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ランナーが諦めなくていい世界を、本気でつくっている

2024年初頭から「Athty フォト」というクリエイター・エコノミー型サービスサービスをはじめます。写真に特化している点から「フォトグラファー・エコノミー」と銘打ちました。

今後、フォトグラファー・エコノミーを爆発的に成長させ、結果としてアマプロを問わず多くの才能溢れる写真家達に成功の機会を生み出してゆきたいと考えています。

また、2023年12月10日に開催される日本でも指折りの人気トレイルレース「IZU Trail Journey」では、コラボ企画「FINISHERS PORTRAITS」を通じて Athty フォトの機能を体験いただけます。出場、且つ完走したみなさん、フィニッシュ後はぜひ修禅寺総合会館内の特設スタジオにお越しください。

今日は Athty フォト、そして FINISHERS PORTRAITS が生まれた背景や出来事を伝えたくて、筆を取りました。

ここまでの道のり

2023年9月6日、ランニングの新しい探し方を提案するサービス「Athty」をβリリースしました。

公開時点の登録大会数は 67 大会。いま、103 大会まで増えています。管理している「登録したい大会リスト」をみると550ぐらいあるので、まだまだ先は長いです。

さて、βリリース時点の Athty 自体には事業性(=ビジネスとしての収益性)はまったくありません。無料でアカウント登録・利用できるサービスです。

Athty は大会探しサービスであると同時に、大会情報を HUB にさまざまな機能を繋げてゆくためのベースです。その上に繋げてゆく複数の事業構想があり、第一弾目が昨日プレスリリースで公表した「Athty フォト」です。

プレスリリースはこちら。

すべてのランナーに、写真を届けたい

比較的メジャーなランニング大会に参加すると、私たちランナーの写真を撮影してくれるフォトグラファーの方がコース中のさまざまな所で待ちかまえてくださっており、パシャリパシャリ。私たちランナーは疲労困ぱいでも、この日のかけがえのない一瞬を形に残したくて、精一杯のポーズを取ります。

その写真を私たちは後で購入することができるわけですが、私は一度も買ったことがありませんでした。昔は写真を楽しみに、毎度検索はしていたんですが、いまはもう検索することもやめてしまいました。

そういった感想をランナーの友人達と話していると、異口同音。誰もが不満を口にします。

ランナーに、大会を走る姿をおさめた写真を届けたい。シンプルなこの思いが、Athty フォトをサービスとして具現化したいモチベーションでした。

Athty のβローンチでようやっとひと区切りつけたので、落ち着いて事計構想と向き合えるようになりました。いくつかある事業構想を吟味してゆくと、こと写真事業については早期に実現できれば、このオンシーズンのうちに始めてゆけるかもしれない。2024年後半シーズンで、たくさんのランナーに写真を届けられる可能性があるかもしれない ──

Athty をローンチした9月は、登録大会を安定的に増やしてゆくために大会登録管理ツールを整備したり、登録ユーザーとのやりとり、ほぼ尽きてしまった事業資金の回復のための新規顧客開拓(私たちはまだ投資を受ける機会に恵まれておらず、ほぼフルタイムでそれぞれ別の仕事をしています)、投資家へのピッチ&ディスカッションなどがあったため、Athty フォトサービスを事業構想リストの一番目に据え、本格的に設計・デザイン・システム設計に着手したのは2023年10月初頭のことでした。

10月のはじめに三連休がありましたね。この三連休がターニングポイントになりました。サービスに必要なコアな機能群 ── 写真検索のための画像解析 AI、商品一覧・写真拡大表示 UI、カート、決済プラットフォームとの連携、写真を保管するマイアルバム ── を組み上げ、翌週にそのプロトタイプを共同創業者のタケさんと触り始めた時から「これはスピーディにサービスを実現できるかもしれない」という実感を得ることができ、車輪が廻り始めました。

常々思うのですが、ソフトウェアエンジニアリングは最高のスキルです!こんな風に、一人あるいは少人数で、社会を・世界を変える可能性があるプロダクトを生み出すことができるのですから。

クリエイター・エコノミー型のプラットフォームサービスとは

Athty フォトはクリエイター・エコノミー型のサービスです。つまり、写真の撮影者が売り手となり、ランナーがその買い手、Athty フォトはその仲介を行います。仲介のために売買の場を提供し、商品管理や決済といった機能を提供し、売買のためのルールを整備し、場を管理します。これがプラットフォーマーの役割です。売買金額から一定の販売手数料を頂きますが、Athty フォトでは大部分が写真家の手に渡るよう設計しました。

このような「ランナー向け写真売買プラットフォーム構想」は以前から頭の片隅にあったアイデアのひとつだったのですが、あまりにもいろいろな側面の難易度が高く、クリアな実現イメージを持てていなかったので、アイデアのひとつという位置づけにとどまっていました。

このため事業化当初はベーシックに『撮影者を採用募集・雇用し、撮影チームを編成し、大会主催者と交渉、撮影チームを派遣するスキーム』で事業を設計していました。

その事業の解像度を上げる目的で、メディアとして参加しながら視察した水戸黄門漫遊マラソン2023において、クリエイター・エコノミー型サービスにかじを切るきっかけとなる、ある出会いがありました。

