金属工芸について①
『金属工芸』どっぷりの人にとっては常識だけど、知らない人は全く知らない、そんな金属工芸について、まとめていきます。
なお、私も全ての分野について網羅しているわけではありませんので、色々ふんわりとしか説明できなかったり、間違えている場合も有りますので、悪しからずご了承下さい。
さて…(*'ω'*)
金属の加工方法については、主に3つに分類されます。
すなわち…
・鋳金
・彫金
・鍛金(板金もここに入れときます)
の3種類です。
(他に刀を作る技術などもありますが、鍛治は詳しく無いので、他の方にお任せします)
まずは鋳金。
コレは、金属をドロドロに溶かして、型に入れて、冷やし固める技術となります。
製氷皿に水を入れて、冷凍庫に入れると、製氷皿の形と同じ氷の固まりがいくつもできます。
あれをイメージしてもらうのが、一番わかりやすいかと思います。
金属製の銅像とか、仏像が大体この技法で作られてますね。
次の2つ、彫金と鍛金。
こちらは、金属を溶かさずに、金属の板など、かたい状態の、金属の素材を加工していく技術です。
(正確に言うと、板にするのに一旦金属溶かしてる気がしますが、それは置いといて)
ここで彫金について、注釈を述べておきます。
現代において、単純に『彫金』と言ってしまうと、キャストという厳密には鋳金に含まれるものも入ってきてしまいます。
キャストとは、ざっくり言うと…
1.ワックスと言われる、蝋燭のようなものを削ったり逆に溶かしたワックスを盛ったり等して、元となるオス型を作る
2.その型からメス型(製氷皿の様なもの)を作る
3.型に溶かした金属を流し入れ、冷やし固める
と言う事をします。
ワックスから直接金属にする事もあり、そこではワックスが消失(ロスト)してしまうので、『ロストワックス』技法などとも呼ばれます。
本来は、彫金というと、その名の通り、金属をタガネと言われる道具で彫ったり、くぼめたり、糸鋸で切って透かしたりする技術なのですが…
宝飾の技術が海外から入ってきて、一般的には、キャストで作り出した金属をろう付けしたり、磨いたり、石枠を作って石留めしたりして、宝飾を作る事も『彫金』と呼ばれる様になりました。
前提として。
古来のタガネを使った、板金を直接加工する彫金とワックスを使った彫金を区別するため、私の書く記事では、前者を『伝統彫金』、キャスト技術を使った宝飾製作全般としての(一般的に言われる)彫金を『彫金』として記載していくものとします。
とりあえず、現代においては、『宝飾品を作る技術≒彫金』と言う括りでほぼ間違い無いと思います。
注釈を述べただけになってしまいましたが、ここではこれ以上深掘りせずに、詳しくは次回以降とし、次に鍛金について話します。
はい、最後鍛金。
地域に寄って、鎚起と言う言い方もします。
(何か他にも違う言い方があった気がしたけど忘れた。思い出したら書きます)
金槌と木槌、凹め台や当てがね(当て盤)を使って1枚の板を根気強く叩き、立体(主に鍋やコップ等)に加工していく技術です。
作りたい形や、途中経過によって様々な当てがねや金槌や木槌を使い分けます。
器物製作においては、一番シンプルかつ基本になる技法だと、思います。
鍛金では、いきなり深くしたりせず、浅いお皿から始めて、段々と深く加工していくため、作業工程や作りたい形に応じた様々な形の当てがねが必要になります。
また、今回の記事では触れませんが、ヘラ絞りといって、回転する軸に板を押し付け、ヘラと言われる道具で器物をつくる技法や、板金加工という、主に車や船舶などに使われる技法などとも、金属加工には存在します。
さて、今回の連載で取り上げる3つの技法は、
・鍛金で製作した器物に、伝統彫金技法で装飾を施す
・鋳金(ワックス技法)で作ったパーツを彫金や鍛金で作ったパーツや土台に付ける
・逆に鋳金で作った土台に、装飾を施す
など、それぞれの技法が、支え合いながら金属工芸品が作られてきた背景があるので、それぞれ知っておいて損は無いと思います。
本当にざっくりした説明ですが、今回はこのくらいにして、各技法については、次回以降深掘りしていきたいと思います…
(^-^)vではまた
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