2023年大相撲初場所 初日 観戦日記

はじめに

この記事は、私がどっぷりハマってしまった相撲沼に読者の皆さんを呼び込むために、ぜひ伝えたい取組を紹介していきたいと思います。
自分が相撲の面白いと感じたポイント、力・土俵際の面白い取組と、個人的な注目をしている取組、そして私の押し力士高安の「今日の高安」を書いていきたいと思います。

おすもうさんは力持ち。昔からそんなイメージがあるが、いざ本番でその力が思いっきり見ることがないという人は多いのではないでしょうか。

そこで、1日目「うおー、すごいパワーだ」と感じた取組をご紹介したいと思います。
※力士は画面通りの表示で書いています。

1.     〇碧山(1勝)※緑色-●平戸海(1敗)※青紫色

ブルガリア出身、36歳のベテラン碧山と、長崎県出身22歳の若手平戸海(ちなみに卒業した中学校は平戸市)の対戦。
迫力満点の押しに加え、廻しを取って相撲をすることができる碧山に対して、同じく押しも廻しを取って相撲することもできる平戸海という似たタイプの両者。
お互いまずは押し相撲の展開。碧山は回り込みながら、平戸海の勢いを食い止めます。そして、碧山が間髪入れずに左手1本で相手を投げます。これが決まり、小手投げで碧山の勝ち。平戸海は力士の中では軽いものの体重は135kg。これを左手1本で投げてしまうのだから、やはり力が凄い!ということで、この取り組みを上げさせていただきます。

2.     〇阿武咲(1勝)※赤色-●王鵬(1敗)※黄土色

青森県出身、26歳と働き盛りの実力者、阿武咲と東京都出身、父も祖父も幕内で大活躍したサラブレッド、22歳の期待のホープ王鵬の対戦。
お互い押し相撲を得意としており、この取組も激しい押し合いになりました。中盤までは土俵の真ん中で押し合う展開も、王鵬が叩いてしまい(手を土俵に付けさせること)、これが相手を呼び込む(叩いた側は力が入らない態勢、逆に残した叩かれた側は、力を相手に伝えやすくなる)結果となり、そのまま阿武咲が土俵下まで王鵬を吹っ飛ばす相撲となりました。
ちなみに王鵬は176kg。土俵下まで落ちるとなると、周りの観客は迫力に圧されたことは想像に難くないですね。勝負を分けたのはわずか1秒の出来事。あまりにも短いですが、これでも勝負が決まるのが相撲の面白いところだと私は思います。

3.     〇北勝富士(1勝)※青色-●錦木(1敗)※緑色

埼玉県出身、30歳の北勝富士と、岩手県出身、32歳の錦木の対戦。北勝富士は押し、錦木は廻しを取る相撲が得意ということもあり、どれだけ錦木が北勝富士の圧力を食い止められるかが勝負を分けそうです。
皆さんに注目して欲しいのは取組中盤、北勝富士の左手です。錦木の右脇を下から上へと押すような攻撃をしています。これにより錦木は体を起こされる形となり、力が相手に伝わりづらい態勢になってしまいます。なんとか振りほどこうとしていますが、北勝富士は粘り、またも左手で右脇を押しています。その圧力がかかりきったところを、タイミングよく力を抜いて叩き、錦木は手をつきました。
地味に映るかもしれませんが、この圧力は、破壊力抜群。170㎏と重たい錦木を浮かせているこの左からの攻撃は力がなせる技だと思います。

土俵際

相撲を見ていると、土俵際が面白い!と認識する瞬間が何回もあります。土俵際というのは、「この線を超えると負けですよ」というラインぎりぎりの部分。土俵は俵で円状に作られているため、少し盛り上がっているのです。だからこそ足をかけて踏ん張ることができる。そして、攻めている側は「あと一押し」守る側は「何とか持ちこたえて、反撃する」という勝負のせめぎあいともなるので、必死さがビンビン伝わってきます。

そこで、1日目「うおー、これは面白い!」と感じた取組をご紹介したいと思います。

1.     ●錦富士(1敗)※青色-〇竜電(1勝)※黒色

青森県出身、26歳の錦富士と山梨県出身、32歳の竜電の取組。
皆さんに注目して欲しいのは、取組の最後の最後。錦富士が土俵際まで終始優勢のまま、竜電を土俵下まで落とします。しかし、よく見てみてください。錦富士の左足が先に土俵を出ているように見えませんか?一方、竜電は両足共に土俵に足を掛けているものの、ギリギリ残しています。行事の判定は、錦富士が有利と見て、錦富士勝利となりましたが、土俵下にいた審判から物言い(リクエストのようなもの)がかかり、協議することに。その結果、やはり竜電よりも早く、錦富士が足を土俵から出しており、錦富士の負けとなりました。
このような結果はよくあります。力士たちも必死で無我夢中で行っているため、誰も悪くありません。むしろ、ここまで緊迫した勝負を見せてくれていることに、拍手を送りたくなります。
必死に攻め立てた錦富士、何かあるかもしれないと思って我慢して我慢した竜電。お互いの奮闘が呼び起こした、土俵際のドラマでした。

