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祈りは十字架に、歌声は君に。

[きっともう、僕は神様に見棄てられてしまったのだ。] 喉が引き攣る。 気道が狭くなって、声が掠れる。 思う通りに歌えない。こんなの。 こんなの。綺麗じゃない。 遠くでミサの始まりを告げる鐘の音が響く。 聖歌隊の白いケープを片手に、坂を上がる。 この先には、確か切り立った崖があったはずだ。 今は唯、1人になりたかった。 14歳になってから変声期が始まり、前のように心地好く歌うことが出来なくなった。 高音は出ないし、低音だってそんなに出ない。声自体も安定しないし、今ま

    祈りは十字架に、歌声は君に。