2023年大相撲初場所 6日目 観戦日記

はじめに

この記事は、私がどっぷりハマってしまった相撲沼に読者の皆さんを呼び込むために、ぜひ伝えたい取組を紹介していきたいと思います。
自分が相撲の面白いと感じたポイント、土俵際・技の面白い取組と、個人的な注目をしている取組、そして私の押し力士高安の「今日の高安」を書いていきたいと思います。

土俵際

相撲を見ていると、土俵際が面白い!と認識する瞬間が何回もあります。土俵際というのは、「この線を超えると負けですよ」というラインぎりぎりの部分。土俵は俵で円状に作られているため、少し盛り上がっているのです。
だからこそ足をかけて踏ん張ることができる。そして、攻めている側は「あと一押し」守る側は「何とか持ちこたえて、反撃する」という勝負のせめぎあいともなるので、必死さがビンビン伝わってきます。
そこで、6日目「うおー、これは面白い!」と感じた取組をご紹介したいと思います。

1.〇東白龍(5勝1敗)※緑色-●武将山(3勝3敗)※銀色

押し相撲を自分のスタイルとしている両者の対戦。どちらも今場所の成績次第では、十両から幕内に昇進することができる位置にいます。
始まるとともに、押し相撲を展開していきます。しかし、体重が40キロほど重たい武将山が、その体型の利を活かして、攻め込みます。
苦しい東白龍。ここで、驚異の運動神経を見せます。綱渡りのように、土俵の上を右に回り込みながら何とか残し、はたき込みます。この動きに武将山は最後までは付いていくことができず土俵に着いてしまいました。土俵が丸いことを利用した逆転劇。こういった粘りを見るのも面白いです。

2. 〇翠富士(4勝2敗)※緑色-●豊昇龍(4勝2敗)※オレンジ色

昨日の妙義龍戦に続き今日も、技巧派同士の対決となります。お互い、基本の技も持ちつつどんな技を繰り出してくるか分からない面白さがあります。
前半はお互いの廻しの取り合いとなります。そして、翠富士にとっては昨日の妙義龍戦同様、豊昇龍に右手を抱え込まれる形になってしまいます。そして、そこから豊昇龍に攻め込まれ、土俵際まで行きますが、翠富士が何とかこらえ、土俵の真ん中まで戻します。そしてここから翠富士の左手と豊昇龍の右手でお互いの自らの有利な体勢に持ち込もうとします。
そして、豊昇龍の右手が翠富士の左脇にくっつき、押しながらまたも土俵際まで運びます。ここで翠富士は捨て身の攻撃。右を引きながら、左手で豊昇龍を突き落とそうとします。
2人ともほぼ同時に土俵から出ることに。しかし、豊昇龍が一瞬早く土俵に着いてしまいました。これにより翠富士の勝利。
翠富士の粘り腰が呼んだ逆転劇でした。

相撲を見ていると、必ず決まり手というのが存在します。勝負を決めた技の事ですが、それ以外にも技が必要となるポイントがたくさんあります。どうやって相手を倒すか。お互いの攻防を見守り、エキサイトする技の世界に触れてみませんか?
そこで、6日目「うおー、これは凄い!」と感じた取組をご紹介したいと思います。

1. 〇宇良(3勝3敗)※ピンク色-●佐田の海(2勝4敗)※緑色

どちらも最高位が前頭筆頭で、今年こそは三役を狙う力士同士の対戦です。佐田の海は、なんとか宇良を捕まえて、自分のペースに持ち込みたいところ。
しかし、取組は宇良の一方的なものとなります。宇良が押し相撲で佐田の海の上体を起こしていきます。特にポイントなのが宇良の右手。右で佐田の海の左脇を押していきます。この技が非常に有効です。これにより佐田の海は体を完全に起こされてしまい、宇良の圧力を完全に食らってしまいます。そして、業師宇良はもう一つの技を出してきます。左足に注目してください。宇良は左足を佐田の海の右足に掛けて、体勢を崩そうとします。これが有効打となり、そのまま押し出しています。
上から下まで技のオンパレードとなった宇良。技を単体でなく、コンボで出していくことが今回の勝ちにつながったのではないでしょうか。

注目

力士は皆、一つ上の地位を目指しながら、相撲を取っています。逆に落ちてしまうと全く別の世界に暮らすことも。(汚い話ですがお給料も変わってきます)そんな昇進・降格がかかる取組や、同学年・ライバル関係といった取組を紹介したいと思います。

