理不尽と、エースという存在

先に記しておきます。今から私が書いていく内容は"明確なまでの理不尽"です。競技者であった頃の自分が見たら、常に練習とか見てる訳でもない外野のてめえに何が分かるんだよ、と確実に腹がたつであろう内容だろうなと苦笑いするような話。でも、それでも書いておきたいし、願わくば伝えたい。だから恐らく不快な内容になるであろうと理解しつつこのまま書き連ねていきます。


惨敗


一言で言えば今回のインカレ10000mはこの言葉に尽きます。
単純な順位以上に、3000m行かないうちに日大の2名だけ集団から脱落し、早々にレースが終了した。これは紛れない事実です。

この1レースを見てファンは誰しもが日大の秋への仕上がりを不安に思うでしょう。それは当然です。他大学が夏のホクレンや今回のインカレでどんどん記録を出す中で日大は雲隠れ、夏場に樋口選手が二本走った以外は完全に沈黙、それがいよいよ満を持して現時点の日本人2トップが他大とのガチンコ対決...!の筈が実質10分持たずに完敗を喫したと言う事実は重い。

まずはこれから書いていくことは全て私が上記の認識を持っている前提となります。

本来ならば擁護されるべき点

ですが、単純な順位、タイムだけ見て必要以上にやいのやいのと文句を言ったり予選会もー等と言うのは早計に尽きるかなと。

先日OB石川さんのツイートや、中央三浦選手のnoteにもありましたが、"長距離選手は常にベストに近い走りが出来るわけではない。日々の積み重ねの中に歴として出せるタイミングと言うものがあり、また同時に一度結果が悪かっただけでこれまでの全ての否定されるような批判にさらされて、何も感じないような機械じゃない一人の人間である"

選手の目に入る可能性がある所で発言するのなら、この事は当然の事として前提に置き、その上で出来る限りフラットな分析をする必要がある。と言うより、最低限の礼儀である。私はそう考えています(これはインカレのライブへのコメントやら発言にも言えること。そもそも0が当たり前の所善意で行ってもらっているものを、さも当然享受されるべき利益が損なわれたと言わんばかりに上から目線で文句ばかり言う人の多い事には正直辟易しました。確かに不備不手際が無い完璧な配信とは言えなかった、むしろええ...?となるシーンが2日続いたのは確かに良くない。でもそれは、そもそもの前提条件覆してまで叩く事ですか?本来でもコロナでカツカツの中どうにか配信に人を割き努力した運営にぶつける言葉ですか?一度考えた方が良いと思う)

かなり余談にそれましたが、今回のレースに際しても、日大、2選手にとってこれまでのインカレと比べると明確に難しい要素があった。まずはそこをしっかりと記しておこうと思います

1,そもそも今大会のレベルが高い

根本的にここなんですよね。今回のレースで順位が悪かったことで、予選会が不安だー、なんて声も聞こえますが、それはちょっとどうなのか。そもそも予選会に出る選手の中で、この舞台に立つ資格がある選手はほんの一握りでしょう。何せPBランキングで40位台前半に入る横山選手、樋口選手がエントリーの中で最下位付近になるとんでもないレベルの高さ、ここを無視して順位だけで過去と比較して文句を言うのも無茶と言うものでしょう

2.出走メンバーで予選会を控えているのは日本人では横山選手、樋口選手のみ

1にも繋がる要素ですが、これはかなり大きいと思います。この夏の過ごし方、この大会への合わせ方も全く違う。他の選手は走り込みながらも直ぐに20km仕様に持っていくわけではなく、まずは全日本を目標にそこからシフトしていく形を取りますが、予選会に回る日大は現時点で練習もかなり長い距離よりにシフトしているのが道理。そういう意味では高いスピード持久力が求められる10000mは5000mよりも更に対応が難しかったと思います(本来持っているスピードで押し切れる距離でない、かと言って1ヶ月後のターゲットラインに比べてキロ辺り10秒。もしくはそれ以上速い)そもそも力関係としてはかなり難しい所に更にまたかなり厄介な要素が被ってしまった。それは言い訳ではなく、事実なのかなと

とまあ大きいのはこの2つですが、過去と比較だけしてどうのこうの言うのは絶対的に"ズレてしまう"というのが私の考えです

その上で投げかけたい理不尽 

さて、ここまでフラットな目線で実際に日大2選手が置かれていた状況とその難しさについて語ってきました。その上で私が彼等に期待する1ファンとして伝えるなら、まずこう伝えたい。


一体何をしているんだ?


