2023年大相撲初場所 2日目 観戦日記

はじめに

この記事は、私がどっぷりハマってしまった相撲沼に読者の皆さんを呼び込むために、ぜひ伝えたい取組を紹介していきたいと思います。
自分が相撲の面白いと感じたポイント、力・技の面白い取組と、個人的な注目をしている取組、そして私の押し力士高安の「今日の高安」を書いていきたいと思います。

おすもうさんは力持ち。昔からそんなイメージがあるが、いざ本番でその力が思いっきり見ることがないという人は多いのではないでしょうか。
そこで、2日目「うおー、すごいパワーだ」と感じた取組をご紹介したいと思います。
力士は画面通りの表示で書いています。

1.●千代栄(2敗)※紫色-〇朝乃山(2勝)※黒色
京都府出身、32歳の千代栄と、富山県出身、28歳の朝乃山の対戦。
ちなみにこの取組は十両の取組です。つまり3時台に行われている、幕内に上がるための取組で、昨日書いた力士たちに追いつけ追い越せという力士がしのぎを削っている階級です。
朝乃山はこの場所が始まる前からかなり注目されています。というのも、彼は優勝経験もあり(令和になって最初の優勝者)、上から2番目の大関にいた力士です。しかし、彼自身の行いにより謹慎処分。一時は下から3番目の三段目まで落ちました。しかし、そこから這い上がりこの場所で関取(十両・幕内のこと)に復帰したのです。そんな彼の2日目。初日を白星で迎えた後の2日目です。
この取組は一方的な展開となりました。朝乃山が、始まるとともに出足鋭く、相手に圧力をかけることに成功します。そしてわずか3秒足らずのうちに千代栄を押し出しました。完璧に自分のペースをつかみ、元大関の地力を見せた一番。今後十両優勝争いに絡むのは間違いなさそうです。

2.〇阿武咲(2勝)※赤色-●隆の勝(1勝1敗)※赤色
青森県出身、26歳の阿武咲と千葉県出身、28歳の隆の勝の取組。昨日も登場した阿武咲。この取組でも自慢の押しを炸裂させました。
始まるとともに、思いっきり隆の勝に対して圧力を掛けます。この圧力がかなり強かったのか、隆の勝たまらず後退し、あっという間に土俵の外へ。わずか2秒足らずで勝負がつきました。一瞬で終わってしまうため、ちょっと気を逸らしていると、見逃してしまうほどの速さ。この勝負の速さも相撲の魅力です。2日連続で力を感じた阿武咲は、もしかすると、今場所のダークホースになるかもしれない。そんな期待を抱かせる取組でした。

3.●明生(2敗)※紫色-〇玉鷲(2勝)※青色
鹿児島県出身、27歳の明生と、二日連続の登場鉄人玉鷲の対戦です。
明生は廻しを取り、組み止めながら攻め込むタイプ。押し相撲の玉鷲とは全く違うタイプです。そんな両者、今回の対戦は始まるとともに、玉鷲が頭からぶつかり、一気に圧力をかけていきます。そして手を相手から離すことなく、一気に攻め立て、土俵外へ押し出します。押し相撲の基本的な展開。お手本のような相撲でした。ちなみに、この相撲は2秒台前半。上の取組と合わせても、10秒以内で見ることができます。それだけに一瞬にかける力士たちの本気さを知ることができるのではないでしょうか。

相撲を見ていると、必ず決まり手というのが存在します。勝負を決めた技の事ですが、それ以外にも技が必要となるポイントがたくさんあります。どうやって相手を倒すか。お互いの攻防を見守り、エキサイトする技の世界に触れてみませんか?
そこで、2日目「うおー、これは凄い!」と感じた取組をご紹介したいと思います。

1.     〇美ノ海(1勝1敗)※青色-●荒篤山(2敗)※黄土色
沖縄出身、29歳の美ノ海と、神奈川県出身28歳の荒篤山の対戦。
ちなみにこの取組も十両の取組です。
廻しを取って、上手く相撲を取ることが得意な美ノ海に対して、押し・押し・押しの荒篤山。この取組は両者の得意な相撲スタイルが存分に出ています。
始まるとともに、荒篤山は得意の押しで相手に圧力をかけていきます。それに対して美ノ海は、仰け反りながらも後ろに下がらず、最終的には左廻し一本の投げを打ち、勝負あり。
では、この相撲はどこがポイントなのか。それは美ノ海の左手です。始まりとともに、左手で廻しをつかみ、荒篤山の押しをこらえているのです。つまり守るための左廻し。ここから、一旦はお互いの体が離れ、廻しを離してしまいます。しかし、その後もう一度左廻しをつかみ、相手より素早く動きながら、タイミングを見計らって左廻しを起点とした投げを打っています。つまり攻めるための左廻し。攻めにも守りにも左廻しが生命線となっているのです。攻守で使い方を変えているところを見るのも面白さだと思います!