1.〇玉正鳳(3勝1敗)※黒色-●白鷹山(3勝3敗)※紺色

十両の取組です。玉正鳳は幕下。幕下とは十両の一歩手前の地位。動画を見ても分かる通り、頭は大銀杏ではなく、いわゆる普通のちょんまげ。(今回は十両での取組なので大銀杏になっています)そして、幕下と十両では毎月の給料が貰えるかどうかも違います。待遇にかなりの差があるのです。
その幕下にいる玉正鳳は、前回の場所で幕下優勝を果たしています。そして、今場所から十両に復帰した、元大関の朝乃山に勝利をしています。実力は十分。一方白鷹山は、今場所から十両に復帰。しかし、位置的には幕下と隣り合わせのところにいるため、確実に勝ち、十両の地位を確固たるものにしたいところ。
前半は白鷹山得意の押し相撲。しかし、玉正鳳もそれに負けず押し返します。そして、廻しをつかみ、左手を起点に投げを打ち、相手を泳がせます。そして、そのまま押し出し。
幕下までは1場所7回しか取り組みがないため、玉正鳳はあと1勝で勝ち越し。十両昇進を大きく引き寄せることができます。

2. ●琴勝峰(5勝1敗)※青色-〇宝富士(5勝Ⅰ敗)※紺色

5連勝の琴勝峰と、1敗の宝富士。どちらも今場所好調の力士です。宝富士は昨日の若元春同様、自らの絶対的な形を持っています。それは左手。左を相手の右脇に差すことができれば、力を発揮することができます。
始まるとともに、琴勝峰は宝富士の左を警戒しながら、押し相撲を展開していきます。もちろん琴勝峰も宝富士の左は相当意識しているはずです。だからこその展開かもしれません。しかし、宝富士の左を意識しながら取っているため、宝富士の違った技に対応することが難しくなります。この取組も宝富士が右に動きながら、叩いたところ、琴勝峰は土俵に手を付いてしまいました。
やはり絶対的な形を持っていると、他の技も有効になってくるなと感じた一番でした。

番外編

〇竜電(4勝2敗)※黒色-●錦木(4勝2敗)※緑色

この取組は珍しいことが起きたため、紹介させていただきます。
取組は、お互い廻しの取り合いとなり、組んだまま展開することになります。しかし、竜電は錦木の廻しを全て掴んでいるわけでは無く、何枚かしか取れていません。そのため、廻しが伸びる状態となって、力が相手に伝わりづらい状態になっています。と、同時に、廻しが伸びた状態がしばらく続くと、廻しがほどけかねません。つまり男の一番大事なところがモロ見えになってしまうのです。ちなみに、万が一見えてしまうと「不浄負け」となり、そのまま“出してしまった”力士は負けてしまいます。(ちなみに歴代で2回あります。直近だと2000年にありました。※Wikipedia参照
これを防ぐために、廻しがほどけそうになると、行事(軍配を持ち、着物を着ている人)の裁定で「廻し待った」が掛かります。ここから行事が廻しを結び直し、ほどけないようにきつく締めます。その間力士は動けません。そして、結び終わると行事が両力士にポンッと背中を叩き、取組が再開されます。
竜電はその後も攻め手を緩めず、竜電の有利な体勢に持ち込み、土俵の外に出しました。
珍しい一番だったので、ご紹介させていただきました。

今日の高安

高安晃。32歳。最高位は上から2番目の地位の大関。中学卒業後相撲の世界に入り、17年もお相撲さんとして活躍する実力者です。
なぜ好きなのか。優勝しそうでなかなか優勝しないもどかしさが応援したくなってしまうのです。話は尽きないのでここらへんで。
とにかく高安の取組を見守りたい一心でこのコーナーを行います。

●高安(1勝5敗)※えんじ色-〇若元春(3勝3敗)※黒色

今日の相手は、若元春。しかし、高安が土俵にいません!なんと高安は、右ひざのけがにより休場。不戦敗となりました。(※日刊スポーツ参照
無理をせずゆっくり直してほしいです。そしてまた、元気な姿で大暴れする高安に期待です。ということで、明日からは高安の魅力や印象的な取組を紹介する、「高安って凄いんだぞ!」を開始します。
けがに負けず、頑張れ高安!

そして、6日目が終わった後、悲しいニュースが流れました。幕内隠岐の海が6日目から休場していたのですが、引退の意向を示したようです。
(※山陰中央新報 ONLINE NEWS参照
島根県出身、しかも隠岐島出身という、今まででは珍しい経歴の力士。平成22年3月場所新入幕(幕内に上がること)で、幕内在位75場所と、12年以上幕内にいた大力士です。
寂しいですが、お疲れ様でした。ありがとう隠岐の海!

今回紹介した取組はそれぞれの取組を押すことで見ることができます。
今後、相撲をライブで見たい方はABEMAとNHKで見ることができます!

お読みいただきありがとうございました。皆さんの注目&面白かった取組をコメント等でいただけると嬉しいです!
では7日目で会いましょう。

参考文献
ベースボールマガジン社「相撲」1月号
2023年1月14日閲覧
Wikipedia「不浄負け」
2023年1月14日閲覧
日刊スポーツ「関脇高安と隠岐の海が休場 隠岐の海は再出場なければ13年ぶりの十両陥落へ」
2023年1月14日閲覧
山陰中央新報 ONLINE NEWS「【速報】元関脇の隠岐の海が現役引退へ 三賞5回、島根出身力士で121年ぶりに関脇昇進


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