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2018.01.14〜15 厳冬・石北本線①

人の欲望に際限はないもので、あれだけ渇望したスラントノーズの写真も、秋に撮ったと思えば、今度は冬の姿を見たいと思ってしまうものだ。宗谷ラッセルを追いかけながらも、どこか石北にスラントが入ることを期待していた。
そして奇跡は2度起きた。13日のオホーツク3号、札幌・網走方にスラントは充当されたのだ。急遽宗谷線を切り上げ、石北に進路を取ったのは言うまでもない。

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2018.01.14 上越(信)〜奥白滝(信) (1枚目)
2018.01.14 白滝〜下白滝(信) (2枚目)
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

道の駅しらたきで朝を迎えた。この日も天気はバリ晴れ。果敢に高速俯瞰へのアタックをするが、途中で「間に合うのは無理」と判断して下山。急遽奥白滝信号場が見える踏切脇で、凍てつく木を絡めてオホーツク2号を迎えた。本命のスラントノーズは大雪2号からの充当。オホーツク1号とは丸瀬布駅で離合するため、大雪の撮影地から近く、かつ青空と順光で撮れる場所として、下白滝の畑作地帯をチョイス。こちらも手堅くシャッターを切った。

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2018.01.14 白滝〜下白滝(信)
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

迎えた本命、大雪2号。天気はバリ晴れと上々。この上ないチャンスである。今回は車両が主役で幕も必須となれば、俯瞰に逃げずに地べたを這って正面勝負を挑んでナンボ。先程の場所からほど近い踏切脇に三脚を据える。少し望遠が足りないが、キツキツすぎても美しくない。直後、踏切が鳴る。唸るようなエンジン音とともに、雪煙を巻き上げ走る古老の姿。幕は大雪。ピントはバッチリ。この勝負もらった!シャッターを切り、巻き上げた雪を全身で被ると同時、勝利の雄叫びが雪原にこだました。正直、死んでもいいとさえ思った。


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2018.01.14 丸瀬布駅(1枚目)
2018.01.14 生野〜生田原(2枚目)
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

勝利の味を噛み締めながら、丸瀬布駅へ。駅近くの踏切からは、まるで北欧のような景色を切り取ることができる。北見峠へ挑む特快きたみに乗り込む客の姿を記録した。午後になると、メインディッシュは先程のスラントノーズの折返し、大雪3号になる。西日を浴びて撮れるところは意外と少なく、悩んだ末に生野駅近くのストレートに三脚を据えた。あまりストレートの編成写真は得意ではないが、不安は的中。カツカツの1枚となってしまった。悔いても悔いきれないが仕方ない。


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2018.01.14 生田原駅
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

昼間の晴天の反動として、夜は本当に冷える。遠軽町生田原は道内でも特に冷え込みが強まりやすく、陸別町や枝幸町歌登とともに、最低気温ランキングの常連であるだけに、シャレにならないほど寒い。寒さに震えるのは人間だけではないようで、札幌に戻るオホーツク4号と、網走に向かう大雪1号からは、ぶっ壊れてるんじゃないかというほどの煙が出ていた。凍てつく大地を駆け抜ける特急の強さを肌で感じながら、震える手でその勇姿を見送った。

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2018.01.14 遠軽駅
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

最終のオホーツク3号は、かつての要衝遠軽駅で迎えることにした。青白い雪あかりに照らされる赤いライト。その車体はすでに凍てつき、どこからともなく煙が出ていた。まるで昭和の夜汽車を思わせるロケーション。たった4分の折返し時間、また旅路は続いていく。