このままでは、到底追いつけない

水戸黄門漫遊マラソンでは、これまでも何度も大会で見かけていた写真撮影・販売サービスの現場オペレーションを、メディア参加・取材の傍らで遠目から観察しました。

撮影オペレーションは、見事という他なかったです。こなれたロケハン、安定して写真を連続撮影できる機材等のセッティング、撮影チームのチームワーク、長時間におよぶ撮影に堪えうる下準備。場数を踏んだプロフェッショナルだからこそ実現できる、見事な仕事でした。

この日は私自身もプロ・カメラマンになったつもりで、数年ぶりに調達したデジタルカメラ SONY α IV を手に 3500枚ほどの写真を撮影したのですが、総合的な撮影ワークという点ではまるでアリと象です。同等クオリティの撮影スキームを完成させるのはかなりの難易度だ…ゴクリ。

そんな思いを抱きながら、水戸黄門漫遊マラソンのコース後半である千波湖周辺で撮影場所探しをしていた時に、一眼レフカメラを首から下げたかわいいおばあちゃんに声をかけられました。
(余談ですが私には、なぜか多種多様な人に声をかけられやすいという妙な特技があります。)

フォトグラファー・エコノミーにつながる、写真が好きなおばあちゃんとの出会い

「ここで皆さん、折り返しますかね?ちょうどデゴイチが映るここで、ランナーさんの写真を撮りたいなと思って」とおばあちゃんは親しみある笑顔で私に質問してきました。私は大会パンフをひっくり返して目を凝らし、地図上ではなんとも分かりづらいけど、以前出場した時は確かにここらで折り返したはずだし…おそらくここですよ、でも少し違っていても問題無く場所移動できますよ、と伝えました。

千波湖のデゴイチの横を駆け抜けるランナー。最高に映える、見事な構図です。興味深かったので私は「写真が、お好きなんですか?」と聞いてみました。おばあちゃんは少し気恥ずかしそうに「ええ、好きなんです。写真を撮るのが、趣味で。」と短くお答えになって、まだランナーさんが到着するまでは時間がありそうだから、その辺りを散歩してしてくるわと元気に歩いてゆきました。

私の母親よりも高齢に見えたおばあちゃん。実に快活で、活き活きとしていました。この日はおばあちゃんだけでなく、千波湖を見下ろす陸橋から広角レンズでランナーを撮影する方や、必死の形相で走っている友人ランナーを応援しながら撮っている方など、何人もの(おそらくアマチュアの)写真家の方達がいました。

私はというと、千波湖から離れ、爆音応援の梅香トンネルを通り、漫遊鬼坂に移動してからフィニッシュ会場まで、ランナーを応援・鼓舞しながら、大会を特徴づけるコース上のさまざまなスポットと写真の構図の面白みを噛みしめていました。デゴイチもいいけどここもいい。そんな場所がたくさんありました。

千波湖とランナー。35km付近のきつい場面

失うものなどなにもないスタートアップなのだから

水戸市からの帰りの特急電車に揺られ、先行事業者の撮影オペレーションへの圧倒、おばあちゃんをはじめとしたアマチュア写真家達、自身での撮影体験を振り返りながら、私のなかで重要な何かが繋がりました。

たくさんの写真愛好家の方達がいて、気迫に満ちたランナーをコース上のさまざまな場所で撮影しているけど、その写真がランナーに手に渡ることはほとんどない。

そういった写真のなかには、撮影されたランナーが見たら感激するような、最高の写真もきっとある。

撮影者には元気な高齢者の方もいて、販売ができれば生計の足しになったり、健康で快活な生き方の、ひとつの在り方を示せるかもしれない。

もしプラットフォーム型のサービスがうまく形になれば、ランナーに写真を届けられるだけでなく、写真愛好家/フォトグラファーにとっても嬉しく、社会的意義もあるサービスにできる。

翌日に共同創業者のタケさんにこのような出来事を興奮しながらもあますことなく伝えると、もともと困難さを伴う選択肢だとは思っていたけど、検討してみたい思いが高まりました。なんたって我々は失うものなど何もない、スタートアップなのだから。
大手の事業者が変化やリスクを嫌って選ばない道こそ、スタートアップは選べる。

こうして事業化への模索を始めましたが、サービス設計もシステム設計もその複雑さは一段階アップします。
何よりも、著作権、肖像権/プライバシーへの配慮は極めて重要で、設計に堅牢さと柔軟性を両立させる必要があります。
加えて保守的な主催者の場合に、クリエイター・エコノミーというまだまだ新しいスキームをどう理解してもらうかという課題もあります。

当社ロンランの顧問弁護士は、リスクテイクの見極めや判断においては日本トップレベルの巧みさだと思いますが、その彼でさえもやや、懸念事項や考えるべきことがいろいろと多く…といったような反応でした。

しかしそれらひとつひとつにしっかりとアイデアと解決策を打ちだすこと。それこそがロンランの本質的な強みです。解決困難に思える課題も、よくよく本質を見据え、議論を重ねると、解決のアイデアが生まれてきます。

こんな風にランナーに写真を届け、フォトグラファーに表現と販売の機会を提供する場を模索してきたのですが、走り始めてすぐに FINISHERS PORTRAITS チームと出会い、ITJ に向けての怒濤のミッションが動き出したことを「フォトグラファー・エコノミー」への方向づけを決定づけました。

長くなってきたので、続きは次回に。

Athty フォトグラファーの事前登録を開始しました。写真撮影が好きな方、アマチュアやプロを問わずどうぞご登録ください。事前登録特典も用意しています。

■Athty フォトグラファー 事前登録フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1NBXB8k8H-GfZhqpXXpTMEd52LbDzd8Kr3hbCT5Xrh70/edit

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