ここまで読んで頂いた読者の皆様なら、こう思われることでしょう。

え、お前こそ何言ってんの?

今までの若干贔屓目にさえ見える分析と擁護はどこ行った。それはお前の言う所の無茶じゃないのか?と。

そうです。私の言っていることは文句の付けようのない理不尽です。

今まで徹底的に結果だけを見て話をするのは良くないという論調を述べてきて、最終的にその結果だけを元にした言葉を、直前の調整やら何やらも知らない癖して表面的な部分だけ切り取って話をする。

しかしながら、それを自覚して尚、次もまた頑張れ!というポジティブな言葉も勿論なのですが、それ以上に対外的には突き放した言葉を投げたい

何故なら

彼等はチームのエースであるから

です。

読者の皆様も、レベルの高い低いはあるにしろ、エースと言う存在は必ず身近にあったと思いますし、もしかしたらそうだった人もいるかも知れません

思い出して欲しい。記憶の中の彼等や自分は、当たり前のように特別、特別である事が自然、ではありませんでしたか?

彼等が出来るという事は、普段からその姿を間近で見ている自分達も出来ると奮い立ち、逆に通用しないなんてことがあれば不安にかられませんでしたか?

それがエースという存在だと私は考えます。精神論と蔑むならそれで良い。プレーヤーとして、コーチとして、サポーターとして様々な立場から見てきました。

10人のうちの1人ではなく、大きな+αをもたらす、チームが戦う集団としてまとまっていくにあたり必要不可欠な引力のような存在、エースだと私は信じています。

彼等は特別扱いされて当然だと思う。それと同時に、他の選手は公平な分析の上でという前提で、結果が出なかったとしても、時にはそれに苦言を呈することが間違いだと言うことが多分にあると思いますが、

その当たり前の理屈は、エースには適用してはいけない、少なくとも、彼等の内心で"今日は結果が出なくても仕方ない"なんて納得してはいけない(明確な調整レース、体調不良や怪我は除く。それは理不尽ではなく只の悪意)常にチームを背負って戦う責務がある。そしてそのギブアンドテイクとして絶大な信頼と尊敬を得る

日大のチーム力は、この10年で今年が相対的に見て圧倒的に厚くなっていると思います。これだけ充実していた年は思いつかない。しかしながら、エース力という観点で見れば絶対的に劣っている。

それが先日の全カレでハッキリしたと思います。同じように予選会があり、全体として低迷していたチームを引っ張る重責を担いながら、石川、荻野、佐藤、田村、堂本と言う面々は大舞台で他校のエース達と五分以上になる結果を叩き出し続けてきた。

そして横山選手、樋口選手がその面々に近い、伍する存在になれなければ、来年の箱根に出場する権利を得たとしても、また同じように惨敗を喫することになるでしょう。目に見えている。ドゥング選手は確かに頼りになる。ですが、一人じゃ無理なんです。シード校の主力と真っ向切って勝てる選手が3.4人いなければ勝負になる訳がない。

出来る事なら、相対的に5年前の荻野石川のWエースに匹敵するレベル、1.2区を中位で乗り切れると言えるところまで来てほしい。それがどれだけ難易度の高い話かは分かります。でも、出来なければ結末は同じの筈

その距離感がはっきりと見えただけでも、この全カレの意味は大きかったのではないかと私は思います

だからこそ、先日の二人には、周りがそんな事を声高に言う必要はないにしろ、冷静に分析して達観、などしたりせず、本人達だけには、怒りと不甲斐なさがないまぜになった自身への憤怒をこれでもかと持っていてほしい。

そしてその感情を、1ヶ月後の予選会で爆発させて欲しい。そうすれば、2021へ向けて光が見えてくるはず。その願いを込めて、最後にもう一度理不尽を伝えたい

先日のレースは一体何なんだ?


もう一つ大きく跳ねた横山選手、樋口選手の姿を期待しています。



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