古宮海『可愛そうにね、元気くん』(3)

こんなことをいうと無粋だと思われそうだが、今のところ元気くん、そんなに可愛そうではない。何度も窮地に立たされながらも、決定的なダメージは受けていない。渚カヲルみたいな励一に泣かされたり、追い詰められたりしたものの元気です。八千緑七子さんもかわいそうな場面はところどころあり見ていて苦しくなるのだけれど、落ちるところまで落ち切る前に救われている。

歳をとると「登場人物がかわいそうな目にあう作品」をたくさん見すぎて、天下一かわいそう大会がインフレを起こしている。美樹さやか、衛宮切嗣、碇シンジ、ベルセルク、デビルマン、ぼくらの、等々…挙げていくときりがない。気持ちを上げていけない。

そんな観点から見ると元気くん、ぜんぜん恵まれてるよ、とは感じるものの、たぶんそこが問題ではない。普通に、いや普通以上に面白い。

惡の華といい、アイデン&ティティとか主人公がなんかダメなやつなんだけど、赦されてしまう作品に弱いのかもしれない。

4巻までKindleで無料。7巻で完結してるみたいなんで5〜7巻は買ってもいいな。連載開始時に1話読んで「これ好きなやつやな」と思ったのに放置してしまっていた。もったいない。

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