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やってもやってもへたなんですけど、捨てたり後戻りはもっとへたなんですよね。

どうして、上手にならないのかな。

19歳の時に作った、衝撃のワンピース。

あのトラウマが今もとれません。

着た瞬間、脱ぎたかった。

こんな姿、誰にも見られなくない。

あれから30年。


自分の縫い目は大丈夫なんだろうか。

ときどき気が緩むと戻ってくるわたしの作ったモノたち。


ごめんね。恥をかかせてごめん。

ご迷惑おかけして申し訳ない。


今までマスクは何百枚も作ったし、これからも作るだろうと思う。

洋服も、エプロンも、作るのだろうと思う。

作れば作るほど、トラウマは蓄積されるばかりだ。

他人の縫い目が輝かしく、神々しく、

今日も、わたしはミシンを踏む。


わたしはいつになったら、「これがわたしの縫い目です」と、

堂々と胸を張って言えるのだろう。


今日も、ミシンを踏む。手指を使う。

絶望しながら、とにかく自分を使う。

それしか、ないからさ。

棺桶に入る瞬間まで「うまくなりたい」と言っているのかもしれないけど。

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もり まさの /縫う人/おはなし届け屋さん/人形劇士
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