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 虎に翼 第4話


兄・直道(上川周作)と親友・花江(森田望智)の披露宴で酔った父に歌わされるトラコ(伊藤沙莉)。歌うは喜劇王「エノケン」こと榎本健一と歌手・二村定一のデュエットで当時大ヒットした『モンパパ』だ。

うちのパパとうちのママと喧嘩して
大きな声で怒鳴るは いつもママ
いやな声で謝るのは いつもパパ
うちのパパ 毎晩遅い
うちのママ ヒステリー
暴れて怒鳴るは いつもママ
はげ頭下げるは いつもパパ

宴は大盛り上がり、立ち上がる男性陣。ニコニコ笑顔だけど、席についたまま手拍子する女性陣。男の子たちは大人と一緒に立ち上がるけど、女の子が楽しくなって席を立とうとしても、はしたないわよと隣席の母親に制止される。

「というか、なんだ。したたかって。なんで女だけニコニコ、こんな周りの顔色うかがって生きなきゃいけないんだ?なんでこんなに面倒なんだ!?」「なんでなんだ?!」
そうだそうだ、尾野真千子と共に吠えたくなる。いいぞいいぞ、もっと言ったれオノマチ!拳を振り上げた後は、熱唱しながら怒りの涙を堪えるようなトラコの表情を見て代わりに泣いた。

脱線するが、「モン・パパ」で思い浮かんだのは、男性の政治家などが不祥事…例えば不倫スキャンダルや女性への差別的発言が問題となったとき「女房に叱られました」とコメントするやつだ。いかにも、主導権は女房に、女にあると言いたげで、ついでに、叱られちゃいましたテヘッ☆と軽い笑いを誘おうという姑息さまで見えるアレ。本当はないんだろ、女に主導権なんて。家庭でも社会でも。ひゃあ強い強い、まいったまいったというフリだけして女を宥めてるんだろ。

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したたかでなくとも、我慢せずとも、まっとうに生きていれば自分のほしいものが手に入る世のほうがいい。少なくとも、本人の努力ではどうにもならないこと…性別で諦めさせられるなんてことが起こらないほうがいい。

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思わぬところで登場した穂高先生(小林薫)による爆弾発言。いや、穂高先生もまさか、親に内緒で願書提出したと思っていないだろう。

画面に背中を向けているから映っていないのに、優三がそっちに目を向けた瞬間に、はるさん(石田ゆり子)がどんな顔をしているのかわかる。仲野太賀が、台詞は少ないのに表情だけでずっと笑わせてくるのだ。
この場面は仲野太賀だけではない、伊藤沙莉も上川周作も、石田ゆり子のほうを向いて皆すごい顔をしている。

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家に響く米を研ぐ音。おっかないのなんの……
はるさんは黙殺という手段に出た。それにも負けず、まず謝ってから自分の意志を話したトラコは偉い。そして、感覚的に「結婚は嫌」というのではなく、婚姻制度をきちんと調べ、学んだ上で拒否するのだ。

観ている側としてしんどいのは、はるさんがトラコを侮り、無理解ゆえに進学に反対しているのではないからだ。娘が優秀なことはわかっている。わかっていても、その道に進むことを応援できない。だって幸せを願っているから。そして、辛い悲しい思いをしてほしくないと思っているから。母親だもの。

ついにちゃんと向き合って話し合う母娘。明日はどうなる。

(つづく)




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