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愛知県の美術館に行った話〜絵画編〜

 こんにちは。昨日の雨のおかげで幾分過ごしやすい1日になるかと思いきや、日差しが強いようですね。それでも先日見た道路脇の温度計の「37度」まではいかないのではないでしょうか。
 今日も昨日に引き続きまして、先日見てきた展覧会のお話です。昨日の記事もぜひ併せてご覧ください。

瀬戸信用金庫所蔵北川民次コレクション

 やきもの編でもご紹介した瀬戸信用金庫アートギャラリーの企画展です。
 北川民次は戦争の疎開で瀬戸に居を移し、晩年この地で活動した西洋画家です。その経歴を見てみるとアメリカへ渡り、そのままキューバを経てメキシコに入国しています。アメリカからキューバって!と驚いてしまったのですが、戦前の出来事です。当時キューバはアメリカの保護下にあったのですね。
 メキシコでは当時の芸術家と交友を深めたようです。その中にはディエゴ・リベラやルフィーノ・タマヨもいたようで。北川民次のタッチや壁画に対する姿勢もそのとき養われたのかなと推測します。
 今回の展覧会では主にカレンダー画になったものが展示されていました。瀬戸信用金庫では毎年北川民次の絵画をポスターカレンダーにして配布しているようです。存命時は本人のコメントも載っていたようで、一部その時のコメントがキャプションにありました。一枚だけ配布したカレンダーが絵と一緒に展示してありましたが、ポスターサイズでめくる必要もないので、昔だったら電話室とか、今ならトイレなんかに飾ったらいいですよね。欲しくなってきちゃった。口座作ったらもらえるのかしら。

 北川民次の絵には「瀬戸の風景」「瀬戸の人々」「花」がたびたび登場しますが、忘れてはいけない要素は「バッタ」です。女性とバッタがまぐわっている絵は今回も展示されていましたが、やはり良いですね。
 なんで?バッタ?え、バッタ、でかない??なんでバッタとまぐわってるの。
 普通すぎる感想で頭が支配されます。そういう力強さが北川民次の絵にはあります。

 余談ではありますが、瀬戸市美術館の周りにはたくさんの加藤昭男彫刻がありました。加藤昭男の彫刻といえば、愛知県芸術文化センターの屋上庭園の作品が思い出されます。

 この作品「大地」にもバッタが登場しています。かねてから北川民次の描くバッタによく似ているので親交があったのかとぼんやり思っていたのですが、北川民次の娘の配偶者が加藤昭男だそうです。親交どころの騒ぎではありませんでした。

 7/23まで。無料。

PLAY BACK : 1983-2022 -コレクションで振り返る刈美の軌跡-

 刈谷市美術館が40周年を迎えました。おめでとうございます。
 こちらの美術館はちょっと変わった展覧会をたびたび行っています。コレクションも真摯なキュレーションの結果という感じで、今回のコレクション展は非常に満足度の高いものでした。

 まず、ご当地の生まれということで宇野亞喜良の作品がかなり大量にあります。とはいえ多くはポスターですので、肉筆は今回の展示でもごく僅かでした。ただやはり、壁一面に公開制作で作られた作品なんかをみるとかなりグッとくるものがあります。
 他にも公開で作られた作品がいくつも展示されていました。篠原有司男の掛け軸「一葉」なんかは力強くてそれだけですごい!のにコメントが「掛け軸だから一発」と書いてあって悩ませてくれました。掛け軸だから禅問答なのでしょうか。

 今回見た中で1番だったのは上原欣二「橙光」でした。画面の大半が灼熱の太陽を思わせる朱色。端に弱々しく立っている枯れかけのひまわり。残暑の不快感を思い出させます。命が消える最後の瞬間ですら容赦ない自然の過酷さと、その姿を冷静に見つめさせる作品でした。

 6/18まで。おそるるべきことに無料です。

 

 そうそう、サムネイルの画像は途中寄った刈谷ハイウエイオアシスのインフォメーションセンターの階段です。刈谷市美術館にはないのでご注意くださいませ。
 それではみなさま、良い週末をお過ごしください。


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