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『すずめの戸締まり』を観に行ってきました。

 お久しぶりです。奴衣くるみです。

 公開されて結構経っていましたが、『すずめの戸締まり』を家族で観に行ってきました。

 私は情報化社会の中でも情報を遮断してきてネタバレ等はめっちゃ気をつけてきました。



 しかしクローズアップ現代+(?)だったか忘れましたが、NHKの番組で『すずめの戸締まり』の特集が組まれてて、見てしまいました。どうも震災の話であると。

 というわけで震災の話をするので苦手な方は戻ってください……。


 私は現在21歳。東日本大震災のときは確か小学3年生でした。
 小学3年生の出来事で覚えている唯一の出来事と言っても過言ではないというくらいあの日はあまりに衝撃的でした。
 東京にいた私ですら鮮明に覚えているので、被災された方の苦痛が計り知れません。

 その日、私は学校からの帰り道でした。偶々その日は一斉下校の日で登校班で帰る日で、PTAか何かで私の母親も一斉下校に参加していたので幸運にも(?)母と一緒にいました。

 一斉下校がなんであったのかはわかりませんが、小さい私にとっては親と一緒だったことはとても心強かったことでしょう。

 地震が発生した時刻14時46分、私は通学の丁度真ん中くらいでした。
 駅前の商店街みたいなところで建物が多く立ち並ぶ通りでした。
 人生で一番大きい地震を受けてどうすればいいのかわからかったのですが、すぐに親が屈んでランドセルで頭を守るように言ってくれました。
 幸い落下物はなく、怪我もありませんでした。しかし目の前の建物が大きく揺れ、亀裂が入っているのが見えました。

 親が建物の多い通学路を通って帰るのは危険と判断して、大きな公園を通って帰りました。
 あのとき親が一緒にいなければ建物の多い危険な道を通って帰ってしまっていたでしょう。幸い通学路で落下事故はなかったようですが、万が一がなくて良かったと思っています。

 家に帰ると引き出しという引き出しが全部空いていました。私の家は低層階だったのであまり被害はありませんでしたが、高層階にすむ友人はいろんなものが散乱したり食器が割れたり大惨事だったそうです。
 引き出しを締めつつ、テレビで情報を確認しました。太平洋側沿岸一帯に津波警報ないし注意報が発令されていました。

 当時の私は「つなみ」というものを全く理解していませんでした。
 やがて押し寄せる津波、その津波の破壊力をみて愕然としました。
 ただ見ることしかできない。救えない、助けられない。
 幼いながらも厳しい現実を痛感しました。

 余談ですが、父親は地震の時、私と母が地震にあった通りの並びにあるすきやで遅めの昼食を食べていたそうです。
 金曜日でしたが偶然有給をとっていて父もすぐに安否確認ができました。


 『すずめ』の話に戻したいと思います。
 クローズアップ現代+の特集を家族で観た後、そんな作品だとは知らずに気軽に観に行こうとしていたねと反省をし、多少の覚悟を持って昨日見に行きました。

 まずは震災の話を抜きにしてストーリーや作画などの感想を書かせてください。以下ネタバレ多々。

 新海作品の中で一番ファンタジー要素が強いと感じれる作品ですが、私としては何故か一番しっくりくる設定でした。ある意味、災厄を扉に封じ込めるという単純な設定が私には分かりやすくて良かったのでしょう。
 
 ただキャラクターたちに共感はあまりできませんでした。まぁ一回しか見てないから捉えきれてないところが多くあるからですかね。また見返せば違うとも思いますが……。

 まず行く先々ですぐ人と仲良くなれるところ。単純に私がコミュ障だからでしょう。うん。
 次に一度要石になった草太を助けようと行動するところ。まぁこれも私が陰キャで卑屈だからでしょう。
 あと芹沢がよくわからん。結局めっちゃいいやつじゃん。妬ましい。

 ……あれ? 全部受け取り手の問題じゃん。

 まぁそんな冗談はさておいて。

 実際、私ならこうするっていうのがほとんど噛み合わなかった(全部自分のせい)ので感情移入はあまりできませんでした。

 ただラストの小さいすずめに言葉を投げかけ椅子を渡すシーンはぽろっと涙流れちゃいました。

 私にとって泣けるシーンのキーワードは「絶対叶うことのない」です。1番多いのは約束とかです。安っぽく言っちゃえば死亡フラグとかも当てはまります。
 『すずめ』にとっていえば、お母さんをいくら探しても見つかることはない、ということですね。
 「家がないからおかあさんがすずめがどこにいるかわからない」みたいなセリフがとても刺さりました。
 探しても探しても見つからない、その絶望が私を泣かせにきました。

 エンディングについては、バッドエンド好きな私にはあの最後は綺麗すぎると思いましたが、めっちゃ自然で万人受けするエンディングでした。


 作画は言わずもがなですね。屈指。

 新海作品はやはり光の描き方がめちゃくちゃ上手くて、今回も特に星空が格別に良かったです。あれだけを見にでももう一度映画館に行きたいレベル。とにかく綺麗。


 最後に、震災の話を込みに書いていきます。

 震災から5年くらい経った年のGWに東北に旅行に行きました。被災地を見て私は気持ち悪くなり車に引きこもったことを覚えています。

 クローズアップ現代+でも触れられていましたが、震災の描写がリアルで、この映画を見た実際に被災した人の中にはふざけんなと思った人もいるそうです。

 それでも震災を映画の中で描いた意味を深く考えないといけないと思いました。

 今までの私の人生のなかで親しい親戚、友人は未だ亡くなっていません。
 突然親戚が、友人が、親が亡くなる哀しみを私は知りませんし知りたくもありません。
 しかし震災に限らず、事故、事件、病気等でお別れも言えずに常世にいってしまう人は大勢います。
 いつその哀しみに向き合うことになるか分かりません。

 大事な人とかけがえのない時間を大切にすごしていくことの重大さを再認識させてくれました。

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