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虎に翼 第18話

男子&女子学生のハイキング。
感心したのが、轟(戸塚純貴)だ。梅子さん(平岩紙)の三男・光三郎くん(石塚陸翔)と玉ちゃん(羽瀬川なぎ)の荷物を真っ先に持った。
「男の役目を果たすまで!」
自分が属する性の役割に固執しすぎだとは思うが、己の使命を全うすることをまず第一とする快男児であろう。
そして、彼は玉ちゃんを女中として低く見ていない。他の人よりも多く荷物を持つ女性だから手助けしたのだ。

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他の女性たちの前や、自分とふたりきりの時にはとても優しい花岡(岩田剛典)。しかし、男性同士のときには「女ってのは優しくするとつけあがるからな」と女性蔑視丸出しの発言をしていた彼を思い出すと、トラコ(伊藤沙莉)とともに「なんなんだ、このひとは……?」となる。

法科女子部の仲間たちへの賛辞はともかく、トラコへの好意的な視線に嘘はないように思えるけれど、どうなんだろうなあ。

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「ぼく、お母さんのおにぎりが一番すき」
光三郎くんの屈託ない笑顔と言葉に、梅子さんと共にじわっと泣きそうになる。いいハイキングになったな……と思えたのは、ここまで。

光三郎くんに母・梅子さんをお気楽なよいご身分と軽く貶め、父・大庭氏(飯田基祐)に妾がいると話す小橋(名村辰)と稲垣(松川尚瑠輝)。
そうね。昔は浮気は男の甲斐性という、開き直りみたいな言葉があったわね……。

彼らに「花岡も言ってやれ」と煽られて、ホモソーシャル的な言葉が次々と飛び出す花岡。ここで、ああそういえばと思い当たった。彼がそうしたことを言う、そんな態度を取るのは、他の男子学生の目がある時だ。
恋文を渡そうとした女性につれないそぶりを見せた時も、仲間たちが見ていた。大庭氏が梅子さんの容姿をジョークのネタにした時に笑わなかったことといい、彼の心の中はこちらの思っているよりも、かなり複雑なのではないか。

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ここで出てしまうトラコの暴力性。今までは優三さん(仲野太賀)の顔をひっかくなどコメディ仕立てではあったが、今回のは完全にアウトだった。花岡が崖から落ちたのは暴力が直接の原因ではないとはいえ、そうであってもおかしくない状況だった。
カッときても、相手が誰でも、暴力振るったら負けだよ。彼女のこの欠点については、そろそろ作品内で指摘が入るに違いない。だって法律家の話なのだから。

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病院の場面ではもう、梅子さん……梅子さんに泣く。
彼女が弁護士になろうとしているのは、夫と離婚するため。子ども達を守るため。かつて、よね(土居志央梨)が「法律はあんなやつらをぶん殴るための、たった一つの武器」と言った。梅子さんは、法律を盾と武器とし、子ども達を守り夫と戦おうとしている。
立派な戦う女、いい女である。

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共同親権導入を柱とした民法改正が国会で審議されている今、離婚した女性に親権が認められなかった時代の物語が放送される。これを撮影している時に、制作側は予想しただろうか。
「持ってる」ドラマは、思いがけず現実とリンクした何かが起こりがちだと思っている。虎に翼は時代に反映されるべき、何かを「持ってる」。

まだ水曜日だね。今週はこの話、どう転んでゆくのだろう。

(つづく)




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