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ルーティン

この記事はトロオドン怪文書アドベントカレンダー Advent Calendar 2022の12/3分に寄稿したものです。
なお、このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
トロオドン怪文書アドベントカレンダー Advent Calendar 2022
https://adventar.org/calendars/7864  )

目が覚める。薄ぼんやりと明るくなってゆく部屋。雨戸で閉ざされた部屋に一瞬響く目覚ましの鈴。毎朝この轟音と同時に目が覚める。即座に止める。むくりと起こした体躯は引き締まっており、身の丈は6尺5寸はあろう大きさだ。

窓の外に卵が2つ。太く長い腕を伸ばす。開け放たれた窓から煌々と光が注ぐ。起きてすぐの太陽は目の奥を焼く。慣れない。朝食はハムエッグとトースト、そして牛乳。ハムは2枚に決まっている。直径は10cmほどでなくてはならない。2つの卵は離れすぎても近づきすぎてもならない。トーストは6枚切が2枚。こんがりときつね色になるまで。牛乳は毎朝玄関に届けられて新鮮だ。向かって右の手前にトースト、左奥にハムエッグ、右奥に牛乳。このレイアウトも変わらない。機械的に作り、機械的に食べる。
灰色の作業着を身につけて外へ出る。ここいらの者は皆同じ仕事だ。いつもの仲間。挨拶はない。一様にある方向を向きただ歩く。

着いた先は工場のような建物。大きな大きな白い壺のような窯が何棟も聳え立つ。上を眺めても雲がかかっており、その先は霞んでいる。
窯の一番下は歯車になっており、囲うように棒が何本も突き出ている。男たちはこれを手に取り、この窯の下部を回すのだ。一日中、日が暮れるまでただ回し続ける。

あくる日もこの閉ざされた部屋に一瞬だけ目覚ましの鈴が響く。雨戸をあけ窓の外の卵を2つ手に取る。慣れた手つきでハムエッグを作り、トーストを2枚焼く。毎朝届く牛乳は今日もまた新鮮。
食べ終えると作業着に着替えてあの無数に並ぶ白い壺を目指して歩く。

もう幾度となく繰り返される同じ朝。この世界に雨はない。日の傾きはいつも同じ。雲も絵に描いたようにいつも同じ場所にとどまっている。この男たちのほか動物もいない。しかし隣人はいつのまにか同じ顔の別人へと変わっている。この男も気が付けばここにいた。何をすればいいのかは初めから知っていた。窯の歯車を回す。

いったい何十年、何百年、何千年、この毎日が続いているのか。いったいこの男たちはどこから現れるのか。

また始まる同じ朝。雨戸の閉じられた部屋に響く刹那の鈴の音。窓の外には卵が1つ。伸ばした腕が止まる。どうすればよいのかわからない。徐々に目が明るさに慣れる。ない。1つない。1つしかない。卵は1つしか置いていない。男はもうここに来て何日経ったのかすらわからなかったが、この僅かなズレについていけないほどには長くここにいる。知っているはずのハムエッグのレシピがわからない。トーストは丸焦げ、牛乳は蓋が開けられない。灰色の作業着に腕を通すがどこへ向かえばよいのかわからなかった。

外へ出ると隣人がいつもと同じ時刻に顔を出す。聞きたいのに言葉が出ない。キョロキョロと周りを見渡しながら皆へついていく。白い塔の並ぶ異様な工場群へ足を踏み入れる。入った男たちは全員同じように大きな車輪についた棒を押し、この巨大な何かを一心不乱に回している。異様な光景に男はその場から逃げ出してしまった。

するとどこからともなく防護服に身を包んだ作業員たちがワラワラと男を追いかけてきた。咄嗟に白い塔にしがみついた。上るしかない。上から見るとわかる。白い大きな壺のような窯が無数に並び、先は視界に入らないほど高く、雲で霞んでいた。
下を見るとあの防護服の作業員たちが追いかけてきている。上へ上へとよじ登るほか選択肢はなかった。

窯に雲がかかる薙d繧翫ほどの高さになったころ、突然足場が見えた。これは雲ではなかった。雲だと縺ォ逶ョ繧思っていた足場には窯へと続く無数の穴が開いており、自分とェ縺城聞縺��繧剃シク縺ー縺吶る幕縺第叛縺溘l縺溽ェ薙°繧き落とされている。大きな穴の中を覗くと中からは熱風が吹いてj縲∵ゥ滓「ー逧�↓鬟溘∋繧九ら�濶イ縺ョ菴懈・ュ逹繧定コォ縺ォ縺、縺代※螟悶∈蜃コ繧九ゅ%縺薙>繧峨�閠��逧�酔縺倅サ穂コ九□縲ゅ>縺

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銀・行・口譏弱k縺上↑縺」縺欠・来!!!!

銀・行・口・座・大・金・欠・来・年
!!!!!!!

銀・行・口・座・大・金・欠・来・年
!!!!!!!!!!!

銀・行・口・座…あら?もしかしてもうちゃんと聞こえているかしら。

良かったわ。

いえね、アチシの張った結界にジャミングが入ったから飛んできたのよ。

でももう大丈夫。アチシの九字斬りが効いたみたい。化け言葉は直っているわよね。

最近多いのよ。アチシももう大変。でもね、言葉の力ってすごいのよ。時には人の心を動かすことができるし、時には人を傷つける凶器にもなる。使い方次第ではものすごいパワーを持っているの。私も本業は言葉を扱っているけどね、これがなかなか難しくて。
さっきも本業やってたらここに強い力を感じてね、ってアチシったらお喋りでごめんなさいね。そろそろ戻らないと。

そうだ、忘れてたわ。TELしないと。ちょっと失礼。

(trrrrrrrrrrrrrrr…………)

あっ、しもしも、ピン子?アチシよ、すが子よ。

………………………。

……………。

……。

あぁ、変な夢だなぁ。

……………。

……。

目が覚める。薄ぼんやりと明るくなってゆく部屋。雨戸で閉ざされた部屋に一瞬響く目覚ましの鈴。毎朝この轟音と同時に目が覚める。

(終)

あとがき

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