2021.11.26〜27 熊本市電③
時刻はまもなく午前11時。早起きの甲斐あってもう夕方くらいのモチベーションながら、撮れ高はまだまだ半分。天気は相変わらず雲ひとつない青空なおかげで休む暇なんてない。タイムリミットまで駆け抜けるのみだ。
河原町から歩いて、辛島町付近のクランク線路エリアへ。狙いは紅葉だったが、思いの外画角と車両が一致しない。悩みながら歩いていると旧車原色の1096が来てしまった。撮り逃すのはちょっと惜しい。とりあえず撮るだけ撮ってみた。街中を走っている感じは案外出たような気がするが、後ろの朝日新聞と第一生命が熊本っぽい会社だったらもっと良かったかな。
満を持して健軍町方面に行ってみることに。九品寺交差点から先は大通りの真ん中をひたすら走る区間なだけに、どこでも撮れるがどう撮るか悩んでしまう。ええいと思って降りた市立体育館前の電停。3車線もあると電停の安全地帯から撮ることで車のリスクを減らしておきたい。背景の山もヌケが良くていい感じ。わりとすれ違いもある場所だったようで、2両同時に写せたのも良かった。
1駅分市電に揺られて商業高校前の歩道橋に登った。街路樹のイチョウが黄色く輝いている。架線の処理だけなんとかすれば実にいい具合に街並みが写せる。中心部から少し離れた郊外っぽい雰囲気に市電が重なれば、街の平面的な広がりも感じさせるのではないだろうか。
少しくらい上熊本側のB系統にも足をのばそうと思い来たものの、日中は15分ヘッドダイヤと効率が悪いことに気がついた。さらには上熊本に車庫があるのが理由だろうか、運用もどうも読みきれない。とりあえず洗馬橋の専用軌道区間をロケ地に選び、背景の趣のある建物を強調させて構図を作り、ちょうど来たラッピングながら旧車に照準を合わせた。
午後3時05分の特急あそで西へと向かう算段で1日動いてきたが、午後1時すぎにはこの最終撮影地にたどり着いた。我ながら計画性があると錯覚したが、よく考えりゃそもそもが無計画な旅行である。この場所は花畑町のテラス。東京ソラマチの入り口のような作りで、3階部分あたりから中心部を見下ろせるのだ。抜けるような青空。ここが火の国熊本の中心地である。
同じ場所から少し左を見ると、少しごちゃごちゃしつつも紅葉がいい具合の一角を見つけた。縦構図だと、街の中心部らしい証券会社のビル群をバックに。さらに寄って横構図にすると、イチョウの木が強調される。車両の構図が驚くほど一緒になってしまったが、満足した。憂うことなく熊本駅に向かい、街を後にした。