2.     ●霧馬山(1敗)※黒色-〇玉鷲(1勝)※青色

モンゴル出身同士の戦い。約19年1度も休んだことがない(コロナ除く)鉄人玉鷲と、期待の若手霧馬山の対戦。
終始霧馬山が攻め立てて、玉鷲を土俵際まで追い込むものの、ギリギリのところで玉鷲が逆転で、霧馬山を土俵に着かせました。霧馬山も決して悪くありません。押しが得意な玉鷲の攻撃を受け止め、自分の得意な廻しを取る相撲に組み止め、そこから攻めていくという素晴らしい相撲。しかし、玉鷲もただただ下がるわけにはいきません。何とか勝つんだという思いを込めて、相手を叩くと、これが決まりました。
なかなか思い通りの相撲、100点の相撲を途中まで取れたとしても、必ず勝つわけでは無い。これが土俵際に隠された相撲の面白さだと私は思います。

ちなみに紹介したリンクは、2回目の対戦の映像しか流れていません。「え、どういうこと?」と思ったそこのアナタ。
この直前に、お互い土俵を出たのが同じくらいで、勝負が付けられないということで、もう1回(取り直し)となり、上記の取組に行きつくのです。

ちなみに、最初の取組も土俵際がキーポイントとなります。

ちなみに展開はほぼ先ほど説明した取組と同じ。土俵際まで霧馬山が攻め、玉鷲が体をひねって残しながら、相手を土俵に着かせようとしています。
つまり、霧馬山は2回も攻めながら勝利にたどり着かなかったのです。なんとも悔しい。書いていて、自分も悔しくなります。それだけいい攻めをした霧馬山、よく残した玉鷲。両者に拍手を送りたいです。

注目

力士は皆、一つ上の地位を目指しながら、相撲を取っています。逆に落ちてしまうと全く別の世界に暮らすことも。(汚い話ですがお給料も変わってきます)そんな昇進・降格がかかる取組や、同学年・ライバル関係といった取組を紹介したいと思います。

1.     〇阿炎(1勝)※黒色-●琴ノ若(1敗)※青色

前回優勝者の阿炎と、この場所で初めて三役(幕内の中でも上位の力士しか名乗ることができない地位)に昇進した、琴ノ若。
ディフェンディングチャンピオンに、新進気鋭の若手という好取組の名にふさわしい取組になりました。
阿炎の小気味いい押しに、一歩も引かない琴ノ若。しかし、阿炎は攻撃の手を緩めません。土俵を目一杯使って、琴ノ若を攻撃しています。そして縦横無尽に押された琴ノ若はたまらず土俵を割りました。阿炎の攻撃の良さが存分に出た一番。琴ノ若も良くしのぎました。素晴らしい一番でした。

2.     〇御嶽海(1勝)※赤紫色-●正代(1敗)※黒色

注目は正代。前回大関から降格となり、復帰を懸けるこの場所。最低でも10勝が必要となります。つまり15回中5回までしか負けることができないのです。
相手の御嶽海も元大関。ちなみに前回復帰チャレンジをしましたが10勝に届かず、無念の降格。しかし、実力者なのは間違いありません。
取組は一進一退の攻防となります。御嶽海が押せば、正代も土俵際で何とか踏みとどまり押し返します。しかし、正代が引いてしまい、御嶽海を呼び込んでしまいます。これにより御嶽海の圧力が正代に伝わりやすくなり、逆に正代は圧力をモロに食らう態勢となり勝負あり。正代は無念の黒星スタートとなりました。

3.●翔猿(1敗)※紫色-〇豊昇龍(1勝)※オレンジ色

注目は豊昇龍。おじさんは朝青龍ということで注目されていましたが、今場所はさらに大関という上から2番目の地位への挑戦がかかっています。そのためのノルマは最低2桁勝利。先ほどの正代同様、つまり15回中5回までしか負けることができないのです。
プレッシャーのかかる中、初日の相手は小兵翔猿。動きも素早く、最近は力も付けており実力は十分。
注目の一番はあっという間に勝負がつきます。目にも止まらぬ速さで張り手を豊昇龍が繰り出し、そのまま有利な体勢に持ち込み勝負あり。相手の良いところを出させずに、勝負を決めました。白星発進の豊昇龍。素晴らしい初日となりました。

今日の高安

高安晃。32歳。最高位は上から2番目の地位の大関。中学卒業後相撲の世界に入り、17年もお相撲さんとして活躍する実力者です。
なぜ好きなのか。優勝しそうでなかなか優勝しないもどかしさが応援したくなってしまうのです。話は尽きないのでここらへんで。

とにかく高安の取組を見守りたい一心でこのコーナーを行います。

●高安(1敗)※えんじ色-○大栄翔(1勝)※赤紫色

今日の相手は、埼玉県出身29歳の大栄翔。押し相撲を得意としており、優勝経験もある実力者です。
高安は自身の得意の流れカチ上げ(肘を顔面にいれて相手に圧力をかける技)からの相撲を狙いますが、大栄翔に上手く受け流されてしまいます。そのまま大栄翔の押し相撲のペースに巻き込まれ、押し出される結果に。一方的な展開となってしまい、高安は悔しい黒星。大栄翔が素晴らしかった。そんな1番でした。


今回紹介した取組はそれぞれの取組を押すことで見ることができます。
また、霧馬山-玉鷲の最初の取組はNHK+で見られます。
今後、相撲をライブで見たい方はABEMAとNHKで見ることができます!

お読みいただきありがとうございました。皆さんの注目&面白かった取組をコメント等でいただけると嬉しいです!

では2日目で会いましょう。

参考文献
ベースボールマガジン社「相撲」2023年1月号
2023年1月9日閲覧

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?