進み行く選手のアイドル化と言う時代の流れ②

常識の違い~歪む距離感と承認欲求~

前回の投稿で、現在の学生長距離界が直面し始めている"選手のアイドル化"について、その根幹と問題点を私なりに解釈、分析し、その結果として

常識が異なる層の流入を引き金とした、選手をアスリートではなくアイドルとして見なすことによって生じるマイナス要素の発生。そして需要と供給の矛先の変化、この2点を大きな問題と定義しました。

今回の投稿では、"なぜこの2点が問題なのか""今後陸上ファンがどう進んでいけばより良くなるのか"について論じて行こうと思います。


選手をアイドルとして見ることによるマイナス要素

さて、皆様はファンサービスについてどう思うだろうか? それ自体は素晴らしい事だと思う。選手とファンの交流そのものを否定する理由などは何処にもない……ですが、それはあくまで選手の負担にならない範囲で、の話。ここにくどいほど明示している"常識の違い"があると考えます

厳しい言い方をしますが"選手にファンサービスをする義務等なく、言ってしまえばメリット等ほぼ無いに等しい"

この前提を理解せずに、前者の常識を持ち込んでしまっている人も少なくないと感じています(つい最近も某SNSの騒動やら、昔動画で拡散されたダウンが終わった瞬間に選手スペースに雪崩れ込んでいく人の波とか……)

アイドルはファンの人と触れ合うことも仕事の一つ。それにより、綺麗事無しで言えばお金を得る。ギブアンドテイクの形が成り立つ。

それに対して陸上選手はどうだ? 我々からギブ出来るものなどほぼ無い(唯一例外があるとすれば選手から信頼を得て写真を撮ると言うか提供するような関係性になってる人位かな…)ぶっちゃけ我々がいようがいまいが彼等の活動には何の支障も無いんですよね。

前者がアイドル的感性、後者がアスリート的感性

どちらもお互いからすれば当たり前で、逆を理解するのは難しい

これだから根が深い。よく考えて欲しい。アップ中に話しかけられる事は選手にとってどうだろうか?パシャパシャと写真を撮られるのは?ケアもそこそこに握手やら撮影を求められるのは?

アイドルなら貴重なオフショットとでも言って自慢できるのかもしれない、推しが反応してくれたと盛り上がれるのかもしれない。それを否定する気は毛頭ありません。でも、それは陸上選手には集中力を削ぐ邪魔でしかない。無理矢理アイドルに例えるなら、出番前の楽屋に乗り込んでいくようなもの。

でも、恐らく当人には悪気など全く無い。自覚もない。それは何故か?常識が違うから。それが当然のものと理解してるから。良いとか悪いとか言う問題ではない。アスリート的感性なら当たり前のように備わっている感覚が、アイドル的感性の常識には通用しない。その結果として陸上好きからすると有り得ない、目を覆うような行動が時として起こってしまう。それが根幹と考えます。

ファンサービスは当たり前でも何でもない。それが理解されないのなら。いずれ今の距離感での応援は制限されていくでしょう。


需要と供給の矛先の変化

これは私にも言える事ですが……

承認欲求、自己顕示欲と応援を履き違えずにバランスをとっていくのは本当に難しいと感じます。

この二つの要素は誰しもが、勿論私も含めて持っているもので、活動のモチベーションになっていることは間違いない。

けれど、その矛先が致命的におかしな方向に向かってしまう事も時としてある。

撮影した写真の無断転載でファン同士が揉めているのを見るのも珍しく無いですし(これに関しては撮影者の方がお気の毒としか言えないですが…)私も友人のランナーに"色々書いたり載せたりするのは別に良いけど、さも自分がこう考えていたみたいな代弁文章(ポエム?)を注釈もなく載せるのは本当に勘弁してほしいと愚痴られたことも実際あります"(それなので私が書くときにはあくまで私の意見、主観ですとどこかしらに注釈するようにしています)

何が言いたいかと言うと、反応欲しさに選手に恣意的な加工を加えてやいないだろうか?と言うこと。

女子選手の盗撮騒ぎなんかも、ある意味ではこの系譜に列なるのかもしれないですね。

=選手の事を考えていない行動=問題行動、へ間接的に広がっていく可能性も十分にあるのかなと。先日の応援禁止の記録会での写真投稿などはその最たる例で

選手や主催者、関係者にはデメリットしかないものを嬉々として挙げてしまうのは、陸上ファーストではなく、SNSに挙げた時の反響=承認欲求が優先された結果と言われても文句は言えないのかなと

ファンサービスは当たり前ではない

一番最初に述べたことですが、アイドルと違い、陸上選手、大会主催者にはファンの為に動くメリットは皆無です。

記録会もごく一部の例外を除き無料ですしね。

それでも記録会では朝から夜まで学生やスタッフが働き、受付やファンの対応、速報を行い、様々な大会で選手達がファンへのサービスを行ってくれる。

それは全て、陸上を好きになって欲しいと言う思い、何より彼等の

"善意"

で成り立っているに他ならない、と少なくとも私は思います。

だからこそ、私達ファンが出来ることはそんな思いの結実として新たに入ってくる常識の違うファン層を邪険に扱う事ではなく、そう言った層を受け入れつつも

自分達のしていることは果たして彼等の善意を踏みにじるものではないか?足を引っ張ることにはならないだろうか?と一つ呼吸を置いて考え行動すること

その結果として、競技場でも、SNSでも、誰しもが楽しんで観戦、陸上や駅伝を語れる。そんな"当たり前"が出来上がっていくようになって行けば良いなと願いながら

ここで筆を置こうと思います。纏まりがつかず長文になってしまいましたが、お読み頂いた皆様ありがとうございました。


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