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虎に翼 第9話

DV夫に対する、妻の物品返還請求裁判について。
甘味処『竹もと』に集って、法科女子部の「扱いづらいグループ」みんなで考える。なんだかんだでペースに乗せられている、よね(土居志央梨)が微笑ましい。

令嬢・涼子(桜井ユキ)のお付女中、玉(羽瀬川なぎ)も一緒に甘味を味わう。彼女が入学式で椅子に座らず跪いていた姿、今回も令嬢のパラソルを持ち控えていた姿は、恐らく制作側は意識的に差し入れているのだろう。
映画『ガンジー』の一場面を思い出すのだ。ガンジーらが英国からのインド独立について話し合っている時、同じインド人の召使が部屋の片隅でティーセットの盆を捧げ持ち立っている。ガンジーがその盆をそっと取り、自分でお茶を淹れ始めたことを。

権利を求める人でも、すぐ目の前で他者の権利が蔑ろにされていることに気づかない場合がある……こうしたとは現代でもままあるし、自分自身振り返り、冷や汗をかいたりもする。

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「DVに対する賠償金として着物等物品を返してもらうのはどうか」というトラコの案に「証拠がない」というよね、読んで調べて討論、討論。

よねとトラコ(伊藤沙莉)距離が徐々に縮まっている。昨日の第8話で、トラコが穂高先生(小林薫)に意見を述べたとき、そして今回も『竹もと』で涼子とトラコが穂高先生の著書を暗記していたとき、よねは反応していたのだ。彼女は自他に厳しいが、努力を認める人と見える。

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法科女子部みなで考え尽くしても、結論は原告である妻側の敗訴……
しかし民事訴訟法第百八十五條の
「自由なる心證に依り事実上の主張を真実か否か判断する」。そこに賭ける。
裁判官(栗原英雄)の自由なる心證に希望を託すという流れに心震えた。

皆が躊躇したのは、脳裏に蘇った、過去の記憶のためだ。個人としての自分ではない、ただ「女である」という一点において、蔑まれ踏みつけにされてきた思い出。裁判所で、またそれを追体験させられるのではと……

しかし、皆立ち上がる。我ら法科女子部は歩みを止めない。流れるように裁判所の階段を進む彼女らの姿は、もうスンと諦めたりするものかという決意の奔流のように見えた。劇伴も素晴らしかった。

裁判官も迷っている。判決は明日。また甘いものを食べられないままの桂場(松山ケンイチ)と共に見届けよう。

(つづく)

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