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虎に翼 第12話

ナレーション担当・尾野真千子が『カーネーション』の小原糸子として画面内にいてほしい。そんな回であった。
新聞記者を舌打ちしながら睨みつける糸子、よね(土居志央梨)に暴力を振るった男子学生に「ゴラァ!!」とトラコ(伊藤沙莉)と共に怒声を上げる糸子。東京お茶の水に、岸和田の女傑が殴り込みだ。……と想像してしまうほどに、腹立たしい。いやしかし、他にも言及したい場面は多いのだ、ちょっと落ち着け自分。

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花江ちゃん(森田望智)がなぜ自分は女中同然だと卑屈になっているのか、掴めないはるさん(石田ゆり子)。しかし、視聴者からはよく見えている。花江ちゃんは自分好みの味付けを毎日否定され、家族皆が食事する時は給仕に回りずっと動いている。彼女だけ食事できていない。桜川家からの贈り物・シュークリームは食べられたのか、花江ちゃん。トラコは父や兄、弟と一緒に座って談笑し、シュークリームを食べているのに……毎日のことなので、トラコもこれに気づいていないのだ。
玉ちゃん(羽瀬川なぎ)といい花江ちゃんといい、透明化される女性たちとその尊厳について、同じ女性であっても無関心になりがちだと描き込むのが上手い。これ、花江ちゃんがむくれるタイプの女性でなければ、視聴者もすぐには気づかなかったのではないか。トラコが親友だから不満を漏らせる……ヒロインの親友が兄嫁になるというの、この仕掛けのためだったのか。

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カフェーで働くよね(土居志央梨)が客とトラブルを起こしかけたら、すぐにフォローに入る……そしておそらくこんなことはしょっちゅうだろうに彼女をクビにしない、フロアマネージャー(平山祐介)。
桜川男爵家の婿養子で、妻(筒井真理子)に逆らえないが、娘・涼子(桜井ユキ)の味方でありたい様子が見える父(中村育二)。
かねてよりトラコを応援している優三(仲野太賀)や穂高先生(小林薫)以外にも、様々な形・それぞれの距離感で女性たちと共にあろうとする男性はいる。

しかし、彼らの存在を帳消しにする勢いで法科女子部を嘲笑する、不良男子学生ら。まるで小学生のように幼稚である。明律大学にはこんなのしかおらんのか…と思いかけたが、これまで、廊下や図書室で女子学生をチラッと振り返ることはあっても笑いものにはしない男子学生が複数いたし、今回の法廷劇でも静かに観劇している子たちがいる。幼稚男子たちが嫌がらせしてくる分、トラコたちの視界に(つまり視聴者の視界に)入ってきてしまうのだ。あの様子では彼ら、学内でも優秀ではあるまい。劣等感を女子学生に吐き出して紛らわせているだけなのではないか、情けない。

それにしても腹立つなあ。前髪クルンの男子、更にきついパーマ当てて前髪チリチリにしてやろうか。

よねを突き飛ばし、言葉の暴力だけでなくついに身体的暴力まで振るった男子学生ら。さあ、明日はどうなる!

(つづく)




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