを知らせる幟をバックに入線を撮った後は、定番と言われようと停車中の姿を写す。車両に目をやると、満身創痍、騙し騙し使い続けてきたことが察されるほどボコボコになった壁面が目に入る。素人目にもわかる限界。むしろここまで走ってくれたことに感謝である。


2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 SIGMA Art 24-105mm F4 DG OS HSM
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 SIGMA Art 24-105mm F4 DG OS HSM

大雪3号の遠軽方2両は新特急色が充当されていた。網走駅名物にもなっている幕回しはこの日も大サービス。その様子をカメラに収めんとする人が集まっていた。この人だかりこそが最終日感。わちゃわちゃしているものの混雑しすぎない塩梅は理想通り。遠路はるばる網走まで来てよかった。

夜に駆ける

2023.03.17 網走駅
Nikon D750 SIGMA Art 24-105mm F4 DG OS HSM
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

ファンに見送られて1番ホームを去ったキハ183系は一度網走駅の留置線に入った。奥の建屋の窓からはキハ283系の姿も見える。なかなかツーショットとして成り立つか微妙な角度ではあるが、ギリギリわかるレベルだろうか。
整備を終えた車両は2番ホームに戻り、札幌への返却回送として仕立てられた。網走を出たのが22時20分過ぎ。札幌に着いたのは明朝と聞いた。かつての夜行オホーツク10号とほぼ同じダイヤだと思いつつ、そのテールランプが見えなくなるまで見つめ続けた。

さよなら、北の183

2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 SIGMA Art 24-105mm F4 DG OS HSM
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 SIGMA Art 24-105mm F4 DG OS HSM
2023.03.17 網走駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

これが本当の最終列車。オホーツク3号のヘッドライトが見えたのは23時過ぎ。大雪3号の時より人は増えたがそれでも穏やかな最終日となった。思い思いの位置でカメラを構えられるのはきっと網走駅ならでは。200人超が集まったと聞く札幌駅では撮れまい。一時代を築いた車両が定期運用の襷を外すその瞬間をカメラに収める。趣味として、記録としての写真撮影にはこの上ない題材だと思う。

老兵のロスタイム

2023.03.18 相内駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.18 相内駅
Nikon D750 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
2023.03.18 中越信号場
Nikon D750 AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED(×1.5)

網走の民宿で一泊し、翌日はオホーツク3号の返却回送を追いかけることにした。もちろん狙いはキハ283系との離合。去りゆく者と駆け抜ける者のすれ違いには、勝手にドラマが付いてくるものである。
オホーツク1号との離合は予想通り相内駅。踏切はなかなか撮りにくいので、ホームから少しトリッキーな構図で抑える。そのまま追走し、大雪1号との離合を中越信号場で待ち構える。ここも非常に撮りにくいが望遠をかましてなんとか撮影。置き換えを一枚絵で撮ることができた。

この一枚を以て、私にとっての「石北特急」は幕を閉じた。足掛け7年の撮影行もこれで終わり。ありがとうキハ183系。そしてさよなら、北の183。