見出し画像

虎に翼 第11話

退学者続出、新入生激減の法科女子部。

一期生で3年生に進級したのは、久保田先輩(小林涼子)と中山先輩(安藤輪子)だけだった。凛々しい久保田に対して、講義中であろうが「うぇえええええ」と泣き出してしまう中山だが、彼女はまだ踏ん張って大学に残っているのだ。涙を流すからといって弱いとは限らない。いや、大学から去ってしまった女子学生も、弱いわけではないだろう。
女は嫁に行くのが幸せなのだ、学をつけたら、ましてや法律なんて学んだら結婚できなくなるという声が当たり前の時代に、周囲の反対を押し切って入学したであろう女性たちだ。弱いはずがない。あまりにも、はねつける壁が厚く高く、吹き飛ばす風が強いのだ。
自分達の学びにくわえ後輩の世話に、女子トイレ増設など環境整備・待遇改善の大学への要求に…壁を少しでも薄く低くしようとするトラコ(伊藤沙莉)たちを応援したい。

**************
そして、朝ドラはターゲット視聴層が女性であるのに、この場面は珍しいのでは……というか私が記憶している限り、初めてでは!?と身を乗り出したのが、ヒロインの月経が重い、という描写。
普段活き活きと飛び回り学業優秀なトラコでさえ、月経が始まったら大学を4日も休んでいる。月経特有の症状は人それぞれだが、頭は重く、腹痛腰痛は辛く、集中力は落ちる。起き上がれなくなる女性もいる。
これが毎月だ。
鎮痛剤も優れた生理用品もない時代にトイレの数が少ないというだけでも、女子学生たちを絶望させただろう。

女は自身の体でさえ、自分に味方してくれない。
トラコたちの時代から約100年経っているのだし、月経を完全にコントロールする手段に、誰もが簡単にアクセスできる世を望む。

**************
香淑さん(ハ・ヨンス)「トラちゃんの家は庶民の家じゃないでしょう?ほら、女中さんもいる」
梅子さん(平岩紙)「あら。女中さんのいる家は普通でしょう?」
このあたりが、第10回のラストのナレーション
「寅子は、まだわかっていませんでした。自分が如何に恵まれた場所で生まれ育ったのか」に繋がっていくのか。

そして、花江ちゃん(森田望智)の溜息と、トラコの溜息が重ねられたのは意図されたものだろうか。トラコとの気まずい会話をはるさん(石田ゆり子)に聞かれてしまった花江ちゃんだが、単なる嫁姑軋轢ストーリーにはならないであろう信頼が、3週目にして既にある。

(つづく)




この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

あなたのサポートは書くモチベーションになります。そのお気持ちが嬉しい。