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ブレーメン

冬の終わりくらいから
ヨルシカの曲が好きで聴いている

左右盲
アルジャーノン
パレード
ヒッチコック
春泥棒
チノカテ

好きな曲の中にブレーメンというのがあって
このところお気に入り
自分が機嫌よくいられるための歌


わたしのモチーフの中に
同じなまえの作品があって
この間新しく繋がったギャラリーの方が
丁寧にリクエストくださった中にこの
「ブレーメン」がありました


何年か前に、遠くのお客さまから気にかけていただいて、ほんのお礼のつもりでこのモチーフを最初に刺してみたものを、ガラスのオーナメントに挟めて贈りました

するとその方が「ブレーメンの音楽隊のよう」
とすてきな名前をくれました

奏でる音はどんなだろう
ちいさな花を重ねるように灯して
聴こえてくるメロディーはどんなだろう

葉っぱが風を受けてカサカサかさと音をたてたり
雨粒が屋根に当たって強くなったり弱くなったり
朝陽の中で囀る鳥の声や
蕾がひらく瞬間のちいさく弾ける音
そして雪の降る、音のない音
もしかしたらそんな集まりかもしれない

うれしいこと
楽しいこと
悲しかったこと
辛かったこと
しあわせなこと
大切にしたいこと
がんばったこと
それでもうまくいかなかったこと

そんなことがみんな種となって
重なり合って灯るように花ひらく


きっと、華やかにやさしく見えるかもしれない人にも足元には影があって
みんなままならないことと折り合いをつけている

だからこそのわたしの中の願いなのかもしれない


春の展示でこのモチーフのちいさな手提げを選んでくれた方が、あとからこんな由来を伝えると
「前向きで明るいことばかりじゃないのを感じて選んだ気がする」とおっしゃっていて
言葉で言わなくても伝わっていたことに少し驚きました
会場を何度もぐるぐると歩いて作品をほんとうに丁寧に眺めて、心に決めたようにその鞄を手にわたしの方に真っ直ぐに歩いて来られました

これからの暮らしでこんなふうに使いたいと、とても希望に溢れたすてきな話を、後からのやり取りで伝えてくれました

わたしが思い描いてつくったモチーフに
すてきな名前をくれた人がいて
それを選んでくれた人がまた物語をくれました

作品が育っていくようで嬉しいこと

つくっているわたしが何を思っても
それを持っていたら何かスペシャルなことが起きるわけでもないし、誰かを本当に元気にしたり
守ってくれたりするわけではないけれど
使う人がスペシャルな気持ちを持ってくれたり
少し元気になったり、お守りのような気持ちになってくれたり
わたしの手を離れてから育つ、それぞれの物語

わたしの作品たちには花それぞれのモチーフの他に、ブーケやスワッグ、窓、散歩道、Garden
そしてブレーメンなどこんなふうに名前のある図案があって、できた時のエピソードや感じてくださる方の物語があって、自然にこんなふうに重なってきたことが嬉しいなぁと思います

いつかこんなことを本にまとめたりできたらいいなとやっぱり思っています


今日のおまけ

ヨルシカを聴きながらこのnoteを書いていたら
双子姉からLINEがきて
おすすめされた曲がこちら

https://youtu.be/q3Eaz2_D3e8

「ひとこと」
super beaverだって


姉にはヨルシカのヒッチコックを送っておきました
若い頃2人でライブに行ったり音楽を共有していたなぁって

このところ双子が息が合いすぎて家族を驚かせ大笑いしています

「他の誰でもない、自分を楽しむ」って
樹木希林さんが言ってた
そんなことでも、双子は楽しむべきわたしのひとつの一部だなぁ
何かを分け合えたり一緒に感じられる、きょうだいとは違う不思議
これもまた、今になって本当に理解しはじめた包みの中身かもしれません

暑い日々、みなさまどうぞ健やかに



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