SNAPするべきかどうか、それが問題だ
先日MARVEL SNAPについて、既存のデジタルカードゲームの課題に対するアプローチという観点で紹介したところ、思った以上に多くの方に読んで頂いた。DCG界隈が思った以上に広いコミュニティな感じがして、とても嬉しい出来事でした。読んで頂いた方ありがとうございます!
さて、今回は完全にゲームやってる人向けで恐縮なのだが、MARVEL SNAPのウリの1つであるSNAPシステムについて書いてみたい。議論したいのはズバリ「SNAPするべきかどうか」。これは、はっきり言ってブラフも含めた読み合いで、正解のある議論ではない。ただ、自分がSNAPするべきかどうかや、相手のSNAPを受けて立つかどうかを考えるときに、どういうことを考えて判断するかを議論することは一定程度意味があると思う。そこで、具体的な状況もある程度想定しながら、状況別のSNAPするかどうかを考えてみたい。
ケース1
6ターン目、盤面大幅有利で、相手の動きを踏まえてもほぼ負けなそう
これは、一見すると自分がほぼ勝ちを手中に収めている試合なのでSNAPするべきと感じる。実際、自分も最初はSNAPしていた。ただ、今はSNAPしない方がいいと考えている。その理由は、勝ち星の期待値を考えると明確だ。この状況であれば、相手も「負けそうだな」と感じている。そこに追い打ちのようにSNAPすれば、相手はほぼ撤退してしまうので、得られる勝ち星は(相手がSNAPしていなければ)1だけだ。一方、こちらがSNAPしない場合、相手の思考を「負けそうだけど、相手がSNAPしないから6ターン目の動きが弱いのかな?最悪負けちゃうけど、勝ち星2つなら許容範囲だし、勝負だ」という方向に導ける可能性がある。もちろん、それでも撤退する人は多いが、勝ち星の期待値は明確にSNAPしない方が高くできると感じている。ということで、このケース1は「Not SNAPだ!」
ケース2
6ターン目、盤面やや有利、勝てるかどうか微妙だけど十分勝負できる。ここで相手が長考。
これはケース1よりも難しくて、判断が分かれるかもしれない。ただ、この場合の長考は、勝てなそうだから撤退判断を迷っているためである可能性が高い。ケース1のように、こちらも勝ちを確信しているならSNAPしない方が期待値が高い。ただケース2は、自分も相手がベストな動きをしてきたら負ける可能性があると考えている状況だ。そうであるならば、あえてSNAPすることで相手を撤退に追い込む方が、期待値が高くなる。よってケース2は「SNAPだ!」。ただし、注意点として6ターン目のプレイの選択肢が多い場合は、撤退を迷っているのではなく、プレイの選択肢を迷っている可能性が高い。その場合は、「選択肢が多い≒読み負ければ自分が負ける」であることが多いので、読みで相手の上を行く自身がなければSNAPしない方がいい。
さらに、ケース2の応用編として、現状の盤面の見た目は不利だけど、6ターン目の動きの切り札があって、ひっくり返して勝てる可能性が高い場合、あえて長考して見せることにより相手をケース2の思考に誘導し、相手のSNAPを引き出してから、こっちもSNAPを返して8点を貪欲に取りに行くというのは結構ありだと思う(性格悪いけど)。
ケース3
相手がゲーム開始直後にSNAP
これはランクが上がるとほとんど見なくなったけど、初手から自信満々でSNAPしてくる人がいる。この状況をどう考えるか。基本的にはシンプルで有利不利が明確になっていない段階で撤退の判断はないので、相手のSNAPは受ける。結果、何が起きるかというとゲームの勝ち星のベースラインが1から2になる。逆に言うとそれだけのことで、ギャンブラーで4点、8点を争う熱い勝負がしたいなら、カウンターでSNAPしてもいいが、有利不利の状況推移を見てからでも十分で、選択肢を残した方がいいだろう。ケース3は「Not SNAPだ!」
ケース4
次のターン(最終ターンではない)の動きで有利な状況を築ける可能性が高い
個人的に考えるSNAPの上手い使い方1。撤退がいつでもできる以上、SNAPは有利な状況が見えてからでは遅い。有利にする直前にSNAPするのがベストだ。具体的な例は結構難しいのだけど、例えば相手の盤面に対する強力なメタカードが手札にあり、相手が変なことをしてこなければロケーション1つの確保を確定的にできるような状況だ。ちょっと特殊な例だけど、3ターン目終了時にそのロケーションのカード全てを6マナでパワー12のハルクに変身させる強力なロケーション(オメガラボだったかな)がある。正直、このロケーションで相手より1体でも多くハルクに変身させられれば、勝ちはかなり近づく。3ターン目までに4体このロケーションを埋めるのは、開示ターンにもよるが結構難しい。自分の手札に1コストのカードが多いなど、3ターン目に相手より多くこのロケーションに並べられそうなら、3ターン目のプレイ直前にSNAPする。不審なSNAPだが、実際に不利な状況が出現する前の撤退は流石に判断が保守的すぎるので、これは通す相手が多い。もちろん、結果負けることはあるのだけど、期待値を高める意味で上手いSNAPだと思う。ケース4は「SNAPだ!」。ほとんどギャンブルに近くなってしまうけど、3コストで相手の手札のランダムなカードに変身するモーフというカードも、そこそこの確率で5コスト、6コストの相手の手札に変身してゲームを決めてくれるので、モーフのプレイ前にSNAPも面白い。でもやっぱりギャンブルだから、後SNAPで勝ち星1を確実に取った方がいいかな。
ケース5
盤面には見えてないけど、この後のターンの動きが手札確定しており、その動きで勝てる見込みが高い
個人的に上手いSNAPの使い方2。だいたい4ターン目くらいに4、5、6ターン目の動きがほぼ確定していることがある。もちろん、相手の妨害で目論見が崩れることもあるが、そこまで可能性は高くないので、確定している動きが強ければ、その段階でSNAPしてしまう。ケース4に似ているが、長期的な展望が良いから攻めるSNAPで、期待値をプラスにする動きだと思う。ケース5は当然「SNAPだ!」。
まとめと要望
ここまで、色々な状況でSNAPするべきかどうか論じてきた。やっぱりSNAPは駆け引きを熱くするいいシステムだ。個人的に一番好きなのは、6ターン目に配置済みのカードが大きく移動できるなど、選択肢がものすごく多い読み合い状況。4点、8点がかかることも多く、読み勝ったときはアドレナリンがドバドバだ。
ここに書いてもしょうがないかもしれないけど、開発に是非実装して欲しいのは、個人戦績をプロフィールで見られるようにして、そこにSNAP率とかSNAP時勝率とか平均SNAPターンとか、SNAP関係の詳細なデータを表示して欲しい。SNAPは個性や上手い下手がめっちゃ出ると思うので、上手い人のそういうデータを見てみたい!FPSのキルデスレシオみたいにSNSでさらせば盛り上がると思う。きっとそういう要望は、ベンに届いていると思うので将来の実装に期待しよう。
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