2.●熱海富士(1勝1敗)※赤色-〇炎鵬(1勝1敗)※赤色
静岡県出身、20歳超若手の熱海富士と石川県出身、167cmと小兵ながら上手く相撲を取り、人気実力充分な28歳の炎鵬の対戦。
身長差は18cm、体重差は79kgと軽く一般人の体重分の差があり、他のスポーツ・競技ではなかなか見ることができない光景です。
この取組は、身長差がキーワードとなります。始まりから、炎鵬が熱海富士の懐に入って、熱海富士の圧力を出させないようにしています。そして、動きを止めることなく足を揺さぶったり、横に動いたりと、相手に考える時間を与えないまま土俵下まで投げました。身長が小さいことを利用し、ひたすら懐の中で勝負する。力も大きい的に向かって放出するイメージのまま相撲を取ることができる。一方で、大きい熱海富士は相手の体をどうにかして振りほどき、自分の間合いにしなければなりませんが、なかなか出来ずに苦労する。
体格が良い方が絶対的に勝つわけでは無い。小さくてもやり方を工夫すれば勝てる。炎鵬はまさに小よく大を制すの体現者かもしれませんね。

3.●北勝富士(1勝1敗)※青色-〇宇良(1勝1敗)※ピンク色
昨日、力部門で登場した北勝富士と、大阪府出身30歳の宇良の対戦。宇良は、学生相撲時代からさまざまな技を駆使して、勝負に勝ってきた実力者です。そして基本的には押しを得意としています。
今回はそんな宇良の始まってから数秒の出来事を解説していきたいと思います。立ち上がると同時に、少し潜るような素振りを見せます。これが重要なのです。なぜか。北勝富士も宇良も押し相撲を得意としています。つまりまともに押し合えば身長も、体重も約10ずつ高く、重い北勝富士の馬力が勝ってしまう可能性が高くなります。そこで、宇良は一度潜る素振りを見せ、北勝富士に的を絞らせません。そして、下から上へと押していくことで圧力を相手に伝え、最終的には北勝富士を押し出しました。
この瞬時に動くことができる器用さが宇良の強みであり、技だと私は考えます。

注目

力士は皆、一つ上の地位を目指しながら、相撲を取っています。逆に落ちてしまうと全く別の世界に暮らすことも。(汚い話ですがお給料も変わってきます)そんな昇進・降格がかかる取組や、同学年・ライバル関係といった取組を紹介したいと思います。

1.〇阿炎(2勝)※黒色-●若元春(2敗)※黒色
前回優勝者の阿炎と、この場所で初めて三役(幕内の中でも上位の力士しか名乗ることができない地位)に昇進した、若元春。
昨日と同様の背景を持つ取組となり、若元春は弟若隆景と同時三役(この兄弟同時三役はなんと31年ぶり)ということもあり、注目されています。
阿炎の小気味いい押しに、土俵際で何とか粘りながら、組み止めようとした若元春。左手で相手の勢いを押し返しながら、今度は若元春が土俵際まで戻します。そして、若元春が一気に勝負を決めようとしたところで、阿炎の逆転の突き落とし。これで若元春が先に土俵に着くのが、阿炎が土俵外に出るよりも若干早かったため、阿炎の勝利となりました。阿炎の押しと若元春が柔らかさ。そしてお互いの粘りが相まって、手に汗握る取組となりました。

2. ●若隆景(1勝1敗)※銀色-〇御嶽海(2勝)※赤紫色
福島県出身、28歳の若隆景は、この場所で大関挑戦権の二桁勝利が欲しいところ。そして、長野県出身、30歳の御嶽海は昨日正代に勝ち、白星スタートでこの取組に挑みました。
取組が始まるとともに、御嶽海の右手が若隆景の左脇に入り、御嶽海は力を出しやすい体制となります。そして勢いそのままに一気に寄り立て、一度は粘られますが、攻め手を止めることは無く、攻め切りました。まさに完勝。大関復帰に向けて静かに闘志を燃やしている御嶽海の貫録勝ちとなりました。

3.〇翔猿(1勝1敗)※紫色-●貴景勝(1勝1敗)※黒色
今場所、出場している力士の中では最上位に位置する、貴景勝。彼が優勝争いを引っ張っていく立場になっています。昨日もしっかりと勝ち、このまま連勝といきたいところ。翔猿も昨日は完敗だったため、早く新年初白星が欲しい。
そんな押し相撲を得意とする両力士の対戦は、押し合いになりました。貴景勝が攻め立てれば、翔猿は動きながら押し返し、終始止まることがない取組となりました。
しかし、翔猿の動きの速さについていけなかったのか、タイミングよく叩いた翔猿に対して貴景勝が土俵に這ってしまいました。
動きかった翔猿。圧力抜群の押しを見せた貴景勝。お互いの良さが出た結果、目の離せない取組となりました。

今日の高安

高安晃。32歳。最高位は上から2番目の地位の大関。中学卒業後相撲の世界に入り、17年もお相撲さんとして活躍する実力者です。
なぜ好きなのか。優勝しそうでなかなか優勝しないもどかしさが応援したくなってしまうのです。話は尽きないのでここらへんで。
とにかく高安の取組を見守りたい一心でこのコーナーを行います。

●高安(2敗)※えんじ色-○霧馬山(1勝1敗)※黒色
今日の相手は、昨日も登場したモンゴル出身霧馬山。廻しを取って相撲することも、押しもできる、期待の若手です。
今日も高安は自身の得意の流れカチ上げ(肘を顔面にいれて相手に圧力をかける技)からの相撲を狙いますが、霧馬山が読んでいたのか左に動き、圧力を受けないように相撲を取ります。そのまま霧馬山の押しに後退し、押し出される結果に。昨日同様、一方的な展開となってしまい、高安はかなり痛い連敗。霧馬山の読みが素晴らしかった。そんな1番でした。

今回紹介した取組はそれぞれの取組を押すことで見ることができます。
今後、相撲をライブで見たい方はABEMAとNHKで見ることができます!

お読みいただきありがとうございました。皆さんの注目&面白かった取組をコメント等でいただけると嬉しいです!
では3日目で会いましょう。

参考文献
ベースボールマガジン社「相撲」2023年1月号
2023年1月9日閲覧


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?